マクロ/為替の見通し: 日本のインフレ反発が日銀の足かせになる可能性は低い - Macro/FX Watch: Japan inflation rebound unlikely to deter Bank of Japan

マクロ/為替の見通し: 日本のインフレ反発が日銀の足かせになる可能性は低い - Macro/FX Watch: Japan inflation rebound unlikely to deter Bank of Japan

FX 5 minutes to read
チャル・チャナナ

チーフ・インベストメント・ストラテジスト

サマリー:  日本のインフレ率は再び目標を大きく上回ったが、賃金交渉の結果を待つ日銀に対する市場の期待にタカ派的な変化は見られなかった。このため、2024年に円高が進む前に、国債の売りが戻れば米ドル円は152円まで上昇する余地がある。EURGBPは、東欧と英国のPMIが乖離したため0.87まで急落したが、重要なサポートが控えており、本日発表される米国のPMIとドイツのデータに注目したい。EURSEKもリクスバンクが一時停止したことで、上値余地が広がる可能性がある。


※本レポート内日本語は、ご参考情報として原文(英語)を機械翻訳したものです。

キーポイント:

  • 日本の10月インフレ率は再加速した
  • 日銀は引き続き、単発的な項目が利上げを促進し、ハト派的な姿勢を維持する理由があると見ている
  • 米ドル円は150円近くまで戻り、国債の反落が152円への上昇に拍車をかける可能性
  • 本日発表される米国PMIが注目され、米ドル円が149円まで戻る可能性
  • EURGBPは、PMIの乖離により値を下げた
  • EURSEKは、リクスバンクの一時停止により、さらなる上昇圧力がかかる可能性

下落が進む可能性が高まる

今朝発表された日本の10月インフレ率は、3ヶ月連続の軟化の後、再加速を見せた。ヘッドラインCPIは前年同月比3.3%と前月の3.0%を上回り、コアも2.8%から2.9%へと加速したが、予想の3.0%を下回った。しかし、コア・コア指標は若干の冷え込みを見せたものの、前年同月比4.0%(予想4.1%、予想4.2%)と高水準を維持した。2022年4月以降、ヘッドラインインフレ率が日銀の目標である2%を上回っていることから、日銀が言うようにインフレが本当に一過性のものなのか疑問が残る。

これは日銀のピボット・ベットを脅かす可能性があるが、日本円はこの発表にほとんど反応しなかった。ひとつは、インフレにはまだ単発的な要素が残っていることだ。10月のインフレ加速の多くは、政府補助金の削減による公共料金の上昇や、インバウンド観光の加速によるホテル代の上昇に起因している。持続的な円安による輸入物価の上昇も引き続き下支えとなった。しかし、生活コストの上昇が個人消費に打撃を与えているため、日本銀行はインフレが定着したと確信することはないだろう。そのため、来年の日銀の微調整を促す唯一のきっかけとなる可能性がある春の賃金交渉に、たとえそれが軽微なものであったとしても、引き続き注目が集まるだろう。

円は当面、国債利回りに翻弄されることになるだろう。今日の米PMIも重要だが、それ以上に来週のPCEデータが注目される。米ドル円は、今週の安値147.15から149.50まで反転上昇した。同レベルは10月初めに日銀の介入リスクがクリアされているため、150円以上を試す可能性がある一方、152円が介入リスクのしきい値となる可能性もある。また、サクソのトレードシグナルでは、151.86が重要なレジスタンスとなっている。ドイツの債務上限停止は、財政支配を思い出させるものであり、世界の債券に売りを呼び起こす可能性がある。しかし、バリュエーションとポジショニングは、2024年まで大きな円高余地があることを示唆している。米国PMIが減速を示せば、米ドル円は149円台へ反転する可能性がある。

市場の見立て: 介入リスクが顕在化する前に、米ドル円は151円以上まで上昇する可能性がある。弱気トレンドが再びクローズアップされるには、149を割り込む必要がある。

 

ユーロ、ポンド:財政の優位性に再び注目が集まる

ユーロ圏と英国のPMIは安定と回復の感覚を伝えたが、ユーロ圏よりも英国の方が顕著だった。英国のサービス業および総合PMIは50を超える拡大域に急上昇し、製造業も44.8から46.7に改善した。しかしユーロ圏のPMIは、製造業とサービス業がともに改善を示したものの、依然として50を下回っている。EURUSDはこの発表で若干の圧力を受けたが、今のところ1.09のハンドルに張り付いている。GBPUSDは1.2564の高値まで上昇した後、1.2540付近で落ち着いた。この結果、EURGBPは0.87を割り込んだが、今のところブレイクは確信できるものではなく、0.8647のサポートレベルが注目される。

