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チーフ・マクロ・ストラテジスト
サマリー: 米1月CPIの予想以上に強い内容を受けてFRBが新たに利上げの必要性を訴える中、市場が織り込むターミナルレートは昨日5.25%を上回り、現サイクルのピーク水準に達しました。米ドルは夜間に勢いを取り戻すまで主要通貨に対してまちまちの動きとなりましたが、これは中国回復への過度な期待に対する警戒感の高まりを示している可能性があります。英1月CPIの鈍化がBOEの利上げペース減速を示唆したことで、今朝方ポンドは乱高下しました。
Today's Saxo Market Call podcast
Today's Market Quick Take from the Saxo Strategy Team
トレードの焦点:市場のターミナルレート予想は現サイクルのピークに;英1月CPI鈍化でポンドに下押し圧力
米1月消費者物価指数(CPI)は総合CPIとコアCPIインフレ率のいずれも前年同期比ベースで予想を上回りました。一方、前月比では総合CPI+0.5%、コアCPI+0.4%とほぼ予想通りの着地となりました。かねてからFRBが最も懸念される指標として注目している「シェルター価格を除いたコアサービス」が前月比+0.3%とわずかな伸びにとどまったことを疑問視する声も聞かれましたが、これは変動の激しい医療サービス関連の指数が同-0.7%と大幅に低下したことが全体に寄与しています。市場の反応はまちまちでしたが、その後インフレ率と利上げ見通しにさほど変化はないとの見方が優勢となり、米ドルは対円で上値抵抗線となる133円を上抜けした以外は、昨日からほぼ横這いで推移しています。CPIを受けて市場が織り込むFF金利予想は5.26%と現サイクルのピークに達しましたが、FRB当局者が利上げの必要性を相次いで主張したこともその流れを助長しました。また、米国債のイールドカーブのロングエンドで利回りの上昇が止まったことで逆イールドは現サイクルで最も進行し、2年債利回りは10年債利回りを87bps上回りました。
一方、アジアの取引時間には中国経済の本格再開において重要となる指標(銅、豪ドル、香港株)が総じてネガティブに転じるという全く異なる動きが材料視され、米ドルは上昇しました。このような動きが生じた原因やその影響を正確に把握することは不可能ですが、昨夜のブルームバーグの記事では中国当局が景気刺激策によって消費拡大を促すことによるクレジットインパルスの上昇のうち、少なくともその一部は資金が金利の高い住宅ローンの返済や投機的な株式投資に向けられていると報じられています。この記事の内容が概ね正しく、実際にこうした傾向が広がっているとすれば、中国経済の回復はここからが正念場と言えるでしょう。
図表:ポンド/米ドル
本日公表された弱い英1月消費者物価指数は、コアCPI上昇率が前年同期比5.8%と予想(予想:6.2%、12月:6.3%)を下回り、昨日の堅調な雇用統計を打ち消す以上のインパクトをもたらしました。また、BOEにとって現行のインフレ見通しとフォワードガイダンス(インフレ鈍化が継続する場合は更なる利上げを回避)を維持することを正当化する内容となったようです。昨日の米1月CPIを受けて米2年国債利回りが直近のピークで引けたのとは対照的に、英2年国債利回りは昨日から15bps低下しています。これを受けて、昨日突然米ドルに対して上昇したポンドが大きく売られ、一時は有効な指標となるフィボナッチリトレースメント61.8%(前回の下落局面で200日移動平均線を割り込む前に1.2270付近に達した時のレベル)を付けました。次の重要なポイントはピボットポイントが1.1961近辺に到達し、200日移動平均線がそれをわずかに下回る局面です。しかし、最も重要なレベルはピボットポイントが1.18に到達した時です。その他には、BBCは直近の世論調査で支持率が過去最低水準に落ち込んだ保守党を救済すべく、ジョンソン前首相が政権復帰に意欲を見せていると報じました。
図表:G10通貨と人民元の強弱およびトレンドの変化
大半のG10通貨のテクニカル指標はまだ弱含んでおり、足元の動向は依然とは逆のトレンドを辿っています(ポンドが高騰した後に大きく売られるなど)。通貨の相対的な強弱を比較した場合に注目すべきポイントは、足元の利回り上昇によって貴金属、そしてここ数か月間にわたって中国の経済再開シナリオを前提に人民元との相関性が極めて高まっている銅価格に下押し圧力が生じていることです。また、豪ドルは夜間取引で変動したものの、ここ数日のところ多くの主要通貨に対して上昇しています。
図表:通貨ペア別のスコアボード
ユーロ/SEKと米ドル/SEKのペアは、スウェーデンクローネの上昇相場を見越したポジションを探していた投資家にとって実に残念な結果となり、潜在的な投資機会は失われつつつつあります。ユーロ/ポンドは今のところ再び下降トレンドへの回帰に抵抗しており、その一方でポンド/米ドルは昨日辛うじて上昇した後、新たに下落トレンド入りしました。
経済指標カレンダー(2月15日)