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本四半期見通しの中核テーマは、実質金利があまりにも高く、借り換えニーズを抱えるセクターや消費者に影響が見られるということです。消費が減速する可能性が高く、米国の財政サイクルが追い風から逆風に変わりつつあるため、世界は実際に「ピーク金利」に達した可能性があり、債券を保有する10年に一度の機会が訪れています。
外為市場では米ドルが引き続き堅調です。さらに、欧州と英国におけるスタグフレーション・リスクの高まりと、バランスシート・リセッション(景気後退)に襲われている中国経済の構造的な弱さとが相まって、「ピーク金利」と2024年の利下げを織り込んでも米ドル高の勢いがなお続く可能性があります。「ピーク金利」を示す兆候の一つは、ブラジル、中国、ポーランドですでに始まっている新興国市場の利下げサイクルです。
株式に関しては、中央銀行のインフレとの闘いが世界経済を圧迫し始める水準にまで資本コストを押し上げています。グリーン・トランスフォーメーションにおける資本集約型産業は最も大きな打撃を受けており、この点は金利を引き下げる政治的動機になるでしょう。グリーン・トランスフォーメーションは現在の金利水準とコモディティ価格では持続不可能です。「ピーク金利」に達し、スタグフレーション下の欧州で消費が減速する場合、エネルギー、生活必需品、公益事業、医療などのディフェンシブ・セクターが最も高いリターンをもたらすと予想されます。
債券に関しては、スタグフレーション・リスクと、期待インフレ率とエネルギー価格の上昇に支えられている「より高くより長く」というFRBの姿勢が、当グループの債券ロングのシナリオにタイミングの問題を突きつける可能性があります。もっとも、タイムラグを伴う最近の利上げサイクルの効果が出始めると、景気後退により中央銀行は利下げせざるを得ず、米国のイールドカーブの短期ゾーンは低下することになります。上記の効果がさらに強まると、長期実質金利が低下または場合によってはマイナスになる必要性があることを反映してイールドカーブの長期ゾーンも追随して低下する可能性があるでしょう。
コモディティに関しては、第3四半期に石油などのエネルギー価格が大きく動きました。エネルギーだけでなくすべてのコモディティの供給がひっ迫しており、コモディティ価格の上昇の勢いは続くと当グループは予想しています。コモディティ価格の上昇はインフレやスタグフレーションのリスクを下支えしますが、実質金利を引き下げることでこの制約を相殺するよう中央銀行に圧力をかけることにもなります。この状況は第4四半期に貴金属にとって特に良好な環境をもたらすと見込まれます。
「ピーク金利」のような金融市場の大きな転換は、流動性イベントを通じて中央銀行が追い込まれた末行われることがよくあります。米国債は、流動性が高く安全性の高い資産と考えられていますが、パンデミックが始まった頃、大きな変化を経験し、金融システムの根底にある潜在的リスクが明るみになりました。米国政府は、バイデン政権による1兆ドルの追加財政支出を支えるために国債発行を大幅に増やしています。この増加ペースは、プライマリー・ディーラーが直面する資本制約や米国債市場の複雑さ、規制上の制約と相容れないものであり、流動性イベントを引き起こす恐れがあると言えるでしょう。
米10年国債はこの半世紀で最長の下落期間を記録し投資家に敬遠されてきましたが、あらゆる形態の債券が再び人気になる日は近いかもしれません。景気減速時には債券はポートフォリオに重要な分散化効果をもたらします。また、現在の金利水準は、債券投資によるリターンを引き上げています。現時点でポートフォリオの債券エクスポージャーを増やすことにより、リスク・リワード比率が優れる、景気減速に対して一定のヘッジ効果のある資産を付け加えることができるのではないでしょうか。
【注目銘柄】
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