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金相場:向かい風の先に投資機会を見出す

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オーレ・ハンセン

コモディティ戦略責任者(Saxo Group)

サマリー:  金相場は、先月の利回り上昇とドル高をきっかけとする調整で2000ドルを下回った後に再び安定を取り戻し、足場固めの展開となっています。目先は追加利上げ予想や根強いインフレで下押し圧力が強まるものとみられますが、当グループは金に対して引き続き強気な見通しを維持しており、FRBは下半期に来るべき景気後退によって利上げ一時停止を余儀なくされた後、いずれ利下げに転じる公算が大きいことから、金は過去最高値を更新する可能性があると考えています。


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Global Market Quick Take: Europe


※本レポートは自動翻訳を一部修正したものです。原文と和訳に齟齬がある場合は原文が優先されます。

主なポイント:

  • 金相場は足元50ドルの取引レンジで足場固めの展開となっており、1930ドルから1935ドル付近で下値支持線を形成している。

  • 足元の落ち着いた値動きは、米金利の目先の方向感が定まらないことによるものである。

  • 当グループは以下のシナリオに基づいて、引き続き金に対して強気なスタンスを維持する;1)中央銀行の積極的な金購入が継続する、2)景気悪化の見通しが強まり再び利下げが視野に入る、3)金先物や金に連動するETFに新たな買い需要が見込まれる。

 

金は、ドル高や米国債の利回り上昇、およびFRBの利下げペース減速を市場が織り込んだことをきっかけに2000ドルを下回った先月から再び安定した値動きを取り戻し、足元では50ドル程度の幅の広いレンジ内で1960ドル近辺で取引されています。しかし、以前も指摘したとおり、貴金属市場は一連の経済指標が引き続き米経済の底堅さを示し、コアインフレの鈍化ペースが減速する中でFF金利水準のピークがさらに後ろ倒しされるという課題に直面しています。

目先で再び調整入りする可能性は残されているものの、貴金属市場は底堅さを見せており、銀やプラチナは足元で金をアウトパフォームしています。ただその一方で株式市場でAI関連銘柄やメガキャップへの資金集中による株式市場の上昇相場が続く中、投資家の強い需要を集めることが困難な状況となっています。しかし、株式戦略責任者のピーター・ガンリューが直近のレポート「米国株式:市場は混乱前の静けさか」で指摘しているとおり、当グループは足元の株式市場の動きに警戒感を高めています。

当面のところ、金相場の方向性は短期金利の動きに左右される展開が続くとみられ、投資家はFF金利の方向性に賭けたトレードを行っています。こうした中、カナダ中銀が昨日予想外の利上げ再開を決定したことを受けて金は下落しましたが、その後は新たな買いが入ったことで再び下値支持線の1935ドル付近手前で切り返しています。しかし、カナダ中銀の利上げ再開によってFRBが利上げを継続するとの見方が強まったことで、センチメントはやや悪化しました。

市場は、FRBが7月までにあともう1回の利上げを行うとの見通しを織り込んでおり、年内利下げ後のFF金利の予想は5%と、先月の調整前の4月時点の予想から1%近く上昇しています。より長期的な見通しとして、FF金利は来年の今頃までに先月の3%程度から4.2%近くに上昇する見通しとなっています。

ヘッジファンド・投資家の資金フロー

高レバレッジによるトレーダー(ヘッジファンドやトレンドフォロー型のCTAなど)を含めた機関投資家は、引き続きコモディティ市場で重要な役割を担っています。これは、流動性の高い金に限ったことではなく、米国商品先物取引委員会(CFTC)は毎週コミットメント・オブ・トレーダーズ(COT)レポートを発行し、トレーダーのネットポジションに関する考察を提供しています。この機関投資家のグループは、価格変動を引き起こすというよりも、ファンダメンタルズに起因する価格変動を予測または加速、あるいは増幅させる傾向があります。こうしたモメンタム戦略は、このグループのトレーダーが強気に買い、弱気に売ることを意味し、サイクルのピーク付近で最大のロングポジションを、市場が底入れする手前で最大のショートポジションを保有するといったケースが多く見られます。



最近の金相場の下落を受けて、これらの機関投資家は過去数週間で金先物のネットロングを27%(10万8000枚または1080万オンス)削減しました。なお、今年3月の銀行危機が力強い上昇相場をもたらす前のネットポジションは24,100枚と、低い水準にありました。ポジションの削減が比較的小幅にとどまっていることは、ポジションの多くの部分が価格が下がった時に買われた可能性が高いだけでなく、テクニカル面での見通しが一段の上昇余地を疑うほど悪化していないことを裏付けています。テクニカルな見通しがそこまで悪化するには、銀行危機前の安値である1800ドル付近まで大きく売られる必要があるでしょう。

一方、金に連動するETFの総保有量は過去1週間で小幅に減少したものの、全体的な流れとしては、足元の調整は金を買い増す好機として捉えられているようです。ETFの総保有量は、今年3月10日に2855トンと3年ぶりの低水準を付けた後、足元2923トンまで回復しています。しかし、2022年に付けた高水準の3320トン、また、パンデミック禍の財政刺激策や利下げによってインフレ高騰のリスクが高まった2020年10月に付けたピークの3455トンを大きく下回っています。

短期的な見通しとして、一連の経済指標が待たれる中で当面は地合い固めの展開が継続すると予想されます。なお、当グループは主に以下の見通しに基づいて、金に対して引き続き強気な見通しを維持します;

 
  • 利回り格差が縮小するにつれてドル安の流れが継続する。

  • 景気後退リスクが高まり、FF金利がピークアウトする。過去3回の利上げサイクルでも同じことが起こっており、その後の数ヶ月から数四半期にわたって金の強い上昇を支えた。

  • 中央銀行による底堅い金需要は今後も継続する。世界的な脱ドル化の流れが加速する中、府複数の中央銀行が金保有を積み増している。ひとつ不確かなことは、金価格がこうした需要にどの程度影響を与えるかという点である。当グループは、金価格の上昇は必ずしも中銀の金需要を妨げるとは考えておらず、その影響は限定的であると考えている。

  • 当グループはインフレは一段と加速すると考えており、再び2.5%に回帰するとの市場の期待は一時的に実現する可能性はあるものの長期的には高止まりし、金の上昇を促す公算が大きいと考えられる。

  • 地政学的緊張の高まりを背景に世界の多極化が進む。

  • 投資家の買い需要は低い水準で推移しており、ここ最近はさらに減少傾向にある。これは、上記のドライバーによって金需要が大きく拡大する局面で追加のサポートを提供すると予想される。

金は現在、1930ドルから1935ドル付近をサポートに50ドルという幅広いレンジにとどまっており、アップサイドは足元1969ドルの21日移動平均線、その後は直近高値の1985ドル付近の節目を巡る攻防となっています。短期的には、1930ドルを一旦下抜けすると、その後は200日移動平均線の1840ドルを試す展開となる可能性もありますが、テクニカル面から判断すると1800ドルを上回る水準にとどまる限り、もう一段のアップサイドを試す公算が大きいと考えられます。当グループは、今後数ヶ月で米国経済の減速が顕在化し、いずれ追加利上げを巡る議論は消えゆくものとみています。またその場合、金は過去最高値に向けて一段の上昇を遂げる可能性が新たに開けるでしょう。

Source: Saxo

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