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コモディティ戦略責任者(Saxo Group)
サマリー: エネルギーセクターは原油を牽引役として1ヶ月にわたり上昇を続けています。それに伴い、米国FRBがインフレ圧力を抑え込もうとさらに厳しい措置を講じるとの予想から、最近の国債利回りの急上昇が支えられています。その結果、テクノロジー株中心のNasdaq指数をはじめとする他のセクターが打撃を受ける中、エネルギー関連の株式やETFは急落を免れてきました。しかし、短期的には、RSIが70を上回り、ボリンジャーバンドの上限付近での売買が続いていることから、調整が必要な局面であることが示されています。
エネルギーセクターは原油を牽引役として1ヶ月にわたり上昇を続けています。それに伴い、米国FRBがインフレ圧力を抑え込もうとさらに厳しい措置を講じるとの予想から、最近の国債利回りの急上昇が支えられています。その結果、テクノロジー株中心のNasdaq指数をはじめとする他のセクターが打撃を受ける中、エネルギー関連の株式やETFは急落を免れてきました。一時的な混乱を一因として、原油の供給が現在の旺盛な需要になかなか追いつかない中、債券利回りの急上昇から金利敏感株が打撃を受ける可能性がある一方、いわゆるオールドエコノミー株は無事であるという状況が浮き彫りになっています。
オミクロン株の急拡大が世界的な石油消費に及ぼす悪影響は軽微にとどまる一方で、OPECプラス内では、合意された水準まで生産量を増やすことに苦戦している加盟国もあることが認識されています。このことが、ここ数週間のエネルギーセクターの先物・株式の上昇の一因となってきました。
特にナイジェリアとアンゴラでの問題が原因で日量40万バレルの月間の増産が達成されなかったように、ここ数カ月間はOPECプラスの過剰な遵守が目についていました。しかし最近は、ロシアを含む他のいくつかの産油国は、さらに増産を進めようと必死に取り組んでいます。国際エネルギー機関(IEA)が発表した月次の石油市場レポートによると、12月にはOPECプラスの増産量は計画量の60%にすぎず、S&P Global Plattsの推計では、12月の累積不足量は日量110万バレルに増加したと見られます。
また、IEAは、世界的な供給過剰が縮小している一方、石油需要はパンデミック前の水準に戻る回復基調にあると述べ、予想通り、第1四半期と第2四半期の供給過剰に関する従来予想を引き下げました。新型コロナのパンデミックは再び記録的な感染を引き起こしていますが、感染の急拡大が石油需要に及ぼす影響は遥かに軽微にとどまっています。さらに、IEAは、現在のガス危機がガスから他の燃料への切り替え増加を招いたことについても言及しました。
IEAの予想によれば、世界の石油需要は2021年に日量550万バレル増加した後、2022年には330万バレル増加すると見られます。OPECプラスの段階的な増産により余剰生産能力は減少しており、残りの余剰生産能力は数少ない中東の産油国と米国に集中することになる可能性があります。
今週、ブレントとWTIはともに最近のサイクルの高値を突破し、2014年以来の高値を更新しました。このブレイクアウトにより1バレル90ドルが視野に入っており、Goldman Sachsは下半期にはこの水準に達する可能性があると主張しています。さらには、今後数ヶ月から数年にわたる市場環境の逼迫を考えると、1バレル100ドルまで上昇する可能性もあるとの見方もOPEC内で出てきています。
モメンタムは依然として強く、両先物契約の建玉残高は順調に増加しています。一方、最近の上昇にやや遅れて投機筋が参入したことで、1月11日までの1週間に、WWTIおよびブレントの強気ポジションが14ヶ月ぶりに大きく押し上げられました。この週の間に、ブレントとWTIの合計ネットロング(強気派と弱気派の差を示す)が2020年11月以来最大の増加となり、53万8,000ロット、すなわち5億3,800万バレルに達しました。とはいえ、直近のピークである昨年6月の73万7,000ロットをまだ大きく下回っています。
短期的には、RSIが70を上回り、ボリンジャーバンドの上限付近での売買が続いていることから、調整が必要な局面であることが示されています。もし調整に入れば、ブレントでは86.75ドル、WTIでは85.50ドルという直近の高値が最初の下値抵抗ラインになるでしょう。更なる上昇の見通しに疑問の余地はないものの、最近の大幅な上昇を考えると、両先物は10%程度調整する可能性があります。