投資を始める際、どの口座を開設するかは非常に重要なポイントです。「特定口座」は、税金の手続きを簡素化するための制度ですが、その種類には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」があります。
どちらを選ぶかによって、税金の課税関係や確定申告の必要などが異なります。本記事では、特定口座の特徴や選ぶ際のポイントをわかりやすく解説します。
特定口座とは
特定口座は、株式を売買した際に発生する利益にかかる税金の手続きを簡素化するための制度です。この口座を証券会社で開設することで、税務処理の負担が軽減されます。
なお、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
確定申告の有無
- 源泉徴収あり:取引を行う際、証券会社が所得税・住民税を差し引いて納税。この場合、投資家は原則として確定申告を行う必要はなし。
- 源泉徴収なし:証券会社は税金を差し引かず、損益が発生した時の納税について投資家が自分で確定申告を行う必要あり。ただし、損益計算は金融機関がしてくれるので、計算の手間は省ける。
特定口座と確定申告の関係
損益通算・繰越控除とは
損益通算とは、他の取引で発生した損失と利益を相殺でき、税負担を軽減できる仕組みです。また、繰越控除とは、損失を翌年以降に繰り越して税金を軽減できる仕組みであり、これによって長期的に税負担を最小化することが可能です。
これらのことを行うためには、特定口座の源泉徴収あり、なし、のどちらを選択した場合でも、確定申告が必要となります。
外国税額控除とは
米国株投資の場合は、米国株の配当金に対する税金である「
配当課税」が発生します。具体的には、米国で10%の源泉徴収が行われ、日本でも20.315%の課税がなされることとなります。ただし、二重課税を防ぐために確定申告をすれば、米国に支払った税金を日本の税金から控除する「外国税額控除」を利用できます。
特定口座と一般口座の違い
証券会社で口座を開設する際、特定口座の他にも「一般口座」を選ぶことができます。ここでは、特定口座(源泉徴収あり、源泉徴収なし)と一般口座の違いを説明します。
まず、
特定口座では証券会社が損益計算を行い、年間取引報告書を発行します。対して、
一般口座では、利用者自身が損益計算をしなければならないため手間がかかります。
ここまでの内容を表にまとめました。
口座の種類 | 税金の納付方法 | 確定申告の必要性 | 損益通算・繰越控除 | 特徴 |
特定口座(源泉徴収あり | 証券会社が代わりに納税 | 原則不要 | 他社の口座と損益通算する場合や、損失の繰越控除、外国税額控除を利用するには確定申告が必要 | 手続きが簡単で、確定申告の手間がかからない |
特定口座(源泉徴収なし) | 自分で納税 | 必要(証券会社の報告書を利用可能なため計算は不要) | 確定申告で損益通算や繰越控除、外国税額控除が可能 | 証券会社が計算してくれるので、申告が比較的簡単 |
一般口座 | 自分で納税 | 必要(すべて自分で計算) | 確定申告で損益通算や繰越控除、外国税額控除が可能 | 取引の記録・計算をすべて自分で管理する必要がある |
どの口座を選ぶべき?
それでは、どの口座を選べばよいのでしょうか?一つずつ見ていきましょう。
特定口座(源泉徴収あり)
投資初心者や手続きを簡単にしたい人におすすめです。証券会社が自動で納税してくれるため、原則、確定申告が不要となります。
特定口座(源泉徴収なし)
源泉徴収ありの場合と異なり、証券会社からら自動的に税金が引かれることもありません。そのため給与以外の所得(利益)が年間20万円以下の場合、確定申告が不要であり、源泉徴収されません。さらに必要となった場合にも証券会社が準備した年間取引報告書があるため、簡単に確定申告ができます。
一般口座
税金の計算や確定申告を自分で行いたい場合、一般口座も選択可能です。ただし、取引にかかる計算をすべて自分で行い、手続きする必要があります。
NISA(ニーサ)口座との違いは?
NISA口座では、投資信託や株式などで得た利益(売却益や配当金)は非課税であり、上限額内で税金がかからないため「非課税口座」とも言われます。しかし、NISAを利用した場合、損益通算や繰り越し控除を利用することはできません。
一方で、特定口座(源泉徴収あり、源泉徴収なし)や一般口座は「課税口座」とも呼ばれます。利益に対して税金がかかりますが、損益通算や繰越控除を利用することで税負担を軽減できます。
まとめ
特定口座は、投資家が税務処理を簡単に行うための便利な制度です。
中でも源泉徴収ありの場合、証券会社が代わりに納税を行うため原則として確定申告が不要であり、初心者におすすめです。一方、源泉徴収なしの場合は自分で確定申告が必要ですが、税負担を抑えることができます。これらの特徴を踏まえて最適な口座を選びましょう。
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