ドイツが4年連続で債務上限を停止したことで、追加借り入れや債券供給の増加に対する懸念が高まり、利回りは上昇した。本日は、ドイツ第3四半期GDPとIFO調査が注目される。

市場の注目点: EURGBPは、0.87を下回るサポートが積み重なり、上昇に転じる可能性がある。

 

SEK(スウェーデン・クローナ):リクスバンク(スウェーデン国立銀行)の一時停止は金利ピークの兆候

リクスバンクは政策金利を4%に据え置いたが、2024年初頭にピーク金利4.10%を示唆する発言を続けた。プレス・ステートメントによると、理事会は「インフレ見通しが悪化した場合、さらに引き上げる用意がある」としている。しかし、この決定は全会一致であり、インフレ率は2024年中に低下すると見られ、ピーク金利に達した可能性を示している。理事会はまた、1月の次回会合(発表は2月1日)でQTプログラムの規模を拡大することに前向きな姿勢を示した。

市場の注目材料:EURSEKは11.35の安値から11.44まで上昇したが、この決定により、EURSEKは利益確定売りに傾く可能性がある。注目すべき水準は11.50と11.85である。

 


 

Summary:  Japan’s inflation came in well above target again, but no hawkish shift seen in market expectations of Bank of Japan as wage negotiation results are awaited. This gives room for USDJPY to rise back towards 152 if Treasury sell-off returns, before a stronger recovery in yen ensues in 2024. Diverging EZ and UK PMIs saw EURGBP plunge to 0.87, but key supports ahead and US PMIs and German data due today will be on watch. EURSEK could also see more room on the upside after Riksbank paused.

Key points:

  • Japan’s October inflation re-accelerated
  • Bank of Japan may however continue to see one-off items driving the gains and reasons to stay dovish
  • USDJPY back close to 150 and selloff in Treasuries could spur gains towards 152
  • US PMI data today will be key to watch and any moderation could bring USDJPY back to 149
  • EURGBP pushed lower on PMI divergence, more German data due in the day ahead
  • EURSEK could see further upward pressure on Riksbank pause

JPY: More room for weakness

Japan’s October inflation was reported this morning, and showed a re-acceleration after three consecutive months of softening. Headline CPI was at 3.3% YoY, higher than last month’s 3.0% and core also accelerated to 2.9% YoY from 2.8%, although it was below the expected 3.0%. Core-core measure however showed some signs of cooling but remained high at 4.0% YoY (vs. exp. 4.1% and prev. 4.2%). This continues to question whether inflation is really transitory as Bank of Japan has been saying, given headline inflation has been above the BOJ’s 2% target since April 2022.

While this could spook BOJ pivot bets, JPY hardly reacted to the release. One, there is still an element of one-off drivers in inflation. Much of the acceleration in October was driven by reduction in government subsidies that lifted utility bills, or higher hotel costs as inbound tourism accelerated. Higher import prices due to sustained yen weakness also continued to underpin. However, with the higher cost of living taking a toll on consumer spending, BOJ is unlikely to be convinced that inflation has become entrenched. As such, focus will remain on spring wage negotiations as that could be the only catalyst to prompt any BOJ tweaks next year, even if it remained minor.

That means yen will remain a play of Treasury yields for now, and US PMIs today but more importantly the PCE data next week will be key to watch. USDJPY has reversed back higher to 149.50 from lows of 147.15 this week. Pair could test 150 or higher as that level has been cleared for BOJ intervention risks earlier in October, while 152 could serve as an intervention risk threshold. Saxo’s trade signals also identify 151.86 as a key resistance. Germany’s suspension of debt limit serves as a reminder of fiscal dominance and could spark a sell-off in global bonds, which suggests near-term downside for yen. But valuation and positioning suggest a significant room for yen appreciation into 2024. If US PMIs indicate a moderation, USDJPY could reverse back towards 149.

Market Takeaway: USDJPY could rise towards 151+ before intervention risks come in play. A drop below 149 is needed to bring bearish trend back in focus.

 

EUR, GBP: Fiscal dominance back in focus

Eurozone and UK PMIs conveyed a sense of stability and recovery, more pronounced in UK than Eurozone. UK services and composite PMI jumped up to expansion territory of above-50 and manufacturing also improved to 46.7 from 44.8. Eurozone PMIs however remained below 50, although both manufacturing and services showed an improvement. EURUSD came under some pressure on the release, but is sticking to the 1.09 handle for now. GBPUSD rose to highs of 1.2564 before settling in the 1.2540-area. That saw EURGBP pushing below 0.87 handle, although the break doesn’t look convincing for now and support level of 0.8647 will be on watch.

