主なポイント:
- 次世代AIチップが登場 – Nvidiaは、2026年に予定されている次世代AIプラットフォームであるRubinについて、(次世代AIサーバー向けGPUである)Blackwell Ultraを展示し、新たな詳細を提供する予定です。
- エンタープライズ、ロボティクス、量子への大きな賭け – 投資家は、エンタープライズAI、ロボティクス、量子コンピューティングの進歩と、新しいパートナーシップの可能性に注目しています。
- マクロ経済の逆風の中でのコスト上昇と競争の激化 - AIチップのコスト増加と、AMD、Intel、DeepSeekなどのライバルとの競争が、イベント後の市場センチメントを形成する可能性があります。さらに、関税、輸出制限、地政学的な緊張など、世界的な経済圧力が、Nvidiaのサプライチェーンや市場全体のポジショニングに影響を与える可能性があります。
NvidiaのGPUテクノロジーカンファレンス(GTC)が今週開幕し、CEOのJensen Huang氏の話を聞きたいと願う数万人の参加者が集まります。Huang氏の基調講演は、3月18日(火)午前10時(太平洋時間)に予定されています。
このイベントは、AI、高性能コンピューティング、自動運転、ロボティクス、量子技術の最先端の進歩を紹介する最高の展示会となっています。投資家、開発者、技術リーダーたちは、競争環境を再構築する可能性のある主要なAIの画期的な大躍進、次世代チップ、戦略的パートナーシップに注目しています。
GTCで注目すべき点は?
Nvidia は、ChatGPT からエンタープライズ AI システムまで、あらゆるものを GPU で支える AI ハードウェアの誰もが認めるリーダー企業です。しかし、今年のGTCは、ロボティクスや自動運転などの物理的なAIへのより大きな推進と、GPUの大幅な進歩に伴う量子コンピューティングの推進という、次のフロンティアの先駆けとなる可能性があります。
ここでは、主なテーマをご紹介します。
- Blackwell:次のAIの強力な牽引役 – Hopper(H100)の後継と予想されるBlackwell GPUは、AIの作業量に関して、効率向上、メモリ帯域幅の増大、システムの拡張性の向上をもたらす可能性があります。Nvidiaは、2025年後半に発売される予定のより強力な後継モデルであるBlackwell Ultra(B300シリーズ)も展示する予定です。レポートによると、H100からBlackwell Ultraへのパフォーマンスの飛躍は、以前のH100からH200への移行の時よりもさらに大きくなる可能性があります。
- Rubin: AIとコンピューティングの次の飛躍となるのでしょうか? – Nvidiaの次世代AI GPUアーキテクチャ(ハードウェアの基本設計)であるRubinは2026年まで予定されていませんが、CEOのJensen Huang氏はすでに、コンピューティングパワーの「大きな、大きな、大きなステップアップ」であることをほのめかしています。アナリストは、AI推論における大幅な効率化を予想しており、RubinはGrace-Blackwellのラインナップよりも大幅にアップグレードされます。さらに、NvidiaはRubin Ultraのロードマップを提供する可能性があり、パフォーマンスをさらに向上させるために12層HBMアーキテクチャを特徴とする可能性があります。
- エンタープライズAIとソフトウェア – クラウドサービスを提供する企業とのパートナーシップやソフトウェアツールの増加により、Nvidiaは強力な経済原動力をもつAIプラットフォーム業界での中心的存在へと移行し、企業にとって不可欠なものとなる可能性があります。
- 自動運転や自動制御の機能、ロボット工学の進歩 – AIはデータセンターだけのものではありません。自動運転、ロボティクス、研ぎ澄まされたAIソリューションについての最新情報をお届けします。
- Quantum Day (3 月 20 日) – Nvidia は、主要な量子コンピューティング企業の経営トップとの特別セッションを主催し、実用的な量子アプリケーションへの道筋について話し合います。投資家は、潜在的なコラボレーションと、Nvidia自身の量子加速の進歩に注目しています。
株式への影響:潜在的なプラスおよびマイナスの誘因
GTC 2025は、発表内容の受け止められ方によっては、Nvidiaの株価を左右する瞬間になる可能性があります。
