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コモディティ戦略責任者(Saxo Group)
サマリー: 年初1週間の金相場の流れは、当社の2023年の見通しに沿った動きとなりました。ただし、相場の方向感としては正しい展開となったものの、上昇のタイミングを見誤った可能性が懸念されます。相場のモメンタムは上値抵抗線を意識しつつ後退の兆しを見せているほか、市場が米CPI鈍化観測(12日公表)を織り込む中、足元で調整リスクが高まっています。
中国経済の再開と旧正月に向けた季節性の需要拡大への期待の高まりが、金属価格の軒並み高と相まって、金は夜間取引で一段と上昇しました。ただ、足元では米12月消費者物価指数(CPI)を明日に控え市場がインフレの持続的な鈍化を織り込む中、ドルは弱含みで推移し米国債利回りが低下するなど、FRBが利上げペースを減速することへの期待感が高まっています。目先のモメンタムはテクニカルかつ投機的なショートカバーの買いが強まっているものの、金ETFの長期投資家の取引は控えめとなっており、調整リスクは高まっていると見られます。次の重要な上値抵抗線は、2022年の調整局面におけるリトレースメント61.8%を示す1,896ドルでサポートラインは1,865ドルと1,830を結んだ水準となります。
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ここであえて市場の多数派の意見に反する見解を述べるとすれば、特に最近の上昇相場や予想以上のCPI鈍化が大きく織り込まれていることなどを踏まえると、明日は市場の失望を誘う結果となるリスクが高まっていると言えます。12月のCPIが市場予想の前年同月比6.5%を下回った場合、金はその直後に前述の1,900ドル付近に向けて上値を試す展開となる可能性も期待できますが、その後は利益確定の動きが強まるでしょう。先週の金相場の流れは当社の2023年の相場の方向感に沿った展開となったものの、上昇のタイミングを見誤った可能性があります。また、多くの投資家は年初に新たな投資テーマに合わせて資金を振り向けるため、年初の1週間は値動きが活発になる傾向にあります。年初の買いが一服すると、その流れを継続するためには長期投資家の需要が必要になります。ただ、市場が最終的に中長期的な期待インフレ率を足元の2.5%より高い水準で織り込み始めるまでは、多くの投資家が取引を控えるものと当社は予想します。
当面の戦略
タクティカルな買いを行う投資家は、エクスポージャーの削減を検討し始めるべきでしょう。一方、長期的に強気な投資家は、短期的な上昇よりも長期的にホールドし、上昇のタイミングを待つべきです。また、金への投資を検討している投資家は、1,830ドル程度まで調整する可能性があることを意識し、忍耐強く臨むことを推奨します。