口座開設は無料。オンラインで簡単にお申し込みいただけます。
最短3分で入力完了!
グローバルマクロ戦略責任者
サマリー: 1月の過熱したインフレに関するデータを受けて、米国債利回りが急上昇したことで、円の強気派は追い詰められました。トランプ米大統領がプーチン露大統領とのウクライナでの戦争終結に向けた会談の意向をうるさく宣伝する中、ユーロは不安定な動きとなっています。
米国のインフレとトランプ大統領とプーチン大統領のウクライナに関する会談の見通しが市場を揺るがしています。
昨日は、予想を上回る米国のコアインフレのデータが発表されたことにより、クロス円の力強い上昇基調が実に大きく変わり、その後、トランプ米大統領がウクライナでの戦争終結に向けてロシアのプーチン大統領と話したと発表したことで、FXトレーダーにとって頭がクラクラする一日となりました。後者についてはまた、以下で説明するように、他のほとんどの通貨よりもユーロを押し上げました。
米国のインフレに関するデータの発表により、米国の長期金利は急上昇し、米10年物国債の指数は約10ベーシス・ポイント上昇し、昨日は4.65%まで上昇し、生鮮食品とエネルギーを除くコアCPI指数は前年比0.1%(四捨五入しなければ実際は0.054%)、前年同月比では0.2%(四捨五入しなければ実際は0.152%)とサプライズ(驚きの結果)となりました。米ドル/円(USDJPY)は、米国債利回りの動きに同調して反発し、最近の下落局面のブレークを完全に帳消しにしました。円が依然として米国の利回りに左右されていることは明らかであり、USDJPYが次にどう動くかを知るためには、利回りがどこに向かっているのかを理解する必要があります。そのためには、もっと時間が必要です。
要するに、米国のインフレがどこに向かっているのかを理解するには、さらに数ヶ月分のデータが必要です - この最新のデータポイントは、季節的および特異な要因により部分的に誤解を招く可能性が高いですが、市場はそれに対して非常に貧弱な立場にあったため、誇張された反応が見られました。私は、ここで米国債利回りがさらに続くとは確信していませんが、もしそうなれば、市場の注目度が急速に高まり、米ドルが上昇する可能性が高く、特に米ドル/円(USDJPY)について、米ドルに関する弱気相場の見通しが遅れるでしょう。4.70-4.75%は、米国債利回りのテクニカルな見通しにとって重要であり、5.00%に戻る脅威があれば、すべての資産クラスでリスク選好が完全に失敗となる可能性が高いでしょう。米ドル/円(USDJPY)については、弱気筋は今のところ落胆していますが、構造的には、リトレースメント(トレンドの中で一時的に価格が逆行する現象(ここでは、戻り目))が156.00を下回る水準を維持できれば、米ドル/円(USDJPY)の弱気派が描くシナリオはそのまま残ります。クロス円では、世界の利回りの動きと比較したとき、反転が行き過ぎているように見えますが、これはおそらく最近のショートポジションの破綻です。この動きが定着するかどうか見てみましょう。
ところで、ジョン・オーサーズ(John Authers)氏は今日のコラムで、米国のインフレ率の損益分岐点が米国の関税許可措置によるCPIの急上昇を恐れて2年先まで完全に固定されていないと指摘していますが、10年物利回りは新高値に近づきながらもほぼ固定されたままで、5年物利回りはやや緩慢に固定されたままであると指摘しています。また、コアインフレ率の他の主要な指標は、FRBが政策金利を緩和するには高すぎる水準にとどまっているにもかかわらず、低下し続けていると指摘しています。
そして、覚えておいてほしいのは、特に、トランプ大統領がほんの数時間前に今日にも発表すると脅した報復的、あるいは「相互的」関税について、人々の注目はすぐに別の場所に移るだろうということです。
ウクライナの平和の見通しに反応して、ジェットコースターのように浮き沈みの激しいユーロ
