最近の市場動向
ナスダック 100 (USNAS100.I) と S&P 500 (US500.I)は強気相場だが反転警告サインが残る
昨日の米国株式は、金曜日に発表が予定されている雇用統計を前に、大きなイベントもなく小動きに終始しました。ナスダック100は0.4%上昇し、S&P500は横ばいで終了。住宅建築と鉄鋼セクターが最も上昇しました。一方、自動車と石油・ガスセクターが最も下落しました。週間では、ナスダックが2.7%、S&P500が0.5%といずれも上昇しました。市場終了後、予想を上回る業績を発表したイェルプ(YELP:xnys)、ドアダッシュ(DASH:xnys)、カーバナ(CVNA:xnys)、クラウドフレア(NET:xnys)の株価が時間外取引で10%以上上昇しました。
テスラの株主は、より多くの投資家を呼び込む株式分割を承認
テスラ(TSLA)株については強気な展開が続き、現在5月の安値から50%上昇して取引されています。テスラでは、より多くの個人投資家を呼び込むため、1株を3株とする株式分割を株主が承認したことから、株価が通常取引時間から市場終了後にかけて急上昇しました。分割後の株価は理論上、300ドル台に下がることになります。現在は925.00ドルで取引されています。株式分割は企業のビジネスモデルには影響を与えませんが、小口投資家に値ごろ感をもたらします。テスラの年次総会でマスク氏は、商品価格が下落しているため、インフレは半年前ほどには事業に影響を与えていないと述べました。一方で同氏は、可能な限りコストを抑制するため、バッテリーセルの内製化を進めています。また、新たな収益源として、マスク氏はサイバートラックの生産を来年半ばに開始する予定であることを明言しました。テクニカルな観点からは、テスラ株は売られ過ぎの領域にあり、買い戻しが入る可能性があります。
米国債の取引はまちまち
木曜日、米国債の2年債から10年債までの利回りは2bpから5bp低下し、5年債が最も上昇(+5bpの2.78%)しました。これは米国の継続失業保険申請件数が8か月ぶりの高水準となったことや、イングランド銀行が英国の景気後退を強調したことで英国債やドイツ国債の価格が上昇(利回りは低下)したことを受けたものです。一方、30年物米国債の利回りは1bp上昇し2.96%となりました。5-30年債のイールドカーブは6bpスティープ化しました。クリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁が「インフレを抑制する」というFRBのコミットメントを改めて表明し、「金利は4%を少し上回る程度で考えている」とコメントしたが、市場へのインパクトは小さかったようです。今朝のアジア市場で、10年債は2.67%で取引されています。
本日の雇用統計を控え、夜間にドルの売り
ドルインデックス(DXY)が0.8%戻し105.69となったのは、本日発表予定の米雇用統計を前にしたポジショニングで、対ユーロ、対円のドル売りが進んだためです。雇用の伸びが弱ければ、FRBのタカ派的スタンスが弱まることを見越してドルが下落する可能性が高いとみられます。
香港のハンセン(HSI.I)と中国のCSI300(000300.I)
台湾海峡の緊張に対する不安が一時的に後退し、また、中国の第3四半期のインフラ投資が大幅に増加し2022年通年で前年比11%増になるとの業界専門家の予想を
中国証券報が報じたことを受けて楽観論が戻り、市場センチメントが改善しました。A株では、医薬品、電力、飲食、超高圧電力、CRO、シリコーンなどがアウトパフォームし、防衛、自動車、ビューティーケアなどが下落しました。 CSI300は0.85%上昇しました。
香港では中国ネット株が上昇し、ビリビリ(09626:xhkg)+6%、アリババ(09988:xhkg)+5.2%、ジェイコム(09618:xhkg)+5.5%、百度(09888:xhkg)+4.2%、美団(03690:xhkg)+3.8%、テンセント(00700:xhkg)+3.1%となりました。ハンセン・テック指数(HSTECH.i)は3.2%高と急伸しました。台湾海峡の緊張が加速する中、戦略産業の発展推進のための政府からのさらなる支援を期待する投資家が多く、半導体銘柄は、SMIC(00981:xhkg)が+3%、華虹(01347)が+5%と続伸しました。
原油価格(OILUKSEP22 & OILUSSEP22)
原油価格は現在、需要の弱含みと短期的な供給の改善により、ロシア・ウクライナ紛争が始まって以来最も低い水準まで下落しています。WTI先物は90ドル/バレルを割り込み88ドル/バレルとなり、重要なサポートレベルを下回りました。ブレント先物もアジア時間朝に95ドル/バレルを割り込む場面も見られました。需要破壊懸念が下押し要因となっていましたが、英中銀による景気後退の明確なガイダンスに加え、ECBの下振れ見通しが懸念を増幅させています。一方、リビアの供給量増加やカザフスタンの基地建設が楽観視されていることから、目先の供給不足懸念は緩和されています。
英ポンド/米ドルは反転下落
英ボンド/米ドルは、英中銀の50bpの利下げに即反応して上昇しましたが、暗い成長見通しを受けて下方圧力が強まりました。しかし、米国時間にはドル安が進行し、英ボンド/米ドルは1.2160レベルまで回復しました。一方、ユーロ/英ポンドは、ECBの調査でも経済成長率の低下とインフレ率の上昇が指摘されているにも関わらず、終始0.8400台で推移しました。
