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シニアインベストメントエディター
サマリー: 12月は、世界の金融市場にとって厳しい年となった2022年をそのまま縮図にしたような月となりました。主要株価指数のリターンは10月と11月に連続してプラス転換したものの、12月は総じてマイナス圏で着地しました。これは、必ずしもあらゆる資産クラスが軒並み悪化していることを示しているわけではありませんが、2023年はボラティリティの高い展開が待ち受けている可能性を示唆しています。
2022年12月、世界の株式市場は4.3%下落しました。2か月連続でリターンがプラスとなった後に冴えないパフォーマンスで1年を締めくくる結果となりましたが、これは2022年が株式市場にとっていかに厳しい年であったかを示しているといえるでしょう。インフレや利上げ、世界的な先行き不透明感を背景にリセッション懸念が払拭されない中、ボラティリティは高止まりしています。
米国株式:-5. 9% 12月の米株式市場は、6%近く下落して2022年の取引を終えました。パフォーマンスが不調となった背景には、利上げや事業環境の悪化を必然的に伴うFRB(米国の中央銀行)のインフレ抑制への取り組みがあります。FRBは、先月2024年まで緩和的な金融情勢(すなわち利下げ)は期待できないとの見解を示しましたが、これは株式投資家にとって受け入れ難いニュースとなりました。
欧州株式:-3.6% 欧州株式の月間で3.6%下落し、米国株式に比べるとやや小幅な下げにとどまりました。軟調ながらも月間のパフォーマンスで米国を上回った理由については、いくつかの見解が示されています。そのひとつに、12月中旬になって欧州中央銀行(ECB)が利上げのペースを緩めたことが挙げられます。ただ、ECBは近い将来にわたって段階的な利上げを継続する意向を示しており、欧州諸国の根強いリセッション懸念は株価の下押し要因となりました。
アジア株式 -0.4% アジア地域の株式指数は若干のマイナスで年内の取引を終えたものの、他の地域に比べると堅調な地合いを維持しました。中国ではコロナウィルスの感染拡大が続いていますが、習近平国家主席はこれまでの厳格なロックダウン政策の緩和に踏み切りました。経済の再開は中国企業の事業環境の安定化を促す可能性が期待できるため、投資家にとってポジティブな決定かもしれません。ただ、それとは別に地域全体の景況感は11月に入ってから大きく改善しています。
新興国市場 -1.6% 新興国株式指数は1.5%程度の下落となりました。米国の金融政策は、地域の市場環境に甚大な影響を及ぼしています。FRBの継続的な金融引締めのシナリオは新興国市場の重しとなってきましたが、中国のコロナ規制の政策転換と緩和は、地域にポジティブな変化をもたらすかもしれません。
前月はすべてのセクターでリターンがプラスとなりましたが、残念ながら12月は一転して全セクターがマイナスのリターンで1年を締めくくりました。
セクター別には、公益事業のパフォーマンスが最も好調で、同セクターがプラス圏で終えるかどうかを見極めるのは難しい展開となりました。本格的な冬を迎え、ロシアの軍事侵攻が続く中、公益事業は電力や暖房の供給を確保する上で引き続き重要な役割を担っています。
情報技術および一般消費財・サービスのパフォーマンスは振るわず、12月はいずれも8%以上の下落となりました。昨年は情報技術セクターにとって厳しい年となり、年末に向けて一部の大手IT企業が相次いで大規模なリストラに踏み切ったことで、同セクターの評価を見直す必要があることを示唆しました。