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サマリー: 12月の米ADP雇用統計および新規失業保険申請件数が予想以上に堅調な内容となったことに加えて、FRB政策当局者のタカ派的コメントによって利上げが「より高い水準でより長く(higher for longer)」継続する懸念を再燃させました。これを受け、米国株は前日比1%以上下落し、米2年債利回りは10bps上昇し4.46%で取引を終えました。本稿では米雇用統計の内容に注目します。6日公表の米非農業部門雇用者数(NFP)、失業率、平均時給が注目されます。
5日公表された米ADP雇用統計は底堅く推移し、新規失業保険申請件数も予想以上の低水準となったことを受けて米国株は売られました。また、米地区連銀のジョージ総裁ならびにボスティック総裁のタカ派的なコメントは利上げ長期化に対する懸念を再燃させました。米セントルイス連銀のブラード総裁がややハト派寄りの見解を受けて反発する場面もあったものの、6日公表の米非農業部門雇用者数(NFP)が予想以上に堅調となる観測が流れる中で一時的な上昇にとどまりました。ナスダック100 (NAS100.I) 1.6%安、S&P 500 (US500.I) は1.2%安と、いずれも下落して取引を終えました。業種別には、S&P500の11業種のうち、エネルギー以外のすべてのセクターが下落しました。なかでも不動産、公共事業、情報技術が最大の下落率となりました。一方、WTI原油価格が1.6%上昇したことを受け、エネルギー関連銘柄は2%近く上昇しました。個別銘柄では、コロナ検査とワクチン接種の需要減少を指摘したドラッグストア大手のWalgreens Boots Alliance (WBA:xnys)が6.1%安の35.19ドルとなりました。一方、増収増益のガイダンスを発表した食品会社のConagra (CAG:xnys)は3.4%上昇しました。
ADP雇用統計で大幅な雇用増加と新規失業保険申請件数ならびに失業保険継続受給者数の減少が確認されたことを受けて、米国債は取引開始直後に全ての年限で売られました。カンザスシティー連銀のジョージ総裁が、ターミナルレートの見通しを5%超えに引き上げ、その水準を2024年まで維持すると発言したことが、利上げ継続に伴う景気後退への懸念を誘いました。また、アトランタ連銀のボスティック総裁は、インフレをFRBが目標とする2%に戻すためには「やるべき仕事は山積している」と述べました。その後、同日行われた講演会でセントルイス連銀のブラード総裁がこれまでのタカ派姿勢がやや弱まる内容となったことで長期債に買いが入ったものの、短期債は売り優勢の展開にとどまりました。ブラード氏は「政策金利はまだ十分に制限的といえる水準ではないが、より近づいている」と述べ、2023年は「ディスインフレの年」になる可能性があると付け加えた。年物の利回りは10bps安い4.46%、10年物は4bps低い3.72%で、この日の取引を終えた。一方、30年物の利回りは3.87%まで上昇した後、3.79%で横ばいとなった。ブラード総裁は「政策金利は十分に景気抑制的と見なされ得る領域にはまだ入っていないが、それに近づきつつある」とした上で、「2023年はインフレ上昇が一段と鈍化し得る」との見解を示しました。米2年債利回りは10bps上昇し4.46%となった一方、10年債利回りは4bps下落し、3.72%で取引を終えました。なお、30年債利回りは一時3.87%まで上昇した後、3.79%まで戻し横這いで取引を終えました。
12月の中国サービス購買担当者景気指数(PMI)が予想を上回る強い内容となったことに加えて、中国政府が待ち望まれた中国本土と香港との境界開放を2023年1月8日から段階的に進めると発表したことを受けて、香港ハンセン(HIZ2)中国CSI300指数(03188:xhkg)はいずれも1.9%近く上昇しました。香港ハンセン指数の構成銘柄のうち、インターネットプラットフォーム大手Alibaba (09988:xhkg) やフードデリバリーのMeituan (03690:xhkg)、レストランチェーンのHaidilao (06862:xhg)、ビール製造のChina Resources Beer (00291:xhkg)やBudweiser (01876:xhkg) が最も大きく上昇しました。中国・香港間ストックコネクト経由のA株への資金流入は120億元超と急速に拡大し、約1カ月ぶりの高水準となりました。中国本土市場で取引される銘柄のうち、白酒製造のBaijiu (Chinese white liquor)は需要のリバウンド期待から急騰しました。このほかA株市場では、電気機器、家電、証券、美容関連が上昇率の上位銘柄となりました。
5日公表された強い米雇用指標を受けてドルがすべてのG10通貨に対して上昇したことから、ドル指数 (DXY) は0.9%上昇して105.04で取引を終えました。ユーロは対ドルで1.0520と0.9%下落したほか、米ドル/円は133.40と0.6%上昇しました。豪ドル/米ドルは、0.6750と1.2%戻しました。人民元は、中国の旧正月に向けた本土への資金回帰や株式関連の資金流入を背景に引き続き買いが優勢となり、対ドルで6.8890と堅調地合いを維持しました。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した米国企業が在庫に保有する商業用原油量は170万バレルの増加にとどまり、予想の450万バレルの増加を大きく下回りました。これを受けWTI原油は1.5%上昇し、73.90ドルで取引を終えました。一方、米天然ガス先物の終値は、EIAが発表した米国の天然ガス生産量の減少幅が市場予想を下回ったことから、10%安の3.75ドルとなりました。
