1Q決算:AlphabetとMicrosoftの業績は予想を上振れ;Metaの決算に注目

株式
Peter Garnry

Chief Investment Strategist

サマリー:  昨夜(25日引け後)に発表されたMicrosoftとAlphabetの決算は、先行き不透明感や景気の減速懸念が高まる中においても米国の巨大テック企業が揺るぎない成功を収めていることを改めて示す内容となりました。特にMicrosoftは、クラウド事業であるAzureの需要拡大を追い風に予想を上回る好決算となり、同事業においては第2四半期も26~27%の成長を見込んでいます。しかし、Microsoftはすべての事業で順調というわけではなく、英国の反トラスト規制当局は26日、同社によるActivision Blizzardの買収計画を却下しました。その他にも、コスト削減の一段の進展とMetaverse事業への投資減速が期待されるMeta(26日引け後)の1Q決算のプレビューをお伝えします。


※本レポートは自動翻訳を一部修正したものです。原文と和訳に齟齬がある場合は原文が優先されます。

ザッカーバーグはMetaverse事業から撤退するか?

マーク・ザッカーバーグは社名を「Facebook」から「Meta」に変更し、Metaverse事業への投資を大幅に加速するという壮大な賭けに出ましたが、それは同社にとって最悪のタイミングとなりました。2022年はFRBの利上げ開始を受けて米テクノロジー株が調整局面入りし、米国のテック企業にとって悪夢のような年となりました。また、コロナ後の経済活動の再開はモノからサービスへと消費行動の変化を促す結果、オンライン広告の伸びが急激に鈍化することを意味しました。さらに悪いことには、Appleによるプライバシー方針の変更は、Metaの。ンライン広告の価格決定力を低下させました。同社の通期の予想EBITDAは、2021年10月の900億ドル程度から2022年10月にはわずか480億ドルへと一気に落ち込みました。

Metaverse事業への大きな賭けは当初こそ一定の支持を得たものの、消費者の興味を十分掻き立てることが難しく、利用率が極めて低いことが昨年中に明らかになりました。2022年後半には、ザッカーバーグ自身が判断を誤ったことを認め、大規模な人員削減を開始すると同時にMetaverse事業への投資も徐々に縮小してゆきました。この時点で、同社の株価は2021年9月の高値から89ドルへとじつに76%下落しました。しかし、それを底値に同社の株価は足元207ドルまで回復し、通期の予想EBITDAも上昇しています。

Metaの第1四半期決算において、投資家は主に次の2つに注目しています。一つ目はMetaがコスト削減による営業利益率の改善を遂げ、それが第2四半期以降も継続できるか否か、ということです。ただし昨夜公表されたAlphabet(グーグルの親会社)の決算でオンライン広告市場が予想に反して底堅いことがすでに確認されており、Metaにとって幸先の良いスタートとなっています。二つ目に、投資家はザッカーバーグ氏がMetaverse関連の投資を一段と縮小することに期待を寄せています。同氏はMetaverse構想を完全に否定するといった抜本的な決断を下す可能性は低いと考えられますが、少なくともMetaverse事業に失望し、事業を継続する一方で減速させる考えを示すことによって投資家を十分納得させることができるでしょう。

Meta share price | Source: Saxo

Microsoftの決算は予想を上振れも、Activision Blizzardの買収は難航

年初以降の米株式市場の小幅な上昇相場は、超大型株が主導してきたと指摘する声も多く聞かれます。こうした市場の動きは本質的な脆弱性を覆い隠している解釈することもでき、それは間違っていないでしょう。しかし、別の見方をすれば、株式市場は超大型株の収益が期待以上に拡大し、業績は予想を上振れするとの見通しを正しく織り込んでいたとも解釈できます。実際、Microsoftが昨夜発表した2023年第3四半期(1月~3月)の決算は、売上高とEPSの両方で予想を上回り、こうした見方が正しいことを証明しました。同社の決算はクラウド事業Azureの力強い成長を背景に、売上高は予想510億ドルに対して529億ドル、EPSは予想の2.24ドルに対し2.45ドルと力強い内容となりました。同社は為替の影響を除いた場合、第4四半期もクラウド事業で26~27%の成長を見込んでいます。Microsoftは、AIは将来的に圧倒的な成長ドライバーと位置付け、新たなAIシステムの整備に必要なデータセンターの拡充に伴い、設備投資を増強しているとコメントしています。

 Microsoftとその株主にとって、第3四半期の業績は明らかに勝利となりましたが、その一方で同社はゲーム会社Activision Blizzardの買収によってもう一つの勝利を収める機会をを失いました。英国の反トラスト規制当局である競争・市場庁(Competition & Markets Authority:CMA)は、マイクロソフトがActivision Blizzardのゲームを自社のクラウドサービスによって市場を独占し、ソニーのプレイステーションなどのゲーム機メーカーを排除する可能性を懸念し、750億ドル規模の買収を阻止することを決定しました。一般的な考えとしては、Microsoftほどの巨大企業の場合、市場が少数の企業にさらに独占されることを防ぐために大規模な買収は容認すべきではないとの考えがあります。また、代わりに余剰なキャッシュフローは配当や自社株買いで株主に還元するべきでしょう。現時点では買収が見遅れられたことはMicrosoftにとって痛手となりましたが、株主には歓迎されるでしょう。
Microsoft share price | Source: Saxo

Alphabetの広告収入は減少も復活の兆し

一般に、企業は景気の見通しが改善している時にマーケティング支出を増やすため、広告はシクリカルな産業であると同時に、景気の先行指標となります。Alphabetの主要事業であるGoogleは、広告収入が546億ドルと予想(538億ドル)を若干上回ったほか、クラウド事業の営業利益が初めて黒字に転じました。これは、競合するAmazonのAWSやMicrosoftのAzureと収益性が著しく見劣りしてきた同社のクラウド事業が重要な転換期に差し掛かっている可能性を示唆しました。また、Alphabetの営業利益は174億ドルと、予想の162億ドルを上回り、コスト削減の取り組みが同社の収益性の改善に寄与し始めていることが確認されました。

Alphabetは700億ドルの自社株買いも発表しており、同社の経営陣が広告業界に対してポジティブな見通しを持っていることがわかります。また、AlphabetのCEOはカンファレンスコールで、最新のAI技術が広告事業に付加価値を与える可能性があると述べるなど、第1四半期決算は新たなAI時代におけるGoogleに対する投資家の悲観的な見方を落ち着かせるきっかけとなりました。

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