ユーロは明らかに、昨日のニュースで急騰したように、ウクライナ戦争後の環境に対する米国の立場について読み取れる影響を吸収しようとしています。これについては、ユーロにとってポジティブと捉えられる見方がいくつかあります。1つ目は、戦争の終結により不確実性が解消されるだけでなく、ロシアのエネルギーが将来的により自由に西側に供給されると見られれば、エネルギー価格の低下により一段と実効的な緩和が可能になるため、ヨーロッパでは漠然とした全般的な上昇が見られるだろうということです。もう1つの見方は、財政面およびより恒久的なことについてです。トランプ大統領は、ヨーロッパ諸国が再建された軍隊をもって自国の国境を守るために自力で対処し、ウクライナの軍事的信頼性を支えるようになるのを期待したいと明言しています。ウクライナ経済の再建費用も、大部分がユーロ圏に委ねられることになるでしょう。ブルームバーグの「The Big Take」は本日、EUが信頼できる防衛抑止力を構築してウクライナを守るための防衛費用を、約3兆米ドルと見積もっています。その方向に進むと、大量の財政発動と、EU経済の大幅な上昇を意味し、ユーロ圏が発行する大規模なソブリン債がそれを支払う可能性があり、これらはすべてユーロ圏にとってはプラスの材料です。ただし、我々がこの方向に進むかどうか、またはどれだけの速さで進むかを判断するには時期尚早です。
最初のステップは、次期首相と確実視されているドイツキリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首が、債務ブレーキの懸念を脇に押しやる意欲のある連立を築き、より緩和的な財政スタンスに向かうことができるかどうかを確認するために、ドイツ選挙を違った視点からも深く見てみることです(最も高い確率はドイツ社会民主党(SPD)との別の「大連立」であるが、私のドイツの同僚は、わずかに可能性が低い、緑の党(Greens)との連立のシナリオを好んでいます。しかし、連立政権が他の政党からの阻止行為を避けるのに十分な(多数票による)力があれば、どちらのケースであっても比較的ユーロにとってはプラス材料となります。また、EU諸国は、平和協定の条件とその余波を形作る上で、どのような役割を果たすことができるのでしょうか?
私は、ユーロ/スイスフラン(EURCHF)とユーロ/スウェーデンクローネ(EURSEK)の動きを、EUの大規模な財政拡大の可能性を市場がどのように読み取っているのかの独立した尺度として注目しています。ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)は、ニュースを受けて重要な0.9500+の抵抗線(レジスタンス)まで上昇しましたが、今日は急激に後退しました。
チャート:豪ドル/米ドル(AUDUSD)
豪中銀(RBA:オーストラリア準備銀行)は来週火曜日に会合を開き、市場は最近の予想よりも速いインフレ率の低下に対して利下げの可能性を高く織り込んでいますが、他の経済指標、特に労働市場の逼迫が豪中銀(RBA)の利下げを支持しない結果となっています。一方、豪州には米中貿易関係の懸念が重くのしかかっています。0.6300から0.6330の間のレジスタンス(抵抗線)の領域は、火曜日に豪中銀(RBA)が利下げを通過させることで試される可能性が高いことを示唆している一方で、豪中銀(RBA)の利下げと来週の貿易・関税懸念の再燃、および/または、米国利回りのさらなる上昇により、0.6200から下へ抜けるのを試す展開となる可能性があります。私は、豪中銀(RBA)による利下げはほぼ完全に織り込まれているため、利下げを行うのではないかと思います。
その他通貨の動き
表: 主要10通貨と人民元(CNH)関する、トレンド展開とその強さ
注:このFX ボードのトレンド・インジケーターは相対的な尺度のみを表示しており、ボラティリティが調整されています。絶対値 2 未満の値はかなり弱いですが、3 を超える値は非常に強く、6 を超える値は非常に強いことを示しています。
ここ数日のボラティリティは市場を混乱させており、特に日本円については、過去2日間と5日間の激しい勢いの変化を示しています。ユーロの強い上昇の勢いの変化にも注目してください。
表:個々の通貨ペアのFXボード・トレンドスコアボード
クロス円のトレンドは依然としてマイナスですが、円が弱いままであれば、すぐに脅威にさらされます。ユーロ/ドル(EURUSD)や英ポンド/米ドル(GBPUSD)などの一部の主要な米ドル通貨ペアはここで米ドルが弱い方向にシフトしていますが、今後数日間の取引で多くの報道リスク(報道が投資やビジネスに影響を与える可能性のあるリスク)が発生するとみられ、テクニカルのブレイクアウトの兆しはまだ見られません。