ADP雇用統計は、12月の米民間部門雇用者数がコンセンサス予想の15万人増に対して23万5,000増と、予想を大きく上回る結果となりました。また、11月の雇用数の実績も、前回発表時の12万7,000人から18万2,000人に上方修正されました。雇用者数が12万3,000人増となったレジャー・ホスピタリティ業が全体の伸びに寄与した結果、サービス部門の雇用は21万3,000増加しました。ADP雇用統計の底堅い内容に合わせて、2022年12月31日までの1週間の新規失業保険申請件数は前週の22.3万人(前回発表22.5万人)から20.4万人(事前予想の22.5万人を下回る)に減少しました。また、失業保険継続受給者数も169.4万人と、市場予想の172.8万人、前週の171.8万人(速報値171万人)のいずれも下回りました。
大企業のレイオフやストライキの報道が目立つ一方、ブルームバーグがまとめた6日公表予定の12月非農業部門雇用者数のコンセンサス予想は20万3,000人増と、11月の26万3,000人から小幅な減少にとどまる見通しです。今週発表されたJOLTS求人、ADP雇用、失業保険申請データは、12月の堅調な雇用増と一致している。失業率は3.7%で据え置き、平均時給は前月比0.4%増(前回:0.6%)、前年比5.0%増(前回:5.1%)と予想されている。今週これまでに公表された米雇用動態調査(JOLTS)、ADP雇用統計、失業保険申請者数のデータは、いずれも12月の米労働市場が底堅く推移したことを裏付ける内容となりました。コンセンサス予想では失業率は横ばいの3.7%、平均時給は前月比+0.4%(前回0.6%)および前年同期比+5.0%(同5.1%)となる見通しです。
ブラード総裁の講演「2023年はディスインフレの年となる」セントルイス連銀のブラード総裁はCFA Society St. Louisが主催する講演会で「2023年はディスインフレとなる」というタイトルの演説を行いました。その中でブラード総裁は「政策金利は十分に景気抑制的と見なされ得る領域にはまだ入っていないが、それに近づきつつある」と述べ、同氏のこれまでのコメントや同日公表された米地区連銀のジョージ総裁ならびにボスティック総裁の発言に比べてややタカ派姿勢を弱める見解を示しました。また、「FRBの金融政策によって期待インフレ率は目標と整合する水準に回帰しつつある」とし、「これらを勘案すると2023年はディスインフレの年となる可能性」があり、「実体経済の正常化に伴い、23年は実質インフレ率がインフレ期待に追随し、より低い水準に向かう公算が大きい」と言及しました。
12月の欧州主要国(スペイン、フランス、ドイツ)のインフレ率は低下する見通しです。また、ユーロ圏CPIも同様に減速し、3ヶ月ぶりに一桁台に落ち込むとの予想が示されています。エコノミストのコンセンサス予想によると、11月の消費者物価指数は前年同月比10.1%に対し9.7%にとなる見通しです。これは、エネルギー価格の下落(ベース効果、石油・ガス価格の下落、一部の欧州諸国で導入された価格高騰抑制措置)が一因となっています。より詳細なデータに基づくと、総合インフレ率は予想以上に大きく低下する可能性もあります。しかし、これは目先で欧州中央銀行(ECB)が政策スタンスを調整する可能性を示唆するものではないでしょう。インフレ上圧力は、ユーロ圏の大半の国で上昇し続けています。また、エネルギー価格の下落はあくまでも一過性のものにとどまるとの懸念も払拭できません。
アマゾン(AMZN)のアンディ・ジャッシーCEOは、同社が計画する人員削減の規模を従来の1万人から1万8000人以上に拡大することを発表しました。同社の従業員数は150万人程度に上り、ジャッシーCEOはパンデミック禍で人員を採用しすぎたと説明しています。
12月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は48.0と11月の46.7から上昇し、コンセンサス予想の46.8を上回ったものの、引き続き好不況の節目となる50を割り込みました。生産と新規受注が改善する一方、11月に拡大した外需は縮小に転じました。
中国政府が待ち望まれてきた中国本土と香港特別自治区との境界を再開放し、2023年1月8日付で施行する旨を発表しました。
中東最大の銀行ファースト・アブダビ・バンク(FAB)は英銀スタンダードチャータード(STAN:xlon; 02888:xhkg)買収の可能性を模索していたものの、見送ったことを明らかにしました。
中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)は、中国本土のAIA(01299:xhkg)とPICC Property & Casualty(02328:xhkg)の国内部門が最低資本金と実質資本の計算に係る算定基準を遵守せず、不正確なソルベンシー比率を公表する結果をもたらしたと抗議しました。これを受けAIAとPICCの株価は急落し、それぞれ2.5%、1.1%下落しました。
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