投資家がディフェンシブな姿勢を強める中、金が輝く

投資家がディフェンシブな姿勢を強める中、金が輝く

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オーレ・ハンセン

コモディティ戦略責任者(Saxo Group)

サマリー:  米国の実質利回りが上昇する中、金は流れに逆らって上昇を続けており、25日には2ヶ月ぶりの高値を付けました。今後の金利上昇サイクルが、決して一過性とは言えなくなったインフレを抑える効果もなく、成長予想を鈍化させる可能性があるというリスクや、株式市場の乱高下から資産を守る盾として、投資家は金の魅力を再発見しています。


米国の実質利回りが上昇する中、金は流れに逆らって上昇を続けており、25日には2ヶ月ぶりの高値を付けました。株式市場のボラティリティの上昇、一過性とは言えないインフレ、経済成長に関する懸念を背景に、投資家は引き続き金の魅力を再発見しています。金価格は2年間にわたる48%もの急上昇の後、2021年には小幅な下落となりました。金が下落した原因は、株式相場の上昇と低ボラティリティを背景に、資産運用会社による手じまい売りが生じたこと、また、インフレ率の上昇は一過性にすぎず、経済成長や価格の安定性を長期的に脅かすことはないと信じられていたことでした。

2021年末にかけてFRBで大きな変化が起こりました。もしPowell氏のチームがFRBトップの座を望むならば、600万人の失業者の就職を支援する便宜を最大化することに焦点を当てるのではなく、FRBによるインフレ放置により実質的に毎月給与が下がっている15,000万人の就業中のアメリカ人に焦点を当てるべきだということを、Biden大統領チームがおそらく明らかにしたことがきっかけでした。Powell議長とBrainard氏(次期副議長)はともにこれに強く応じ、発言がタカ派へとシフトしたのに伴い、市場では2022年中の4回の利上げと2023年中の3回の追加利上げが織り込まれ始め、米国10年債利回りは急上昇しました。

1月初旬には、実質利回りが急上昇し始めたのに伴い、金価格は下落しましたが、その後は現物買いにより金価格は緩やかに上昇してきました。最近、注目を集め始めたことには、いくつかの理由があります。多少の買い支えとなっている現在の地政学的な懸念を別にして、他にもっと大きな原因が浮上しつつあります。そのうちいくつかの要因を以下に示します。

1) 金利上昇の影響で株価が乱高下する中で、「インフレヘッジ」や「ディフェンシブ資産」としての金の性質が改めて注目されています。同時に、投入コストの上昇と賃金上昇という2つの要素は金利上昇により低下することはないため、インフレ率の上昇は続くと我々は考えています。

2)ここ1ヶ月間、金は実質利回りの上昇から影響を受けにくくなっており(上のグラフを参照)、代わりに投資家は経済成長が鈍化するリスクと株価下落リスクをヘッジすることに注力しています。より積極的な利上げが実施されれば、景気後退リスクが高まり、FRBの政策失敗のリスクがさらに高まるため、金にとってはプラスとなる可能性があります。ここ1週間で、金地金を裏付けとするETFの総保有量は2020年9月以来最も大幅な増加となり、3ヶ月ぶりの高水準となる3,083トンに達しました。

3)ここ1ヶ月間、コモディティセクターは引き続き好調に推移し、他の資産クラスでのリスクオフによる影響は限定的でした。このことは、多くの個々のコモディティを支える強固なファンダメンタルズを浮き彫りにしています。これらのコモディティの中には、需要増加と非弾力的供給との不釣り合いが長引くものもあるはずです。世界で最も追跡されているコモディティ・インデックスの中には、金の保有比率が515%を占めるものもあるため、これらのインデックスの需要があれば、自動的に金の需要も高まることになります。

4)上のETFのチャートが示すように、資産運用会社による投資意欲が上向く兆候が見られますが、ファンダメンタルズよりもモメンタムに重点を置くことが多いレバレッジド・マネジャーの関心が高まるような値動きにはまだなっていません。118日までの1週間では、COMEX金先物のネット・ロングはわずか84,539ロットで、過去最高となった2019年の水準を約71%下回っています。この投資家セグメントの需要を引き付けるには、金価格が2020年から2021年にかけての調整の50%戻しの水準、かつ2021年の高値でもある1877ドルを最低でも突破する必要があります。強気の見通しを維持するには、金価格は200日間移動平均線(現在は1,805ドル)を上回る水準を維持する必要があります。一方、1,790ドルを割り込めば、より大幅な調整となる可能性があります。

Source: Saxo Group

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