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シニア債券ストラテジスト
サマリー: 米国政府は2024年の選挙期間中、経済状態を維持し社会不安を回避するため、やむを得ず財政支出を大幅に拡大します。長引くインフレ圧力と外国人投資家の資金引き上げにより、米国債の需要は低迷が続き、米国債利回りの急上昇を引き起こす結果となりました。借入コストを正常化しようとする必死の試みの中、米国政府は国債からの収入を非課税にします。
地政学的環境がますます不安定化し、米国政府が防衛支出の拡大を余儀なくされる一方、連邦準備制度理事会はインフレの第二波を受けて金融引き締めを続けています。社会不安を回避するため、議会は財政支出を増やさざるを得ません。
財政赤字がGDPの10%を急速に上回ったため(過去100年でこの水準を超えたのは第二次世界大戦とコロナ禍の期間のみ)、政府は米国債の需要を早急に喚起することが必要です。そこで注目が集まるのが株式市場です。業績悪化を回避したことや、金融機関・住宅所有者に向けた政府の支援プログラムのおかげで、「マグニフィセント・セブン(米国の主要企業7社)」は今や12社となっています。新たに加わったのは、イーライリリー、ノボ ノルディスク、Visa、JPモルガン・チェース、LVMH、ASML、TSMCです。「12巨頭」の企業価値評価は数か月で高騰し、投資家と非投資家の間で不平等が拡大します。
政治の安定は、米国債の増発により巨額の財政赤字を補填し続け、金利を引き下げることができるかどうかにかかっていることを米国政府は理解しています。そのため、株式との比較で米国債の国内的な魅力を高めることがとても重要になります。ホワイトハウスからの強い圧力を受け、議会は米国債のキャピタルゲインと利子所得を非課税にします。国債を国内投資家が保有していれば、資金調達コストは変動しにくくなります。
この劇的な動きが意味するものは資本主義の終焉です。資金は民間企業から公共のものへと循環し、ハイリスク資産を保有することはよりコストがかかるものとなります。常識的におかしな感じがするかもしれませんが、長期的に低い資金調達コストが恩恵となって「12巨頭」が市場支配力を強化する一方、株式市場のその他の部分は崩壊します。政府が不平等を解消できないでいる一方、借入コストの低下が社会不安を解消します。結果として、資本を集めることに苦心している重要セクターで、国有化と政府の介入が長期にわたって続くことになります。
市場へのインパクト: 米国債はすべてのテナー(期間)で上昇し、投資家は税負担を被らずに過去数十年で最大の利回りを確保できるため、イールドカーブはブルフラットになります。株式市場は暴落しますが、キャッシュを潤沢に保有する一部の企業においては、イールドカーブの逆転が追い風になります。