Fiscal concerns were also back in focus with Germany’s suspension of debt limits for a fourth consecutive year raising concerns of additional borrowing and increasing bond supply, which pushed yields higher. Germany Q3 GDP and IFO survey will be on watch today.

Market Takeaway: EURGBP could bounce back higher with a series of supports piling below 0.87.

 

SEK: Riksbank pause a sign of peak rates

The Riksbank left the policy rate unchanged at 4%, but continued to signal peak rate of 4.10% in the beginning of 2024. The press statement says that the board is “is prepared to raise it further if prospects for inflation deteriorate”. However, the decision was unanimous, and inflation is seen to be declining inti 2024, indicating that the peak rate may have been reached. The board also indicated an openness to increase the size of the QT programme at its next meeting in January (announcement due Feb 1).

Market Takeaway: EURSEK rose higher to 11.44 from a low of 11.35 and the decision may leave SEK more prone to profit taking. Key levels to watch are 11.50 and 11.85.

口座開設は無料。オンラインで簡単にお申し込みいただけます。 

最短3分で入力完了!

【ご留意事項】

■当資料は、サクソバンクグループのアナリストによるマーケット分析レポートの転載、もしくは外部のアナリストからの寄稿となっております。
■当資料は、いずれも情報提供のみを目的としたものであり、特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
■当資料は、作成時点において執筆者またはサクソバンク証券(以下「当社」)が信頼できると判断した情報やデータ等に基づいていますが、執筆者または当社はその正確性、完全性等を保証するものではありません。当資料の利用により生じた損害についても、執筆者または当社は責任を負いません。 
■当資料で示される意見は執筆者によるものであり、当社の考えを反映するものではありません。また、これら意見はあくまでも参考として申し述べたものであり、推奨を意味せず、また、いずれの記述も将来の傾向、数値、投資成果等を示唆もしくは保証するものではありません。 
■当資料に記載の情報は作成時点のものであり、予告なしに変更することがあります。 
■当資料の全部か一部かを問わず、無断での転用、複製、再配信、ウェブサイトへの投稿や掲載等を行うことはできません。
■上記のほか、当資料の閲覧・ご利用に関する「免責事項」をご確認ください。 
■当社が提供するデリバティブ取引は、為替相場、有価証券の価格や指数、貴金属その他の商品相場または金利等の変動によって損失を生じるおそれがあります。また、お預けいただく証拠金額に比べてお取引可能な金額が大きいため、その損失は、預託された証拠金の額を上回る恐れがあります。
■当社が提供する外国証券取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。手数料については、「取引金額×一定料率」又は「取引数量×一定金額」で求めた手数料が一回の取引ごとに課金されます。ただし手数料の合計額が当社の定める最低手数料に満たない場合は、手数料に代えて最低手数料を徴収させていただきます。また取引所手数料等の追加費用がかかる場合があります。 
■取引にあたっては、取引説明書および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。 
■当社でのお取引にかかるリスクやコスト等については、 こちらも必ずご確認ください。

サクソバンク証券株式会社
Saxo Bank Securities Ltd.
Izumi Garden Tower 36F
1-6-1 Roppongi Minato-ku
Tokyo 106-6036
〒106-6036 東京都港区六本木1-6-1
泉ガーデンタワー36F

