コモディティ:主要農作物は上昇基調に転じる

コモディティ:主要農作物は上昇基調に転じる

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オーレ・ハンセン

コモディティ戦略責任者(Saxo Group)

サマリー:  今年は北ヨーロッパや黒海地域、および米国の一部で水不足が続いており、農作物の収穫に悪影響を及ぼすとの懸念が高まっています。これを受けて、穀物や大豆は6月に入って力強い上昇を遂げました。小麦価格は引き続き前年の水準を20%以上下回っているものの、パリやシカゴの取引価格は直近の6営業日の取引で6%程度上昇し、穀物価格の上昇を牽引しています。


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今年は北ヨーロッパや黒海地域、米国の一部で発生している水不足が続いており、農作物の収穫に悪影響を及ぼすとの懸念が高まっています。このため、過去数週間から一部では数ヶ月にわたる下落相場を終えて、穀物や大豆は6月に入って力強い上昇を遂げました。小麦価格は引き続き前年の水準を20%以上下回っているものの、パリやシカゴの取引価格は直近の6営業日の取引で6%程度上昇し、穀物価格の上昇を牽引しています。

また、昨年の豊作の後に、世界最大の輸出国であるロシアの春小麦も雨不足の影響を受けており、アルゼンチンでは冬小麦の作付けが難航しています。さらに、ウクライナでは巨大なダムが破壊され、紛争地域からの黒海への供給が新たな懸念材料となっています。

一方、世界最大級のトウモロコシ生産国である米国では、主要生産地で水不足が悪化していることが明らかとなっています。極めて良好であった米国産トウモロコシのレーティングは先週日曜日の時点で1週間前の69%から64%に低下しました。また、生産量第2位のイリノイ州のトウモロコシでは19%も低下し、東部のコーンベルト地帯周辺でも非常に乾燥した天候が続いたたことが影響しました。

今年はエルニーニョ現象が発生するとの予報が正しければ、アジアは今後数ヶ月間、厳しい暑さに見舞われることになりそうです。この気象現象は7月頃から発生すると予想されており、オーストラリア政府はすでに来シーズンの小麦生産量の見通しを3分の1程度に引き下げています。また、アジアでは最近まで高温・乾燥の天候が続いており、砂糖やロブスタコーヒーの価格を下支えしています。またフロリダでは、過去60年間で最も少ない収穫量になるとの見通しの中、悪天候により冷凍オレンジジュースの価格が過去最高を記録しました。


全体として、これらの世界的な動きは、気候変動による栽培条件の不安定化が継続するリスクを浮き彫りにしています。現在の乾燥した天候の影響を緩和するための時間はまだ残されていますが、今年の農作物の価格を押し上げる格付け低下を回避するためには、今後数週間以内に大雨が必要であり、その可能性は極めて低いと考えられます。

米国農務省は先週金曜に月次の世界農業需給推計レポート(WASDEレポート)を発表しました。その内容から判断すると、今後、市場は米国の生産量や期末在庫、南米の生産量見通しが修正されるか否かに注目することになるでしょう。アナリストは、米国のトウモロコシの期末在庫が先月の22億2000万ブッシェルから22億5000万ブッシェルへとわずかに増加し、米国の小麦生産量は5月の16億6000万ブッシェルから16億7000万ブッシェルとと小幅な増加を予想しています。南米のデータでは、アルゼンチンのトウモロコシと大豆の生産が気温上昇の影響を受けてトウモロコシのレーティングは5月に比べて3.8%減、大豆は8.5%減となり、今後さらに引き下げられる見通しです。

穀物市場では、ヘッジファンドやトレンドフォロー型CTAファンドなど、高レバレッジのトレーダーを含むマネー・マネージャーが依然として重要な役割を果たしており、米商品先物取引委員会(CFTC)は毎週、Commitment of Traders Reportを通じて、これらのトレーダーのポジションを集計しています。このグループは、価格変動を引き起こすというよりも、ファンダメンタルズに起因する価格変動を予測または加速、あるいは増幅させる傾向があります。こうしたモメンタム戦略は、このグループのトレーダーが強気に買い、弱気に売ることを意味し、サイクルのピーク付近で最大のロングポジションを、市場が底入れする手前で最大のショートポジションを保有するといったケースが多く見られます。

5月30日までの週をカバーする最新のCOTレポートでは、トウモロコシの大きなショートカバーが見られ、直近では2020年8月以来の規模となる11万8000枚のショートとなりましたが、最新の報告週では5万1000枚まで減少しましたた。CBOT小麦は昨年7月以降、売り越しが続いており、先週は5年ぶりの高水準となる12万7000枚のショートとなりましたが、カンザス州HRW小麦の1万枚のネットロングにより、一部相殺されました。一方、大豆は、輸出業者が南米産との競争に苦戦する中、ポジションは3年ぶりに中立へと引き下げられました。

全体として、主要3作物の売り越しは17万8000枚となり、昨年の水準を62万7000枚、過去5年間の平均を32万9000枚下回る結果となりました。これは、テクニカルやファンダメンタルズの見通しが価格をサポートする相場展開となった場合、ポジションにアップサイドリスクが生じる可能性があることを示唆しています。

UCITS適格のWisdomTree Grains Exchange-traded commodity (ETC)は、Bloomberg Grains Indexをトラッキングし、大豆(36.3%)、トウモロコシ(35.4%)、CBT小麦(16.3%)カンザス小麦(12%)の配分に分散されたエクスポージャーを提供しています。ETCは最近14カ月ぶりの安値を付け、2020年8月から昨年3月4日にロシアのウクライナ侵攻が引き起こしたパニック時のピークにかけて生じた175%の上昇のうち、その50%近くを巻き戻しました。

Source: Saxo

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