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アナリスト/アセンダント代表
サマリー: 今回もドル円をピックアップしました。日銀会合とFOMCを経て短期的には日米金利差は維持されるものの中長期的には日銀の歴史的な転換、そしてFRBのQT縮小思惑が今後ドル円の上値を抑えやすくする材料になると考えています。
為替市場ではドル円が主役で、ユーロドルは日々の値幅がドル円の半分から3分の1という値動きが’続いています。昨日には日銀会合でマイナス金利解除が決定されましたので、このあとFOMCも控えているものの既に円安再開の動きとなっていますので、日銀会合の振り返りとここからの円相場について考えることとします。
ドル円(USDJPY)は2月高値を上抜け、151円台半ばまで円安が進行しています。材料としては日銀会合が終わりイベント経過で改めて円売りが出ているということになりますが、日銀会合での決定事項から見ていきます。
これまで銀行が日銀に預ける際の金利は0%であったものの、銀行ごとに定められた一定の金額を超えた場合にその超過金額にマイナス0.1%というペナルティ金利が課されていました。これは日銀に預ける金額が増え過ぎると企業への貸し付けに資金が回らなくなるからですが、実際にマイナス金利が適用されたのは2回に留まります。
今回はマイナス金利が無くなり、政策金利が0~0.1%になったことで銀行としては日銀に預け過ぎてもペナルティは科されないということから、効果としては市中の資金の減少する引き締めの効果が得られることとなります。
日銀は短期金利だけでなく長期金利(10年国債利回り)にも介入するイールドカーブコントロール(YCC)を実施していました。当初0.25%から始まり、0.5%、1.0%、およそ1.0%と直近ではYCCによる国債買い入れのオペレーションも見られなくなっていましたが、マイナス金利解除に合わせてYCCも撤廃されました。
これにより長期金利の上昇圧力が高まる可能性もあるものの、現行水準から考えると急速に金利上昇圧力が加わるというものではありませんので、今後日銀が意図しないような金利上昇が見られる場合には引き続き国債買い入れといったオペレーションで動きを緩和することもあるでしょう。しかし、総裁会見でも植田総裁が発言した通りで、基本は金利の動きは市場に任せるという本来あるべき姿に戻ることとなります。
株価も十分に上昇したこともありますが、今後は株価指数連動ETFやJ-REITへの投資は行われません。これもあるべき姿に戻るだけですが、国債と異なり満期が無い株式においてはどこかの時点で売却ということも考えなくてはならず、政策金利の出口戦略以上に難しい出口戦略を考えることとなります。
市場で売却すると影響が大きすぎるため、企業に自社株購入をしてもらうとか、年金に保有先を移転するとか、法整備は必要でしょうが市場価格よりも若干割安な価格で売却すればいいのではないかと思います。現時点で含み益が30兆円以上ありますので、問題にはならないでしょう。
他にも国債保有残高も大きすぎることから、当面は満期を迎えた国債は再投資していくものの、どこかでバランスシートの縮小も検討と発言したことから、ようやく異次元緩和と言う異常な金融政策から抜け出す第一歩になったと言えます。
今回の会合では事前にあまりにも多くの観測記事や公式リークと思われる記事が出たことで、先に円金利上昇と円高の動きを見て、直近では逆に改めて円売りの動きが強まることになっていました。そして、会合後には次はFOMC、そしてFOMCでは緩和時期後退の発言も出るのではとの思惑から、一気に年初来の円安値を更新し、151円台半ばを見ることとなりました。
テクニカルにはドル円週足をご覧ください。既に一昨年高値151.942が視野に入る展開ですが、祝日明けの東京市場では当局によるけん制発言が出るであろうことを考えると、あまり調子に乗ってドル買いを進めると梯子を外されることになりかねません。FOMC後にドル買いが強まる場合には特に注意が必要でしょう。
それでも当面は日米金利差が拡大した状態にも変化は無いとなれば、その上のターゲットである153.050(フィボナッチ・エクステンションで12月安値を起点とした61.8%エクステンション)が次のターゲットとなりますので、牽制発言も間に合わないような急速な動きが先行する場合に気にすべき水準となります。