お問い合わせ

国・地域を選択

日本
日本

【重要事項及びリスク開示】

■外国為替証拠金取引は各通貨の価格を、貴金属証拠金取引は各貴金属の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、売買の状況によってはスワップポイントの支払いが発生したり、通貨の金利や貴金属のリースレート等の変動によりスワップポイントが受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■外国為替オプション取引は外国為替証拠金取引の通貨を、貴金属オプション取引は貴金属証拠金取引の貴金属を原資産とし、原資産の値動きやその変動率に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、オプションの価値は時間の経過により減少します。また、オプションの売り側は権利行使に応える義務があります。
■株価指数CFD取引は株価指数や株価指数を対象としたETFを、個別株CFD取引は個別株や個別株関連のETFを、債券CFD取引は債券や債券を対象としたETFを、その他証券CFD取引はその他の外国上場株式関連ETF等を、商品CFD取引は商品先物取引をそれぞれ原資産とし、それらの価格の変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、建玉や売買の状況によってはオーバーナイト金利、キャリングコスト、借入金利、配当等調整金の支払いが発生したり、通貨の金利の変動によりオーバーナイト金利が受取りから支払いに転じたりすることがあります。
■上記全ての取引においては、当社が提示する売価格と買価格にスプレッド(価格差)があり、お客様から見た買価格のほうが売価格よりも高くなります。
■先物取引は各原資産の価格を指標とし、それらの変動に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。
■外国株式・指数オプション取引は、対象とする有価証券の市場価格や対象となる指数、あるいは当該外国上場株式の裏付けとなっている資産の価格や評価額の変動、指数の数値等に対する予測を誤った場合等に損失が発生します。また、対象とする有価証券の発行者の信用状況の変化等により、損失が発生することがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。さらに、外国株式・指数オプションは、市場価格が現実の市場価格等に応じて変動するため、その変動率は現実の市場価格等に比べて大きくなる傾向があり、意図したとおりに取引ができず、場合によっては大きな損失が発生する可能性があります。また取引対象となる外国上場株式が上場廃止となる場合には、当該外国株式オプションも上場廃止され、また、外国株式オプションの取引状況を勘案して当該外国株式オプションが上場廃止とされる場合があり、その際、取引最終日及び権利行使日が繰り上げられることや権利行使の機会が失われることがあります。対象外国上場株式が売買停止となった場合や対象外国上場株式の発行者が、人的分割を行う場合等には、当該外国株式オプションも取引停止となることがあります。また買方特有のリスクとして、外国株式・指数オプションは期限商品であり、買方がアウトオブザマネーの状態で、取引最終日までに転売を行わず、また権利行使日に権利行使を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。また売方特有のリスクとして、売方は証拠金を上回る取引を行うこととなり、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。売方は、外国株式・指数オプション取引が成立したときは、証拠金を差し入れ又は預託しなければなりません。その後、相場の変動や代用外国上場株式の値下がりにより不足額が発生した場合には、証拠金の追加差入れ又は追加預託が必要となります。また売方は、権利行使の割当てを受けたときには、必ずこれに応じなければなりません。すなわち、売方は、権利行使の割当てを受けた際には、コールオプションの場合には売付外国上場株式が、プットオプションの場合は買付代金が必要となりますから、特に注意が必要です。さらに売方は、所定の時限までに証拠金を差し入れ又は預託しない場合や、約諾書の定めによりその他の期限の利益の喪失の事由に該当した場合には、損失を被った状態で建玉の一部又は全部を決済される場合もあります。さらにこの場合、その決済で生じた損失についても責任を負うことになります。外国株式・指数オプション取引(売建て)を行うにあたっては、所定の証拠金を担保として差し入れ又は預託していただきます。証拠金率は各銘柄のリスクによって異なりますので、発注前の取引画面でご確認ください。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、取引証拠金を事前に当社に預託する必要があります。取引証拠金の最低必要額は取引可能な額に比べて小さいため、損失が取引証拠金の額を上回る可能性があります。この最低必要額は、取引金額に対する一定の比率で設定されおり、口座の区分(個人または法人)や個別の銘柄によって異なりますが、平常時は銘柄の流動性や価格変動性あるいは法令等若しくは当社が加入する自主規制団体の規則等に基づいて当社が決定し、必要に応じて変更します。ただし法人が行う外国為替証拠金取引については、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用いて通貨ペアごとに算出(1週間に1度)した比率を下回らないように当社が設定します。
■上記全ての取引(ただしオプション取引の買いを除く)は、損失が無制限に拡大することを防止するために自動ロスカット(自動ストップロス)が適用されますが、これによって確定した損失についてもお客様の負担となります。また自動ロスカットは決済価格を保証するものではなく、損失がお預かりしている取引証拠金の額を超える可能性があります。
■外国証券売買取引は、買付け時に比べて売付け時に、価格が下がっている場合や円高になっている場合に損失が発生します。
■取引にあたっては、契約締結前交付書面(取引説明書)および取引約款を熟読し十分に仕組みやリスクをご理解いただき、発注前に取引画面で手数料等を確認のうえ、ご自身の判断にてお取引をお願いいたします。

サクソバンク証券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号、商品先物取引業者
第一種金融取引業、第二種金融商品取引業
加入協会/日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本投資者保護基金、日本商品先物取引協会
手数料:各商品の取引手数料についてはサクソバンク証券ウェブサイトの「取引手数料」ページや、契約締結前交付書面(取引説明書)、取引約款等をご確認ください。