FXアップデート:米消費者物価指数、金曜日以降の英ポンドに注目

FXアップデート:米消費者物価指数、金曜日以降の英ポンドに注目

FX
ジョン・ハーディ

チーフ・マクロ・ストラテジスト

サマリー:  FOMC議事要旨では、引き締めの最終的な減速が議論されたものの、FRBによる全般的なタカ派的傾向が確認されました。市場は来年早々に動きがあると予想していますが、昨日の米ドル相場には大きな反応は見られませんでした。一方、日本円は全面安となっており、本日のイベントリスクである米国の9月消費者物価指数の発表を前に、ドル円は1990年代後半以来の高値を更新し、その流れを大きく変化させるのは困難な可能性があります。


FXトレーディングの焦点:米国CPIが控えている。英ポンドは金曜日以降に注目。

トレーダーは日本の公的介入への懸念を払拭し、米国債の利回りが落ち着いている中でも、昨日(10月13日)、ドル円を1990年代以来の上昇サイクルに乗せ、堅調な推移となりました。その他の地域では、ユーロ/米ドルが0.9700付近で粘りを見せ、英ポンド/米ドルは1.1100付近で揉み合い、市場はイングランド銀行が金曜日に緊急QE(量的緩和)措置を停止した後に何が起こるかを注視しており、米ドルの動きは概して穏やかでした。

次のイベントリスクは本日発表される9月の米国消費者物価指数であり、米国債利回りが2週間前のサイクル高値を下回り、4.00%近辺で推移している中で、この指標がセンチメントを変え、急激かつ新たな動きを引き起こすか否かが注目されます。先月発表された消費者物価指数では、コア指数が予想を上回って市場に衝撃を与え、米ドルが上昇したことから、何らかのサプライズがあれば、市場は大きく動くと予想されます。しかしその間、9月のFOMCで初めて、インフレ率が大幅に低下し失業率が上昇すると予想されたとしても、金利引き締め体制は継続されるとのFRBの見通しが明示されたことを忘れてはなりません。市場にとって最悪のサプライズであり、米ドル高を加速させる要因は、コア指数の0.5%以上の上昇でしょう。

昨日(10月12日)遅く発表されたFOMC議事要旨では、「多くの参加者が、インフレ抑制のための措置が少なすぎることのコストは、多くの措置を実施しすぎることのコストを上回る可能性が高いことを強調している」ことが示されました。市場にとってこれは大きな驚きではありませんでした。FRBの発言は一貫してその方向を向いており、FRBの政策に対する市場の期待は、今やFRB自身の「ドットプロット」予測の軌道を最終的に反映しており、来年末の金利は本年末よりも若干高い水準であろうと予想されています。以前は、FRBは問題の兆候が見られればすぐに利下げに踏み切るとの見方が市場に根強くありました(上記の9月FOMCに関するコメントで、このシナリオはなくなっています)。それでも、議事要旨には「複数の参加者が、政策が制約的な領域に入ると、総需要の累積抑制がインフレ率を2%に戻すのに必要なものを上回るという下振れリスクの出現を反映して、リスクはより両面的になると指摘している」という記述もありました。しかし、12月のFOMC以降の追加引き締めは50bp以下と市場が予想しているのですから、すでに「市場に織り込まれている」のです。昨日遅く、FRB理事のミシェル・ボウマン氏が大幅利上げ継続を主張し、11月上旬のFOMCでは75bpの利上げがほぼ完全に織り込まれており、12月の会合では50bpか75bpかが半々の確率で予想されています。

チャート :ユーロ/英ポンド

英中銀は依然として明日にも緊急量的緩和を終了させると主張していますが、FT紙は、英中銀がそのオペを延長しなければならないと考えている関係者の議論を引用しているため、今週末から来週初めにかけてのポンド相場に注目しています。クワーテング英財務相はワシントンにおける会議の傍らで、来週、英国債市場に混乱が生じればそれは英中銀の責任だと発言し、実に興味深い責任転換の構図を見せています。ここで2つの点が注目されます。第一に、緊急QE(量的緩和)が続いているにもかかわらず、英国長期債利回りが昨日上昇し、2週間前の市場の混乱が最も酷かった時の水準まで戻っていることです。第二に、利回りが昨日の高水準から急低下したため、ポンドは本日、非常にストレートに反発しました。ある意味、これは皮肉なことではないでしょうか。つまり、英国ではQE(量的緩和)によって利回りを引き下げながらも、引き締めを行っており、FRBはQT(量的引き締め)を行っているのです。来週初めまで、その成り行きは分かりません。今のところ、英ポンド/米ドルとユーロ/英ポンドを注視しています。後者の0.8850超のエリアはポンドに対するストレスを示唆しており、0.8575-0.8625は上昇途中の重要ゾーンです。
Source: Saxo Group
スウェーデンの9月消費者物価指数は過去最高水準に これは、欧州のエネルギー危機とクローナ安がいかにインフレを引き続き高進させているかを示しています。今朝発表されたスウェーデンの9月消費者物価指数のヘッドラインは10.8%で、予想の10.5%を上回り、8月の9.8%から上昇しました。コアインフレ水準は7.4%と予想の7.5%を若干下回りましたが、8月の6.8%からは上昇しました。

表:G10諸国通貨とオフショア人民元(CNH)の FX ボード - トレンドの推移と強弱

英ポンドは最近の下落から大幅に回復したものの、その状況は不透明です。政府は財政計画を見直す必要があり(あるいはエネルギー価格が通常の水準に戻る奇跡が起こるか)、それが英ポンドの回復に必要な要素です。豪ドルは、RBA(オーストラリア準備銀行)のハト派的な発言により、またおそらくオフショア人民元に対する懸念の代理として最悪のパフォーマンスとなり、下落を続けています。米ドル/オフショア人民元は今朝、7.20をつけました。
 
Source: Bloomberg and Saxo Group

表:FXボード - 通貨ペアのトレンドスコアボード

豪ドル/ニュージーランドドルは重要な1.1250を突破して新たな下降トレンドが確認され、次の大きな焦点は1.1000エリアとなりました。ユーロ/英ポンドは反転を試みており、来週初めには判断が容易になるでしょう。
 
Source: Bloomberg and Saxo Group

今後の予定

・12:30 – 米国9月消費者物価指数
・12:30 – 米国新規失業保険申請件数
・01:30 – 中国9月生産者物価指数、消費者物価指数

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