COTレポート:原油、金、穀物には緩やかな利益確定の動き

COTレポート:原油、金、穀物には緩やかな利益確定の動き

商品
オーレ・ハンセン

コモディティ戦略責任者(Saxo Group)

主なポイント:

  • 米国商品先物取引委員会(CFTC)による各銘柄の市場建玉に関する週次レポート(COT)では、2025211()までの週にヘッジファンドがFXやコモディティに対して行った先物ポジションと変更について、毎週更新しています。
  • 外国為替では、投機家は高騰した米ドル(USD)のロングの建て玉を引き下げ、円の需要が主な焦点となりました
  • ヘッジファンドは、広範な価格上昇によりコモディティのセクターが25カ月ぶりの高値に押し上げられた後、僅かに同セクターの売り手(売り越し)に転じました。
  • 原油、金、大豆、トウモロコシの売りは、天然ガス、銅、小麦の新たな需要によって部分的に相殺されたに過ぎません。


外国為替:

外国為替市場では、投機筋が加速的に米ドルを売ったため、シカゴIMM通貨先物(主要8通貨合成)のロングのグロス建て玉は今週15%下落しましたが、それでも265億米ドルの高水準を維持しています。ユーロを除くすべての主要通貨は、日本円の強い需要に牽引されて買い越しとなり、ロングのネット建て玉は191%上昇し、4ヶ月ぶりの高水準となる55,000枚となりました。しかし、日本円以外では、メキシコペソ(MXN)で買い越しとなっているロングのネット建て玉はわずかで、残りの通貨、特にカナダドル(CAD)とユーロ(EUR)は売り優勢で取引され続けました。

1月28日の週の、投機筋の対ドルIMMシカゴ通貨先物のポジション

コモディティ:

2025年に入ってから6週間が経過した現在も、コモディティセクターは堅調に推移しており、ブルームバーグ商品指数トータルリターン(Bloomberg Commodity Total Return Index)は25カ月ぶりの高水準で取引され、年初来では7.7%の上昇を記録し、S&P500MSCIワールド・インデックス(MSCI World Index)をかなり上回っています。これまでのところ特に注目すべきは上昇が広範囲にみられるということであり、軟質金属と貴金属が主導してすべてのセクターが上昇を示しています。ブルームバーグ商品指数(BCOM)の上位5つの商品セクターは、アラビカコーヒー(+29.5%)、米国天然ガス(+16.7%)、銅(HG(+14.7%)、銀(+13.4%)、金(+10.4%)となっています。

前述の金属市場の好調なパフォーマンスの一部は、すべてニューヨーク先物価格に基づいていますが、プラチナを含む主要金属に対する米国の輸入関税の影響を懸念する中での最近の需要逼迫によるものです。例えば、先週の金曜日、ニューヨークのハイグレード商品先物は、ロンドン金属取引所(London Metal Exchange)の対応する価格に対して1ポンドあたり47セント、または1トン当たり1000米ドルのプレミアムを反映して、1ポンドあたり483セントと9ヶ月ぶりの高値に急騰しました。「通常」の取引時間でこのスプレッドが10セントを下回っていることを考慮すると、ニューヨークの先物価格に上昇圧力がかかっていることが浮き彫りとなっており、銅やプラチナなどの成長と需要に価格が左右される金属については、今のところ比較的軟調なままの原資産のファンダメンタルズを反映していない可能性があります。

前述の広範な価格の上昇に対応して、ヘッジファンドやCTAを含むマネージド・アカウントは、12月と1月に非常に強力な買い手に転じ、27の主要先物契約のロングのネット建て玉を、パンデミックと景気刺激主導の上昇で20226月を最後に見られた、ブルームバーグ商品指数(BCOM)が2倍以上に上昇した水準にまで押し上げました。しかし、ここ数週間で、主に原油、金、大豆、トウモロコシの売りに押され、天然ガス、銅、小麦の新たな需要によって部分的に相殺されるなど、緩やかな利食いの動きが現れ始めています。

マネージド・アカウントのコモディティのロングの建て玉、ショートの建て玉、ネット建て玉、および2月11日までの週の変化
エネルギー
貴金属および工業用金属
穀物および菜種油先物
ソフト・コモディティ(農産物)および家畜

Commitments of Traders(COT)レポートとは何ですか?

