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チーフ・マクロ・ストラテジスト
サマリー: 先週金曜日(7月14日)に発表されたミシガン大学消費者信頼感指数が堅調な内容であったことを受けて米国債利回りが上昇し、米ドルは反発しました。しかし、利回りが直近の高値を下回り、リスクセンチメントが堅調に推移すれば、米ドルは下落する可能性が高いでしょう。今週半ばに発表される英国の6月の消費者物価指数(CPI)が注目されます。そして、先週米ドルに対して反発した日本円がより幅広い通貨に対して上昇するのかも焦点となるでしょう。
先週金曜日(7月14日)に、7月のミシガン大学消費者信頼感速報値が大幅に改善したことから米国債利回りが上昇し、米ドルは小幅に反発しました。同調査では、「現状」と「期待」がともに7ポイント上昇し、2021年以来の高水準となりました。これを受けての米ドルへの下押し圧力は決定的なものでした。景気見通しが再び大きく悪化しない限り、ドル安基調が続くことになるでしょう。
今週発表される米国経済指標で重要なのは、本日(7月17日)のニューヨーク連銀を皮切りに地区連銀が発表する製造業景況指数と火曜日(7月18日)の6月小売売上高ぐらいです。水曜日(7月19日)発表の住宅統計は一般的な経済指標としての信頼性は低いと思われます。なぜなら、全米住宅建設業者協会(NAHB)発表の住宅市場指数(住宅建設業者の景況感指数)の上昇や、住宅着工件数および建築許可件数の増加は、コロナ禍に記録的な低金利で住宅ローンを組んだ人々が、低い負債返済コストを享受するために、住宅の買い替えをできる限り控えたために、中古住宅の供給が減少したことに大きく関係しているからです。住宅市場は確かに二極化しています。今年から来年にかけて、1980年代以来最大数の集合住宅が市場に出回り、賃料を圧迫することになります。その他今週発表されるのは木曜日(7月20日)の週間新規失業保険申請件数です。来週は、火曜日(7月25日)に6月消費者信頼感指数が発表され、翌日(7月26日)に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。米連邦準備理事会(FRB)は、強気のガイダンスの発表とともに利上げに踏み切ると予想されます。もし株価が現在の水準かそれよりも高い水準で推移すれば、FRBは事前ガイダンスを発することなく、追加利上げの可能性を示すことができるでしょう。市場は、来週以降の追加利上げの可能性はかなり低く、最初の利下げは来年3月になるとの見方を織り込んでいます。
来週金曜日まで日本円は重要な焦点に
円高方向への大きな動きが最初に見られたのは先々週の金曜日でした。米ドル安に注目が集まる中、米ドルは円に対して145.00から137.00台前半まで大幅な下落に見舞われました。金曜日の安値は、137.00付近の200日移動平均線のすぐ上にあり、この線を下回れば最終的に130.00まで下落する可能性を示す重要なテクニカル水準でした。欧州中央銀行(ECB)が、若干の遅れをもってFRBの政策サイクルに追随する可能性が高いことを考えると、日銀が今年中に引き締め姿勢に転じるのであれば、ユーロ円の上昇には疑問符がつきます。以下のユーロ円のチャートをご覧ください。水曜日の英国CPIが予想を下回れば、英ポンド円は大きく変動することになるでしょう。今週金曜日に日本の6月インフレ統計が発表されますが、10年物日本国債はイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の「許容変動幅」の上限である0.50%から2ベーシスポイント以内で取引されていることに注意してください。
図表:ユーロ円
ECBの利上げも間もなくターミナルレート(利上げサイクルの最終地点)に達すると見られ(市場は年内に2回の利上げ-来週のECB理事会で1回、9月か10月にもう1回-を予想している)、ユーロの実質実効為替レートと貿易加重為替レートはほぼ垂直の軌道を描いているため、ECBの利上げ期待が引き続き弱まり、日銀が今後数カ月でわずかでも引き締めを行うというシナリオでは、ユーロは日本円に対して非常に割高に見えます。現在時点で重要なテクニカル水準割れはほとんどありません。今月初めに付けたピボットポイント153.50を皮切りに、150.00を超える上昇基調のすべて巻き戻す必要があるためです。しかしながら、下値リスクには警戒すべきでしょう。
英ポンド:今週水曜日のCPI発表が試金石に
先週木曜日の為替アップデートでは、先週火曜日につけた年初来安値が水曜日に更新されなかったことから、英ポンド高に息切れ症状があるのではないかと述べました。本日ユーロ英ポンドが上値を伸ばしたことで、さらなる英ポンド安の確認が幾分か取れたものの、今後の真の試金石は、水曜日の6月英CPIの発表です。ベイリー・イングランド銀行総裁は今年後半にインフレ率が急低下すると確信しており、2カ月にわたって予想を大幅に上回るコア・インフレ・データが発表されたため、市場は下振れに敏感に反応する可能性が高いでしょう。 コア・インフレ率は前年比横ばいの7.1%と予想されています。ネガティブ・サプライズが起こるかどうかはわかりませんが、今年G10通貨中最強の通貨として目覚ましい躍進を遂げた英ポンドにとって、今週の変動リスクは上昇よりも下降に偏っているように見えます。
図表: G10通貨と中国人民元のトレンド
米ドルと中国人民元の顕著な下落(中国が昨日予想を下回る経済指標を発表)が、カナダドル安とほぼ一致しているのには幾分か驚きを感じます。明るい材料は、北欧通貨の突然の反発です。日本の最近発表の経済指標が予想通りであり、日本円が若干の反発にとどまっていることは、安定した円高トレンドには、いかに大きな変化が必要かを示しています。
各通貨ペアのトレンドとスコアボード
先週金曜の米ドルカナダドルレートは米ドル安に振れ、1.3100割れの年初来安値から反転し、1.3200を大きく上回って引けました。米ドルスイスフラン、ユーロ米ドル、英ポンド米ドル、ユーロ中国人民元などの極端なトレンド数値に注目する必要があります。