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Chief Investment Strategist
サマリー: ドイツ株は、持続的なエネルギー危機やロシアとウクライナの紛争から悪影響を受けやすく、欧州における弱点になっています。ドイツ株の株価はパンデミック前の水準からわずか7%の上昇にとどまっています。このことは、何らかの構造的な欠点およびドイツの成長モデルの失敗を浮き彫りにしています。21日にはロシアとウクライナとの紛争の状況がさらに悪化したことから、コモディティ価格、ひいてはインフレ率には引き続き上昇圧力がかかるはずです。特にエネルギー市場の状況を踏まえると、コモディティセクターは株式投資家にとって必ず投資すべきセクターと言えます。また、今後数年間は軍事予算が増加する可能性があることから、今年、相対的に高いパフォーマンスをあげている防衛テーマバスケットについても取り上げます。
ロシアはドイツのアキレス腱
ロシアとウクライナの紛争では、ドイツは厳しい立場にあります。というのも、ドイツは多量の石油・ガスをロシアに依存しているエネルギーの純輸入国であり、バルト海を通る輸送パイプライン「Nord Stream 2」はドイツのエネルギー需要を確保する目的で作られたものだからです。欧州で深刻化するエネルギー危機とウクライナにおけるロシアの行動により、ドイツが欧州株式市場の弱点であることが明らかになっています。21日、DAX先物は大きな打撃を受け、22日には安値を更新しました。その後、ロシアに対する制裁が、少なくとも現時点では、予想より軽いものになると市場が解釈したことから、株価は反発しました。ドイツが「Nord Stream 2」の保留を発表したほか、英国はロシアの銀行5行に制裁を加えることを決定しましたが、重要なのはここに輸出銀行が含まれていないことです。
株式市場は上昇していますが、全体的なリスクの状況は変わっていません。Putin大統領の最近の発言は、ウクライナ情勢がまだ解決されていないことを示しており、地政学的リスクはすぐに再燃し、投資家の懸念材料になる可能性があります。我々は、現在の環境で好調なパフォーマンスをあげる可能性があると思われるコモディティセクターと防衛産業について引き続き強気の見方を維持します(以下の考察を参照)。当社の「旅行バスケット」は今年、好調に推移していますが、エネルギー危機が続き、ジェット燃料が高騰しているため、旅行・移動が難しくなる可能性があります。
DAX先物はパンデミック前の水準からわずか7%の上昇にとどまっており、ドイツ優良企業の株主への株式リターンが低いことを示唆しています。ドイツの企業部門は構造的に脆弱だと言えます。ドイツが現在のエネルギー危機から影響を受けやすいのは、工業生産の比重が高いことが一因です。電気料金が下がらず、石油・ガスへの投資が少ないため、エネルギー価格は高止まりする見通しです。また、コモディティ価格も堅調であることから、ドイツ株では今年の企業利益が減少する可能性があります。ドイツ株は過去5年間にわたり欧州株をアンダーパフォームしており、エネルギー危機やウクライナで進行中の危機に対するヘッジ(エネルギー企業への投資以外に)に適しているように思われます。
どのポートフォリオにもコモディティは必須
我々は2週間前に、1970年代の株式市場について、インフレ調整後の企業利益の伸びが堅調だったにもかかわらず、なぜ株価が10年間低迷したのか、その原因をいくつか考察する記事を書きました。1970年代のインフレ期には、インフレの大半が経済の供給面に起因していたため、コモディティが好調だったということが株価の動きの背景にありました。今回も全く同様であり、我々は1年以上にわたりコモディティセクターに対する強気の見方を維持してきました。Bloomberg Commodity Spot Indexは21日、史上最高値を付けました。エネルギーと金属への投資が低水準にとどまっているうちは、コモディティは好調なモメンタムを維持すると予想されます。インドの成長力と急速な都市化も、今後10年間のコモディティ需要の大きな源泉になるはずです。当社の「コモディティテーマバスケット」は今年に入って5.6%上昇しており、コモディティセクターの様々な産業(エネルギー、化学、金属、農業)にどのように配分するかについて多少のヒントにもなります。