COTレポートは、ブレント原油と軽油について、米国商品先物取引委員会(CFTC)ICE(インターコンチネンタル取引所)フューチャーズ・ヨーロッパによって発行されます。これらは、毎週金曜日、米国市場の取引時間終了後に発表され、前週の火曜日に終了する週のデータが含まれます。データは、先物市場における建玉を、資産クラスに応じて異なる市場参加者のグループに分類します。

コモディティ(商品先物):生産者/商人/取引業者/消費者、スワップディーラー、マネージド・アカウント(金融機関、金融アドバイザー)その他
フィナンシャル(金融先物):ディーラー/仲介業者;資産運用会社/機関投資家;レバレッジファンド(レバレッジ型ファンド)、その他
外国為替(FX:大きく実需筋と非実需筋(投機筋)に分けられる

主にヘッジファンドやトレンドフォロー型CTA(商品投資顧問業者)などの投機筋の行動に焦点を当てる主な理由は次のとおりです。

  • 投機筋は、価格について厳格な制限を設けており、ヘッジ対象となる原資産へのエクスポージャーがない可能性が高いです。
  • これにより、投機筋はファンダメンタルズまたはテクニカルな価格動向の変化に最も敏感になります。
  • 投機筋の動きは、市場の主要なトレンドについての見解を提供するだけでなく、反転が迫っているときにそれを読み解くのにも役立ちます。

投機筋は、ファンダメンタルズ(実需の動き)によって開始された価格変動を予測し、加速させ、増幅する傾向があることに注意してください。このモメンタムのフォロアー(追随者)である当戦略においては、この投機筋の市場参加者グループがモメンタムの強いときに買い込み、モメンタムが弱いときに売り込むことが多く、つまり、価格循環サイクルのピーク(最高値)付近で最大のロングの建て玉を保有したり、市場価格が落ち着く前に最大のショートの建て玉を保有したりすることがよくあります。

口座開設は無料。オンラインで簡単にお申し込みいただけます。 

最短3分で入力完了!

【ご留意事項】

■当資料は、サクソバンクグループのアナリストによるマーケット分析レポートの転載、もしくは外部のアナリストからの寄稿となっております。
■当資料は、いずれも情報提供のみを目的としたものであり、特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
■当資料は、作成時点において執筆者またはサクソバンク証券(以下「当社」)が信頼できると判断した情報やデータ等に基づいていますが、執筆者または当社はその正確性、完全性等を保証するものではありません。当資料の利用により生じた損害についても、執筆者または当社は責任を負いません。 
■当資料で示される意見は執筆者によるものであり、当社の考えを反映するものではありません。また、これら意見はあくまでも参考として申し述べたものであり、推奨を意味せず、また、いずれの記述も将来の傾向、数値、投資成果等を示唆もしくは保証するものではありません。 
■当資料に記載の情報は作成時点のものであり、予告なしに変更することがあります。 
■当資料の全部か一部かを問わず、無断での転用、複製、再配信、ウェブサイトへの投稿や掲載等を行うことはできません。
■上記のほか、当資料の閲覧・ご利用に関する「免責事項」をご確認ください。 
■当社が提供するデリバティブ取引は、為替相場、有価証券の価格や指数、貴金属その他の商品相場または金利等の変動によって損失を生じるおそれがあります。また、お預けいただく証拠金額に比べてお取引可能な金額が大きいため、その損失は、預託された証拠金の額を上回る恐れがあります。
■当社が提供する外国証券取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。手数料については、「取引金額×一定料率」又は「取引数量×一定金額」で求めた手数料が一回の取引ごとに課金されます。ただし手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。また取引所手数料等の追加費用がかかる場合があります。 
■取引にあたっては、取引説明書および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。 
■当社でのお取引にかかるリスクやコスト等については、 こちらも必ずご確認ください。

サクソバンク証券株式会社
Saxo Bank Securities Ltd.
Izumi Garden Tower 36F
1-6-1 Roppongi Minato-ku
Tokyo 106-6036
〒106-6036 東京都港区六本木1-6-1
泉ガーデンタワー36F

