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Chief Investment Strategist
サマリー: Appleは5日、新型複合現実(MR)ヘッドセット「Apple Vision Pro」を発表しました。製品レビュアーやAR(拡張現実)業界の関係者は「AppleはマーケットリーダーのMetaを追い越し、業界の最先端に躍り出た」と高く評価していますが、市場は冷静に受け止めているようです。Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)は「今日はコンピューティングの新時代の始まりだ」とコメントしましたが今のところ市場の反応は鈍く、同社の株価は発表後に下落し、本日の時間外取引でも小幅に下落しています。
※本レポートは自動翻訳を一部修正したものです。原文と和訳に齟齬がある場合は原文が優先されます。
主なポイント:
Appleは昨夜(WWDC23の概要はこちら)、Apple Watchを発表した2015年以来初の主要製品となるMRヘッドセットVision Proを発表しました。この新型ヘッドセットは、フル没入環境の「仮想現実モード」と、現実世界とバーチャルな視覚情報が重なる「拡張現実モード」を簡単に切り替えることができます。Vision Proの価格は3,499ドルと非常に高額で、ローンチ後の主な提携先のひとつとなるDisney+のコンテンツを提供する予定です。
Appleは3,850億ドル規模のビジネスへと成長を遂げ、新製品の発売に関してはよほど大きな収益が見込めるものでない限り同社の評価に影響を及ぼす、あるいは注目に値しないという状況に置かれつつあります。2015年に発売されたApple Watchは、推定で年間140~180億ドル規模のビジネスへと成長し、Appleは高い志を持ってこの分野に挑んできました。Apple Watch自体は大きな成功を収めているものの、Appleが当初望んでいたほどではないことは間違いありません。実際、2015年以降にAppleを株式時価総額で首位に押し上げたのはApple Watchではなく、Apple CloudやApple TV、Apple App Store、Apple Music、Apple Arcade、Apple Fitness+から成るサービス部門の力強い業績によるものであることは明らかです。
Appleのティム・クックCEOは発表会で「今日はコンピューティングの新時代の始まりだ」とコメントし、アナリストは直ちにVision Proは今後5~10年間で同社の売上高の10%程度を占めるとの予想に傾きました。こうした予想に基づくと、Vision Pro事業はいずれ500億ドル規模のビジネスに成長し、150~200億ドル程度に上る潤沢なキャッシュフローを創出することになります。なお、Vision Proヘッドセットには、Unityのゲームエンジンソフトウェアを直接サポートするなど、空間アプリケーション向けに設計された独自のVisionOSオペレーティングシステムも搭載されています。
市場の反応を見る限り、Appleの新たな事業機会を株価に織り込むことは決して容易なことではありません。同社の株価は発表直後にポジティブに反応しましたが、その後は下落して取引を終え、本日の時間外取引でさらに0.5%下落しています。一方、Disneyの株価は、昨日の発表を受けて1.5%上昇した後、時間外取引で0.3%上昇しています。最も上昇したのはゲーム開発を手掛けるUnityで、昨日17%上昇した後、時間外取引でさらに5%上昇しました。UnityはVision Proとの提携によって全く新しい事業を生み出す可能性が期待され、市場で大きく買われました。全体的な印象としては、市場は少なくともApple株に関しては様子見姿勢を維持しているようです。
市場の反応から、製品レビュアーや業界関係者の反応に目を移すと、よりポジティブな印象を受けます。Apple Vision Proは業界で「品質においてマーケットリーダーのMetaをはじめ、あらゆるタイプのAR/VRヘッドセットの最先端を行く」と総じて高い評価を得ているようです。まるでApple Watchを頭に装着しているような感覚で、多くのアプリや機能がシームレスに統合されており、非常に快適な空間を体験ができます。20分ほど使用するとめまいがする、ずり下がって鼻に当たるといった指摘もあるようですが、Appleはすでに正式なローンチまでにこれらの問題を改善すると伝えています。結論から言うと、Meta社のQuest ProやQuest 2よりも、はるかに快適な装着感を実現するヘッドセットです。また、Appleは高額な価格設定でディスプレイを改良させ、片目あたり4K以上の解像度を持つマイクロOLEDディスプレイを2つ搭載しており、合計の解像度はMeta社のClest 2の約3.3倍にあたる約2,300万ピクセルに上ります。
AR技術を開発するMagic Leapの元共同創業者兼CEOのロニー・アボビッツ氏は、「Appleがハードルを上げたことによって、他のどのVR企業も大変な状況に陥っている」と述べているように、業界関係者はこの新製品に圧倒されています。しかし、メタバースの構築を目指すMetaとは異なり、AppleはMRヘッドセットで新たな現実を構築するよりも、現実世界と重なった空間を作り出すことを目指しているようです。
AppleのVision Proは、既存のテクノロジーを最大限に活用する革新的な技術であることは間違いありませんが、少なくとも消費者にとって「必需品」であるとは考えにくいと言えるでしょう。今日、株式市場に生じた大きな疑問は「コンピューティングの新時代」の幕開けを告げるには、この製品の価格設定があまりにも高すぎるのではないか、ということです。