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Chief Investment Strategist
サマリー: 日本株は今、ここ数十年で例のないほど世界中の投資家の注目を集めています。日本の株式市場は長年にわたり主に割安に放置された「ディープ・バリュー株」を発掘するための市場となっていましたが、2012年に始まったアベノミクス以降日本企業は大きな変化を遂げており、日本株の優良銘柄はこれまでになく魅力的な投資機会を提供しています。また、これらの優良銘柄の中でも半導体製造装置大手のアドバンテスト(6857)は過去10年間にわたって約30%という優れた年率リターンを生み出しています。
日本株市場は、AIブームの熱狂に後押しされた米テック株の上昇を除けば、2023年の株式市場で最も明るい材料のひとつとなっています。TOPIX500は年初来で22%上昇(円建て)し、本日の取引で過去最高値を更新しました。当グループは今年に入って「日本株は復活を遂げるか?」「日本株とギリシャ株:復活を遂げる2つの市場」という2つのレポートで日本株の魅力をお伝えしました。それ以来、日本の株式市場は期待どおりのパフォーマンスを上げており、バリュエーションで見て米国株よりも魅力的であると判断できます。
ここでひとつ重要なことは、MSCI指数の算出方法に基づいて比較した場合、今年に入ってからの日本株の上昇はグロース株とバリュー株のいずれかが主導したものではないという点です。つまり、何か定量的な要因がこの上昇相場を牽引しているというよりも、幅広い銘柄が買われていることによるものであると考えられます。また、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが日本の総合商品への追加投資を行ったことをきっかけに、日本株は世界中の投資家から注目されるようになりました。さらに、米中間の緊張が高まる中、サプライチェーンリスクの低減に急ぐ欧米企業にとって日本は生産拠点としてより重要な位置付けを担う可能性が高まっていることも、相場を後押ししています。
高い成長可能性を秘めた希少銘柄を発掘する
日本は過去数十年にわたって「ディープバリュー株」を発掘する市場として知られてきました。つまり、多くの日本企業が清算価値(ここでは簿価純資産価額ではなく正味運転資本)を下回って評価されていました。これは、若き日のウォーレン・バフェットの師となるベンジャミン・グレアムがバリュー投資の基準としていたものですが、やがてバリュエーション指標の精度が向上するにつれて、ディープバリュー投資の手法はあまり用いられなくなりました。なぜならば、希少なディープバリュー株による投資機会は1929年の株価大暴落の後に、単に投資家が株式に対して極端に消極的になった弱気相場で生まれたものだったからです。
2023年の日本株市場を見る限り、投資家はまだディープバリュー株を発掘できる可能性もありますが、それはウォーレン・バフェット曰く「最後の一本の煙草が入っているかもしれないシガーボックスを探す」ようなものです。通常はそれよりも優れたクオリティ銘柄を見つけ出す方が、投資家にとってより魅力的な選択肢となるでしょう。その場合、まず手始めとして投下資本利益率(ROIC)の高い企業を特定することをお勧めします。これらの企業は強固なビジネスモデルやプロダクトラインを備えている傾向が高いと判断されます。
以下は、ROICが20%以上で時価総額が50億ドル以上の日本企業14社のリストです。日本の株式市場の規模を考えると、これらの企業の数は非常に少ないように思えますが、その背景には、日本の企業が長年にわたって自己資本を有効に活用することよりも、株式持ち合いや雇用の維持を優先してきたことが大きく影響しています。しかし、最近のレポートで指摘したとおり、日本企業は変化を遂げており、以前に比べて資本を有効に活用するようになっています。しかしその一方で、世界的な人気を誇る家庭用ゲーム機のNintendoを除いては、日本企業に対する海外投資家の認知度はかなり低いというのが現状です。
アドバンテスト(6857):AIブームで上昇を遂げる
アドバンテストは、当グループが作成した日本株クオリティ銘柄のリストに入っている企業のひとつです。同社は半導体自動試験装置や光ファイバーや無線通信機器などの電子システムの設計や製造、および保守に使用される計測器の製造において日本を代表するメーカーです。