高配当株は、安定した配当金を求める投資家にとって魅力的な選択肢です。特に、長期的な保有により定期的な配当収入を得ることができ、株価の下落時にもリスクを分散できる可能性があります。
本記事では、高配当株の選び方や投資メリット、リスクを深掘りし、実際に高配当株を提供する米国企業についても紹介します。
高配当株とは
高配当株とは、株価に対して相対的に配当金が多く支払われる企業の株式を指します。長期的に保有することで配当金を積み上げられるため、株価が下落した際にも一定のリスクを軽減できると考えられています。
なお、業績が安定している企業ほど継続的な配当を行う傾向があります。
予想配当利回りとは
予想配当利回りとは、配当の大小を比較するための投資指標です。
株式投資では企業ごとに株価や配当金額が異なるため、配当の多さを単純に比較することはできません。しかし債券の利回り計算と同じ考え方を応用することで、比較可能な数値に変換することができます。予想配当利回りの計算式は以下の通りです。
計算式: 予想配当利回り(%)= 1株当たり予想年間配当金 ÷ 株価 × 100 予想配当利回りをもとに収益を見積もることで、どの程度の配当収入が期待できるかを判断できるため、投資家にとって重要な指標となります。
アメリカの企業における配当金の重要性
アメリカの企業は、株主への利益還元として配当金を重要視しています。日本の企業では株主優待が人気を集める一方、アメリカでは「現金重視」と「数字重視」のシビアな株主が多いため、企業側もできるだけ配当金を増やす傾向があります。このため、安定した配当を提供する企業が多数存在しています。
高配当の米国株の例
ここでは、安定性と高い配当利回りを兼ね備えている高配当の
米国株式 10銘柄を紹介します。
※情報は2025年1月31日時点、当社調べ
P&G
P&Gは消費財業界のトップ企業として、日用品や家庭用品を幅広く取り扱っています。多くの優良ブランドを持っているため、経済の景気に左右されにくいという特長があります。配当利回りは安定しており、景気後退時でもその強みを発揮しています。長期的な投資先として信頼されている企業です。
コカ・コーラ
コカ・コーラはみなさんご存知のとおり世界中で展開する飲料ブランドで、安定した売上と利益を誇っています。同社はグローバルな市場で強固な競争優位性を持っているため、景気の変動にも強いのです。特に安定的な配当支払いを行っており、投資家にとって長期的に魅力的な銘柄となっています。
IBM
IBMは企業向けソフトウェアやクラウド、AIソリューションを提供している企業です。人工知能やサイバーセキュリティ分野での成長が期待されています。配当も安定しています。
ジョンソン・エンド・ジョンソン
ジョンソン・エンド・ジョンソンは医薬品と消費者向け健康製品を手掛ける企業です。安定した配当と成長を提供しており、業界をリードする存在です。
モルガン・スタンレー
モルガン・スタンレーは、投資銀行業務と資産運用業務を行う米国の大手金融機関です。株価は近年好調で、特に、同社の資産運用部門が安定的な収益源となっており、その結果、高い配当利回りを維持しています。
アルトリアグループ株式会社
アルトリアは大手タバコ企業です。55年以上連続して配当金を増やしており、高配当株の代表格といえます。安定した売上を誇るブランドを持ち、市場が不安定な時期でも安定的に配当を提供しているため信頼できます。
AT&T
AT&Tは、通信業界の大手企業です。2022年の再編後も安定した配当を提供しています。利益の半分程度の配当は無理がなく継続性があり、魅力的といえます。
レイセオン・テクノロジーズ株式会社
レイセオン・テクノロジーズは防衛および航空宇宙の企業で、安定したキャッシュフローと堅固な市場シェアを誇っています。昨今の国際情勢の変化により防衛産業は益々需要が高まっており、同社は引き続き成長が期待されます。最近では、AIやロボティクスなどの革新分野にも注力しており、株価の安定性とともに配当利回りも魅力的です。
ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社
ブリストル・マイヤーズ・スクイブは医薬品会社であり、がん治療薬や戦略的買収による事業強化により、安定した配当を支えています。16年連続で配当を引き上げており、株主への支払いはほぼ30年の間、途切れていません。
クアルコム
クアルコムは、通信技術や半導体の設計開発を行う企業です。 スマートフォンやモバイル通信技術のリーダーとして、5G技術の普及により急成長しています。テクノロジー分野で非常に強力な地位を占めており、株価も好調であり、安定した配当金を提供しています。
高配当の米国株に投資するメリット
ここでは、アメリカの高配当株に投資するメリットを解説します。
安定した配当収入
定期的に安定した配当を受け取ることができます。なお、日本株は年2回の配当であるのに対し、米国株は年4回の配当が一般的です。
手間の少なさ
高配当株への投資は、株式を購入して保有するだけで配当金を得られるため手間がかかりません。忙しい方でも手軽に投資できる点が魅力です。
現金化の容易さ
高配当株は小型株と比較すると、株式市場で売却しやすいため、現金化が迅速に行えます。急に現金が必要な際にも対応可能です。
高配当の米国株に投資するリスク
便利な一方で、高配当株への投資にはリスクも存在します。
配当金の減額や株価の下落
配当金は将来的に減少する可能性があり、高配当株が必ずしも安定した配当を継続するわけではありません。また、減配が発表されると株価は大きく下落することもあります。予期せぬ減配が発生すれば、大きな損失を被る可能性があるため注意が必要です。
キャピタルゲインの低さ
高配当株は、株価が上昇した際に売却時に得られる利益(キャピタルゲイン)を得るのが難しい傾向があります。これらの企業は成熟期にあるため、急速な成長は期待できないといえます。
株価上昇の限界
高配当株は、配当金の支払いが株価を押し下げる要因となるため、株価の上昇が鈍くなる傾向にあります。配当金の支払いだけでなく、株価の変動も考慮して投資判断を行うことが重要です。
高配当のアメリカの株式投資における注意点
以下のポイントを押さえておくことが重要です。
過去の配当金推移を確認
安定した配当を維持している銘柄を選ぶことが重要です。これは、過去に安定して配当を支払ってきた企業は、将来も安定した収入を提供する可能性が高いためです。反対に、業績が大きく変動している企業の配当は不安定な場合が多いため、慎重に選びましょう。
配当性向をチェック
配当性向とは、会社の利益に対する配当の割合を示す指標を指します。安定的に配当を支払える企業は、配当性向が適切な範囲内(30%〜60%程度)であることが多いです。高すぎる配当性向は、無理して配当を支払っている可能性があるため注意が必要です。
まとめ
アメリカの高配当株は、大きく安定した配当金を得ることができる投資先として人気があります。しかし、配当金が減ったり、株価が下がったりするリスクもあるので、慎重に企業を選ぶことが重要です。
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