お問い合わせ

国・地域を選択

日本
日本

【重要事項及びリスク開示】

■外国為替証拠金取引は各通貨の価格を、貴金属証拠金取引は各貴金属の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、売買の状況によってはスワップポイントの支払いが発生したり、通貨の金利や貴金属のリースレート等の変動によりスワップポイントが受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■外国為替オプション取引は外国為替証拠金取引の通貨を、貴金属オプション取引は貴金属証拠金取引の貴金属を原資産とし、原資産の値動きやその変動率に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、オプションの価値は時間の経過により減少します。また、オプションの売り側は権利行使に応える義務があります。
■株価指数CFD取引は株価指数や株価指数を対象としたETFを、個別株CFD取引は個別株や個別株関連のETFを、債券CFD取引は債券や債券を対象としたETFを、その他証券CFD取引はその他の外国上場株式関連ETF等を、商品CFD取引は商品先物取引をそれぞれ原資産とし、それらの価格の変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、建玉や売買の状況によってはオーバーナイト金利、キャリングコスト、借入金利、配当等調整金の支払いが発生したり、通貨の金利の変動によりオーバーナイト金利が受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■上記全ての取引においては、当社が提示する売価格と買価格にスプレッド(価格差)があり、お客様から見た買価格のほうが売価格よりも高くなります。
■先物取引は各原資産の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。
■外国株式・指数オプション取引は、対象とする有価証券の市場価格や対象となる指数、あるいは当該外国上場株式の裏付けとなっている資産の価格や評価額の変動、指数の数値等に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、対象とする有価証券の発行者の信用状況の変化等により、損失が発生することがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。さらに、外国株式・指数オプションは、市場価格が現実の市場価格等に応じて変動するため、その変動率は現実の市場価格等に比べて大きくなる傾向があり、意図したとおりに取引ができず、場合によっては大きな損失が発生する可能性があります。また取引対象となる外国上場株式が上場廃止となる場合には、当該外国株式オプションも上場廃止され、また、外国株式オプションの取引状況を勘案して当該外国株式オプションが上場廃止とされる場合があり、その際、取引最終日及び権利行使日が繰り上げられることや権利行使の機会が失われることがあります。対象外国上場株式が売買停止となった場合や対象外国上場株式の発行者が、人的分割を行う場合等には、当該外国株式オプションも取引停止となることがあります。また買方特有のリスクとして、外国株式・指数オプションは期限商品であり、買方がアウトオブザマネーの状態で、取引最終日までに転売を行わず、また権利行使日に権利行使を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。また売方特有のリスクとして、売方は証拠金を上回る取引を行うこととなり、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。売方は、外国株式・指数オプション取引が成立したときは、証拠金を差し入れ又は預託しなければなりません。その後、相場の変動や代用外国上場株式の値下がりにより不足額が発生した場合には、証拠金の追加差入れ又は追加預託が必要となります。また売方は、権利行使の割当てを受けたときには、必ずこれに応じなければなりません。すなわち、売方は、権利行使の割当てを受けた際には、コールオプションの場合には売付外国上場株式が、プットオプションの場合は買付代金が必要となりますから、特に注意が必要です。さらに売方は、所定の時限までに証拠金を差し入れ又は預託しない場合や、約諾書の定めによりその他の期限の利益の喪失の事由に該当した場合には、損失を被った状態で建玉の一部又は全部を決済される場合もあります。さらにこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。外国株式・指数オプション取引(売建て)を行うにあたっては、所定の証拠金を担保として差し入れ又は預託していただきます。証拠金率は各銘柄のリスクによって異なりますので、発注前の取引画面でご確認ください。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、取引証拠金を事前に当社に預託する必要があります。取引証拠金の最低必要額は取引可能な額に比べて小さいため、損失が取引証拠金の額を上回る可能性があります。この最低必要額は、取引金額に対する一定の比率で設定されおり、口座の区分(個人または法人)や個別の銘柄によって異なりますが、平常時は銘柄の流動性や価格変動性あるいは法令等若しくは当社が加入する自主規制団体の規則等に基づいて当社が決定し、必要に応じて変更します。ただし法人が行う外国為替証拠金取引については、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用いて通貨ペアごとに算出(1週間に1度)した比率を下回らないように当社が設定します。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、損失が無制限に拡大することを防止するために自動ロスカット(自動ストップロス)が適用されますが、これによって確定した損失についてもお客様の負担となります。また自動ロスカットは決済価格を保証するものではなく、損失がお預かりしている取引証拠金の額を超える可能性があります。
■外国証券売買取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。
■取引にあたっては、契約締結前交付書面(取引説明書)および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。

サクソバンク証券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号、商品先物取引業者
第一種金融取引業、第二種金融商品取引業
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本投資者保護基金、日本商品先物取引協会
手数料:各商品の取引手数料についてはサクソバンク証券ウェブサイトの「取引手数料」ページや、契約締結前交付書面(取引説明書)、取引約款等をご確認ください。