- 強力なBlackwellのパフォーマンス – 新しいGPUがAI加速について大幅な飛躍を示せば、Nvidiaの優位性が再確認される可能性があります。参考までに、Blackwellは前世代のAIによる推論(AIを活用して学習した情報を適用し予測し問題解決を行うプロセス)よりも30倍高速なパフォーマンスを提供しました。
- コストと価格の懸念 – BlackwellとRubinのコストが予想を大幅に上回った場合、Deepseekの発売によって最初に提起された中国のコスト効率の高いAIの進歩と比較した際の、チップコストの上昇に関する懸念が生じます。エンタープライズ AI の顧客の消費電力を削減し、1 ドルあたりのパフォーマンスを向上させるという Nvidiaのアプローチもまた、より多くの AI スタートアップ企業やその他の企業がこれらのチップを長期的に購入できるようにするための主な焦点となっています。
- 次世代チップの入手可能性 – BlackwellとRubinのチップがいつ利用可能になるのかは、株式にとって重要な反応材料となる可能性があります。予想よりも早く利用可能となった場合、投資家の供給懸念を緩和するかもしれません。
- エンタープライズ AI の拡大と新たなパートナーシップ – ソフトウェア、クラウド、その他サービス提供から得られる収益が増えると、Nvidia の長期的な利益率が押し上げられる可能性があります。(大規模なデータセンターを保有し、クラウドサービスを提供する)ハイパースケーラー(例:AWS、Google、Microsoft)やAIラボとの取引が需要を促進する可能性があります。
- 量子コンピューティングの画期的な大躍進 – この分野での予想外の進歩は、Nvidiaの新たな高成長市場を開く可能性があります。
- 競争圧力 – AMD、Intel、中国のAIの進歩により、Nvidiaの市場シェアは予想以上に早く侵食される可能性があります。
- 株式の価値評価 – Nvidiaの株価は現在、予想利益の26倍で取引されており、過去の評価額や他のほとんどの大型株の評価額と比較して、はるかに合理的です。これは、期待がより合理的になり、株価の上方修正(アップサイドサプライズ)のハードルが低くなったことを意味します。
- マクロ経済および規制リスク – AI処理に特化した半導体チップの輸出制限、関税、地政学的な緊張が、Nvidiaの世界での販売見通しに影響を与える可能性があります。
注目銘柄:AIブームの中にある主要企業
Nvidiaが主な焦点となりますが、GTCの発表内容によっては、他のいくつかの企業が利益を得るか、または圧力を受ける立場にあります。
- 半導体大手であるBroadcom(AVGO)とTaiwan Semiconductor(TSM)は、Nvidiaのサプライチェーンにおいて重要な役割を果たしており、GTCからの需要に関するシグナルに基づく動きが見られる可能性があります。
- AI基盤・インフラにおけるリーダー企業 – AMD(AMD)とIntel(INTC)は、AI 処理に特化したGPUの分野におけるNvidiaの主要な競合企業であり、GTCでの画期的な大躍進に関する発表は市場の期待を変える可能性があります。
- クラウドおよびハイパースケーラー企業 – クラウドAIサービスでNvidiaのGPUに依存しているAmazon(AMZN)、Microsoft(MSFT)、Google(GOOGL)などの企業は、新しいパートナーシップやAIに関するイニシアチブについて注意深く観察されるでしょう。
- 量子コンピューティング関連銘柄 – D-Wave Quantum(QBTS)、Rigetti(RGTI)、IonQ(IONQ)、Quantum Computing(QUBT)などの企業が、Nvidiaが量子コンピューティングの統合で大きな進歩を遂げれば、注目を集める可能性があります。
- 中国のテクノロジーとAIの関連企業– Nvidiaについての高コスト懸念により、より効率的なAIモデルと、長年にわたる規制による取り締まりを経て政府が民間の技術革新を推進していることを背景に、今年強い勢いが見られた中国のハイテク企業への注目が加速する可能性があります。Tencent(TCEHY)、PDD Holdings(PDD)、XPeng(XPEV)、Xiaomi(XIACF)の決算発表も予定されており、これらの銘柄はAIのトレンドや地政学的な動向に反応する可能性があります。