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コモディティ戦略責任者(Saxo Group)
サマリー: 新年を迎えて、金、銀、およびプラチナは上値を切り上げている数少ない商品となっています。株式を中心に、2023年はその他の資産クラスにとって再び困難な年となる見通しが強まる中で投資家は逃避先を探しており、金相場は1月に入ってからも12月に取り戻した回復力やモメンタムを維持しているようです。
Today's Saxo Market Call podcast.
Today's Market Quick Take from the Saxo Strategy Team
新年を迎えて、金、銀、およびプラチナは上値を切り上げている数少ない商品となっています。株式を中心に、2023年はその他の資産クラスにとって再び困難な年となる見通しが強まる中、投資家は逃避先を模索しており、金相場は1月に入ってからも12月に取り戻した回復力やモメンタムを維持しているようです。
2023年の展望として、リセッションや株式のバリュエーション調整リスク、各国中銀の利上げがピークアウトする中で、ドル安が進行しインフレ率は中期的な目標水準である2.5%に回帰せず4%前後に落ち着くと予想されます。当社はこれらの要因が組み合わさることによって、金属が割安な投資対象となる公算が大きいと期待しています。年初の本格的な取引が開始した火曜日は、米ドルが一時的に強含む一方で債券利回りは低下し、テスラや時価総額首位のアップルなどの優良企業の株価が現サイクルの安値を更新し株式市場は下落するなど、前述の見通しを試す展開となりました。
株式市場の見通しについては、当社のチーフ株式ストラテジストであるピーター・ガンリューが先日のレポートで次のように述べています「新年を迎えて新たな期待が高まる時期ですが、市場を取り巻くインフレ、金利、地政学リスク、中国等を巡る懸念に何ら変わりはありません。2週間後に米国企業の第4四半期決算発表が始まりますが、重要なポイントは企業が2023年のガイダンスを下方修正するのか、また、営業利益率は引き続き逆風に晒されるかどうかという点です」
前述以外で今年、金相場を下支えする要因となるのは、旺盛な中銀購入が一定のフロアを形成している点だと考えます。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は、昨年の第1四半期から第3四半期における公的機関の購入量は673トンに達し、1967年以降の年間の購入量をいずれも上回ったと報告しています。この需要の一部は、米ドルへのエクスポージャー削減を試みる数少ない中央銀行の購入が寄与しています。このようなドル離れと金に対する旺盛な需要を背景に、今年も公的機関の金購入は堅調に推移するものと予想されます。
これらに加えて金を取り巻く投資環境は良好となり、当社は金ETF経由の保有量が120トンの減少となった昨年から一転して、少なくとも200トンの増加に転じる可能性があると予想しています。一方、11月初旬にトリプルボトムを形成した局面で、ヘッジファンドはそれまで主流だった金が強含みで推移する局面で売却するスタンスから買い越しに転じました。この間、ポジションはネットで3万8000枚の売り越しから、12月27日には6万7000枚の買い越しに転じています。
新たな年が始まると、トレーダーは相場の方向性を見誤ることを恐れるばかり確信度が低下する傾向があります。しかし、同時にミスアウト(FOMA)を恐れる心理もポジションを急速に積み上げる動きを加速する要因となり、結果として相場の方向性が変化した時にエキスポージャーを保有したまま取り残されることもあります。短期的には、こうしたメカニズムが金、銀、プラチナの値動きに影響を与えるでしょう。特に、取引開始直後の数時間に強く上昇したことを踏まえると、その影響は大きいと言えるでしょう。
テクニカルな観点から考えると、本日の取引ですでに高値圏である1,852ドルを上回ったことで、相場が予想以上に早いスピードで急激に上昇したことによる反動リスクも高まっており、潜在的な投資家は調整あるいは値固めする局面を待って、買い控えを検討すべきでしょう。次の重要な上値抵抗線は、6月高値の1,878ドル、次に1,897ドルで、後者は2022年の調整局面におけるリトレースメント61.8%を示しています。一方、現在1,802ドルにある21日移動平均線まで反落する可能性も否定できず、その場合は総じてポジティブなセンチメントに変化が生じる兆しを示唆するものとなるでしょう。