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Chief Investment Strategist
サマリー: 4月11日の週に米国の金融業界は第1四半期決算発表シーズンに入ります。注目すべき主な米国決算銘柄はJPMorgan Chase、Wells Fargo、Citigroupなどです。金利が上昇しているにもかかわらず、米国金融銘柄は2月中旬以降、S&P500のパフォーマンスを下回っています。投入コストに関する多くの問題に直面する中で、米国の銀行が見通しを改善し、センチメントを好転させることができるかどうかが論点になります。米国以外で決算に注目する銘柄は、Tesco、ファーストリテイリング、Ericssonです。今回のアップデートでは、インフレにより、テクノロジー企業の利益の伸びと株価のバリュエーションがどうなるかについても少し触れます。
注目すべき米国の金融銘柄
4月11日の週には第1四半期の決算発表シーズンがスタートし、米国の金融機関が先陣を切ります。13日にはJPMorgan Chaseが第1四半期決算を発表します。同行は先進国で最大手の銀行であるため、この決算で決算発表シーズンの基調が決まることになります。14日に決算発表を行うWells FargoとCitigroupは、個人向けと商業用の銀行事業に関与しているため、やはり注目すべき重要銘柄です。一方、Morgan StanleyとGoldman Sachsの決算は、通常、市場全体やセンチメントを左右するものではありません。
金利が上昇しているにもかかわらず、米国の金融銘柄はこのところ低調に推移しており(米国のイールドカーブのフラット化は追い風にならなかった)、2月11日以降、S&P500のパフォーマンスを8.1%下回っています(米国金融銘柄とS&P500との相対リターンについては以下のグラフを参照)。相対リターンでは、米国金融銘柄は12月下旬の安値に戻っています。最近のFOMC議事録とブレイナード理事の発言により、米国の金融銘柄は間もなく、夏の数ヶ月間に向けた長めの上昇局面に入る可能性があります。ただし、金融業界は多くの構造的な逆風に直面していることから、これは戦術的なテーマであり、長期にわたる持続的なテーマではないことにご注意ください。
米国の金融銘柄以外では、13日に予定されているTescoの決算発表も、注目すべき興味深い決算です。というのも、現在、食糧価格も高騰しており、UN World Food Price Indexは前年比33%上昇し過去最高水準に達しているからです。ユニクロの親会社であるファーストリテイリングは14日に決算発表を行います。同社の決算は、日本の消費需要に関する判断材料となります。Ericssonも14日に決算を発表します。通信機器への投資が増加していることから、同社の売上高の成長率は7%に加速すると予想されています。
11日からの週に行われる最も重要な決算発表は以下の通りです。
月曜日:Yunnan Energy New Material, Zijin Mining Group
水曜日:Tesco、JPMorgan Chase&Co、BlackRock、Fastenal
木曜日:China Northern Rare Earth Group、Fast Retailing、Ericsson、United Health、Wells Fargo、Morgan Stanley、Goldman Sachs、Citigroup、US Bancorp、PNC Financial Services、Coinbase、State Street
金曜日:Hangzhou Hikvision Digital
インフレ期のテクノロジー企業の利益は重要な懸案事項
投資家はインフレの状況を認識し、特に実質ベースでバリュエーションと株式リターンがマイナスの影響を受ける可能性がどの程度あるかを十分把握しています。多くの投資家は1970年代の動向から結論を導いています。1970年代と現在との大きな違いは、当時のS&P500の利益の原動力となっていたのは、莫大なコモディティの投入コストにより利益を生み出す企業だったということです。一方、現在、S&P500の利益の原動力となっているのは、コモディティの投入コストがほとんどなく利益を生み出しているテクノロジー企業です。理論的にはテクノロジー企業は利益を伸ばすことができる見通しですが、最大の問題となるのは、インフレ率の上昇がテクノロジー企業の株価のバリュエーションに及ぼす影響です。テクノロジー企業の業績に対する市場の反応がこうした動向に関する手がかりとなるため、このトピックについては、第1四半期の決算発表シーズンが進んでから、さらに詳しく取り上げます。