金(XAUUSD)は抵抗線を突破
ペロシ大統領の台湾訪問をきっかけに地政学的緊張が高まる中、安全資産の金への需要が高まっています。軍事的な反応も見られるが、現時点ではまだ慎重な対応にとどまっています。戦略的な対応が中期的な動向のカギとなるでしょう。金は1,780ドルの重要な抵抗をクリアし、次は心理的に重要な1,800ドルのレベルを試すことになります。今週は米ドルの下落と利回りの低下も投資家の投資意欲を後押ししています。
考慮すべき事項
市場はここから反転するのか、またどのセクターがアウトパフォームする可能性があるか
テクニカル分析の観点からは、ナスダック100はテクニカル指標であるRSIが70の水準にあり、買われ過ぎの領域に入っています。RSIの水準がここまで上昇したのは、2021年10月です。そしてその後、15%上昇したものの、弱気相場に転じました。これを裏付けるように、テクニカルアナリストは、市場は重要なレベルに達する前に、来週まで上昇する可能性があると考えています。ナスダック100が次の重要な抵抗線である14,249をヒットし、それを上抜けるかどうかに注目しています。もしこの抵抗線に達したら、FRBが利上げを進めていること、そして(エネルギー関連を除く)企業収益が減少していることから、相場は反落の可能性が高いと思われます。つまり、6月安値からの上昇分が失われる可能性があるということです。そうした中でも、今後も上昇を続ける可能性が高いのは、金利上昇を維持しながらフリーキャッシュフローを拡大できるエネルギー企業でしょう。そのようなセクターとしては、記録的な需要と価格の恩恵を受けている石炭セクターが挙げられるでしょう。
イングランド銀行は50bpの利上げを実施、暗い見通しを提示
イングランド銀行(英中銀)は、大多数の予想通り、政策金利を50bp引き上げて1.75%としましたが、金融政策委員会メンバーのなかで反対票が1名ありました。さらに重要なのは、インフレ率が今年後半に13%のピークを迎え、3年後には目標を下回ることから、第4四半期から完全な景気後退が始まると予想したことです。景気後退は2022年第4四半期に始まった後、5四半期続くと予測されており、英中銀による引き締めが減速するのはその時期となる可能性を示唆しています。同時に、英中銀は9月下旬からバランスシートを12か月で800億ポンド削減する計画(以前は500~1000億の幅と報じられていました)です。
米7月非農業部門雇用者数、労働市場の逼迫を再確認
先週の新規失業保険申請件数は26万件に増加し、8か月ぶりの高水準となりました。継続申請件数も4月以来の高水準となりました。新規失業保険申請件数と継続申請件数の4週間移動平均が着実に増加していることは、雇用の増加がやや緩やかになっていることを示唆しているかもしれませんが、申請件数の増加は、一般的に雇用喪失や失業率の上昇に関連するレベルをまだ下回っています。労働市場は依然としてタイトです。ブルームバーグの調査では、7月の非農業部門雇用者数は25万人増、失業率は3.6%で変わらず、平均収入は前月比0.3%増、前年同月比4.9%増と予測されています。非農業部門雇用者数データで注目すべきもう一つのポイントは、労働市場の構成、特に雇用者数の増加が持続するかどうかを理解することでしょう。労働市場の成長は現在、レジャー・サービス業に集中しており、個人の可処分所得の周期的な減速の影響を受けています。建設業は住宅ローン金利の上昇により住宅産業の成長が妨げられているため、雇用が伸び悩むと思われます。
アリババの業績は市場予想を上回る
アリババ(09988:xhkg/BABA:xnys)の6月期(Q1FY233)決算は予想を上回りました。 売上高は2,056億人民元で前年同期比横ばいでしたが、ブルームバーグが調査したコンセンサスを1%上回りました。 非GAAPベースのEPSは11.73元に減少しましたが、コンセンサスを14%上回りました。調整後EBITAは344億元(前年同期比18%減)、非GAAPベースの純利益は314億元(同31%減)でしたが、いずれも予想を上回りました(ブルームバーグが調査したコンセンサスに対してそれぞれ25%、14%増)。予想を上回る業績となったのは、主にコスト削減によるものです。アリババのeコマースプラットフォーム、淘宝(タオバオ)などの損失は縮小しました。同社のビジネスは、4月と5月にロックダウンの影響を大きく受けましたが、5月下旬から回復し始めました。経営陣は、業績回復が続き7月にはそれがより明確になったものの、顧客の需要は全体的にまだ弱く、完全に回復するまでには時間がかかると述べました。 当四半期、アリババは合計35億米ドル相当の自社株買いを実施しましたが、2024年3月までにまだ120億米ドルの自社株買い実施枠が残っています。
中国国家電網公司、1.3兆元相当のプロジェクトを建設中
中国証券報は、中国国家電網公司が高圧交流、系統連系、送電、超高圧の分野で総額1兆3千億人民元のプロジェクトを建設中であると報じました。同社は、これらのプロジェクトが、関連する上流および下流への追加投資2.6兆元をもたらすと見込んでいます。
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