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コモディティ戦略責任者(Saxo Group)
サマリー: 当社は毎週コミットメント・オブ・トレーダーズ(COT)概況を発行し、商品や通貨先物市場におけるヘッジファンドや投機筋のポジション動向をお伝えしています。本稿では、1月10日(火)までの1週間の動きを考察しますが、主に中国の経済再開、米ドル安の進行、および米国債利回りの低下を受けたリスク選好姿勢の高まりを背景に、商品先物市場では穀物セクターに幅広い売りが広がる一方、金や銅への持続的かつ力強い資金流入がその一部を相殺する流れとなりました。
COTレポートは、米商品先物取引委員会(CFTC)によって公表される大口投機家の建玉明細のレポートで、ブレントの原油とガスオイルのデータはロンドン国際石油取引所が公表しています。これらのレポートは、毎週金曜日に火曜日の取引終了後に上場先物契約の建玉を集計し、各資産クラスのポジション動向をトレーダーの分類別に示したセンチメント指標として報告するものです。
商品:生産者/流通業者/加工業者/利用者、スワップディーラー、ヘッジファンドおよびその他
金融:ディーラー/仲介業; 資産運用会社/機関投資家; レバレッジ型ファンドおよびその他
為替:商業トレーダーと非商業トレーダー(投機筋)を大別
これらのトレーダーのポジション動向に注目する主な理由は、以下の通りです:
ブルームバーグ商品セクター指数の動きを見ると、貴金属(0.6%)と工業用金属(1.7%)の上昇分が、エネルギー(3.9%)、穀物(2.7%)、ソフトコモディティ(3%)、畜産物(1.5%)の下落によって相殺される格好となり、セクター間の全体的な値動きと一致しています。穀物セクターの建玉が8万7000枚減少した背景には、木曜の農産物需給予測月報(WASDE)を前に商品市場でトウモロコシ先物に対する買い越しが24%減の15万枚に減少したことがあります。また、ソフトコモディティセクターも軒並み売られ、買い越しが27%減の17万5000枚となった砂糖に下押しされ、建玉は全体で8万7,000枚に減少しました。
前週に続いて投機筋は2週連続で金と銅に資金を振り向ける動きを継続し、いずれも昨年11月初旬からの堅調なモメンタムを背景にロングポジションが順調に積み上がりました。こうした中、金の買い越しは8万2,600枚と8ヶ月ぶりの高水準に達し、6週連続の買い越しで買い建玉は約3倍に拡大しました。
一方、銅が複数の上値抵抗線をクリアし上昇を続ける中、過去数ヶ月間にわたって金属のショートポジションを積み上げていたファンドがポジションの巻き戻しを余儀なくされたことによる反動で、銅の買いが加速しました。ロングを積み増す一方、ショートを削減する動きが強まり、買い越しは2万500枚から一気に2万8,800枚に拡大し、9カ月ぶりの高水準を付けました。
木曜の農産物需給予測月報(WASDE)が強気な見通しを示す前に、投機筋は相場が2.3%下落したことで方向性を見誤った結果、穀物の買い越しは24%減の14万9,600枚に減少しました。主要穀物のトウモロコシ、大豆、小麦はいずれも買い越しとなり、特に小麦は黒海小麦の業者による競争の煽りを受けて売り越しが増加し、6%下落しました。これを受け、CBOT(シカゴ商品取引所)の小麦先物は買い越しが増加し、KCBT(カンザスシティー商品取引所)の小麦先物も2020年8月以来で初めて売り越しに転じました。ソフトコモディティでは、砂糖のロングポジションが27%減少する中でコーヒーは一段と下落し、週次ベースで9.3%安と17カ月ぶりの安値を付けました。この結果、売り越し幅は3万枚に拡大(154%増)し、2019年11月以来の最大の売り優勢の展開となりました。