FRBは政策転換するか、それに対しどうポジションをとるか
FRBが5回連続で利上げを実施し、史上最速の利上げサイクルとなる中、最終的な政策金利を4.5-5%とする緊急性について、過去1か月、FRB高官の間でも見解が分かれ始め、疑念が表面化し始めています。
ブレイナードFRB副議長は、前回の利上げがまだ経済に浸透しておらず、世界的な引き締めの効果が米国に波及する可能性があるため、注意を払うべきとの見解を示しました。チャールズ・エバンス・シカゴ連銀総裁は、経済成長を十分に抑制し、インフレ率を低下させるような金利水準を探ったうえで、たとえインフレに関する悪いデータが幾つかあったとしても、金利を過度に引き上げることなく一定期間維持することが重要としています。タカ派で知られる、エスター・ジョージ・カンザスシティ連銀総裁も、利上げを「より着実に、よりゆっくりと」行うことが望ましいとし、一連の大幅な利上げは行き過ぎの危険性があると述べています。最後に、先週、メアリー・デーリーサンフランシスコ連銀総裁は先週、基準金利の利上げ幅の縮小を計画し始めるべきだと述べました。
パウエル議長らがインフレ鎮静を示すデータが出るまで利上げを継続すると繰り返し発言していることから、FRBがタカ派的姿勢を継続する高いハードルが設定されています。このことは、今年の大半の期間、株式ではリスクオフの大きな動きが見られ、FXでは以下のように米ドルに対して大きな変動が見られることからも明らかです。
S&P500種(SPX): -20.33%
ナスダック100指数(NDX): -30%
香港ハンセン株価指数(HSI):-35%
ドイツ株価指数(DAX): -18.5%
米ドル指数(DXY): +17.15%
FRBがタカ派的姿勢を維持する中、7月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比8.5%上昇と、市場予想の8.9%上昇を下回ったことを受け、市場は8月、大きなリスクを取りつつも上昇とショートカバーに向かいました。市場はその後7日間で4.5%上昇し、米ドルは下落しました。現在、市場では現在、市場では11月に75bp、12月に50bpの引き上げが予想されており、来年第1四半期には最終到達金利が約4.9%になると予想されています。
今後、FRBが政策を転換する可能性が高いのは次のような要因によるものと思われます。
1. FOMCの中には、早すぎる引き上げを懸念し、むしろ一歩下がって引き締めが経済に与える効果を見極めることを考え始めているメンバーもある。
2. 消費者信頼感が102.5と予想の106.5を下回り、ケース・シラー住宅価格指数が1.6%低下(2か月連続の低下)、フィラデルフィア連銀製造業景況指数が予想の -5.0に対して-8.7%と、データが冷え込み始めていることが観察されている。
3. 物価の大きな上昇は2021年4月と2021年10月に起きており、2022年10月のCPIのベース効果が出始める。
もしFRBがピボット(政策転換)をし始めたら、どのようなFXトレードがベストか
ピボットとは何でしょうか。FRBのピボットとは、利上げを一時停止し、インフレデータを注視しながら数か月間、金利をその水準で維持することを意味します。あるいは、より慎重な姿勢を反映して、今後の利上げ幅を縮小する可能性もあります。いずれの場合にも、市場の位置づけと、今年一年の極めてタカ派的なFRBの姿勢を考慮すると、米ドル高が反転する可能性があります。
下図で、今年の主要な為替ペアがどのように動いたかを見てみましょう。日本円が22.55%と対ドルでの下落幅が最大となり、次にスウェーデン・クローナ、ニュージーランドドル、英ポンドと続きます。次の図でG10の政策金利を見ると、現在ニュージーランドの政策金利が3.5%と最も高く、カナダと米国がそれに続いています。