債券投資を(再)検討する時期 債券投資を(再)検討する時期 債券投資を(再)検討する時期

債券投資を(再)検討する時期

ピーター・シクス

(Saxo Group)

サマリー:  債券にとって潮目が変わりました。債券投資は、現在の利回りを考えると魅力的ですし、それだけでなく株式より低いリスク、ポートフォリオの分散効果、経済変動の影響を受けない安定した金利収入などのメリットがあります。


債券は長い間、投資対象ではありませんでした。超低金利時代の債券利回りは極めて低い水準でした。しかし、この2年間でその流れは劇的に変わりました。ドイツの10年債利回りは、2021年10月時点のマイナス圏から上昇し、本稿執筆時点で2.6%となっています。また、米国では10年債利回りが1.5%から4.3%に上昇しました。

短期債に目を向けると、変化はさらに顕著で、米2年物国債の利回りはわずか2年で0.5%から5%に上昇しました。また、ドイツでは2年債利回りが-0.5%から3%に上昇しました。

様々な債券指数を見ても、同様の現象が見られます。下のグラフは以下の10年債利回りを示しています。

黄: 
ドル建てハイイールド 8.5% 
赤:ユーロ建てハイイールド 8.3% 
白:
ドル建て総合  5.1%
オレンジ:  
ユーロ建て総合
3.8%

なぜこういった現象が起きているのか?

FRB(連邦準備制度理事会)とECB(欧州中央銀行)の利上げにより金利環境全体が変化しました。現在の実効利回りを踏まえると、利回りの低い資産クラスだった債券は魅力のある投資機会へと変貌を遂げました。

下の2つのグラフは、ECBFRBの利上げの推移を示しています。

中央銀行が取った措置によってすべての金利が上昇しました。「金利の上昇」期間中、債券保有者は保有債券の価値の(大幅な)下落により打撃を受けました。2022年は債券保有者にとってリターンが最悪だった年の一つです。2023年も債券投資が成功した年とはいえません。トータル・リターンは1%2%前後です。例外はあります。ハイイールド債は非常に好調で、米国における今年のパフォーマンスは約6%7%となりました。

しかし、当グループは、特に米国は利上げのほとんどを終えたと考えています。そのため、債券価格の下振れリスクは限定的で、それが現在の利回りを魅力的なものにしています。また、金利上昇が金利低下に転じるシナリオの下では、保有債券の価値が上昇することすらあります。

債券をポートフォリオに追加するメリット

債券をポートフォリオに加えることにはいくつかの利点があります。

  • 分散化:債券は株式とはパフォーマンスが異なる傾向があるため、ポートフォリオに債券を追加することで、全体的なボラティリティとリスクを抑えることができます。株価が下落したときに債券は安定をもたらします。
  • 金利収入:債券は定期的に利子を支払うため、投資家の収入源となります。この収入は生活費に充てることも再投資することもできます。退職した人々にとってこれは特に魅力的です。
  • 安定性:ほとんどの債券の利払いは固定されているため、景気変動の影響を受けずに安定した収入を得ることができます。これは、変動する可能性のある株式配当とは対照的です。
  • 低リスク:債券は一般的に株式よりもリスクが低く、特に質の高い国債ではデフォルト・リスクが極めて小さくなります。債券は、株式の高リスクを相殺するのに有用です。
  • 元本保証:満期まで債券を保有すれば、投資家は投資元本を回収することができます。これにより、株式の潜在的損失に対するセーフティ・ネットがもたらされると言えるでしょう。

まとめると、株式ポートフォリオに債券を追加する主な利点は、分散化の拡大、安定した収入、ポートフォリオのボラティリティの低下、元本保証です。債券を保有することで、株式投資に伴うリスクの一部を相殺することができますと言えるでしょう。 

債券に投資する額

これは個人投資家の特性によって異なります。考慮すべき点は、年齢、投資期間、リスク選好度、投資目標です。ただ、一般的に言えることは、高齢になればなるほど債券の比率が高くなるということです。このアプローチは年金基金でも認めることができます。若い加入者の場合、株式をオーバーウェイトにしますが、年配の加入者は引退時期が近いため、債券をオーバーウェイトにします。ここでの経験則は、自分の年齢を割合として債券に投資するということです。投資家はこの手法から逸脱する可能性がありますが(実際に逸脱します)、基本的な考え方は明確です。通常、年をとるほど債券により多く投資します。

株式との相関

債券は株式からの分散化を可能にします。債券は株式と異なる動きをすることが多いため、2つの資産クラスを組み合わせることで、ポートフォリオのリターンの変動を長期的に抑えることができます。株価が下落すると債券は上昇する可能性があり、影響を和らげることができます。下のグラフでは、過去60年間の世界の株式と債券の相関関係を見ることができます。

グラフから分かるように、株式と債券の相関関係は時間とともに変化しています。 過去20年間は負の相関でしたが、 2000年以前の30年間は正の相関になっています。

株式と債券の相関関係に影響を与える要因は時間の経過とともに変化する可能性があります。いくつか例を挙げると、先行き不透明な時期には、安全への逃避(この場合、投資家は株式よりも債券を好みます)が起きるため、負の相関になります。また、株式市場のボラティリティが高いと、負の相関になります。しかし、インフレは金利の上昇(債券の下落)と(おそらく)企業利益の減少(株式の下落)をもたらすため、正の相関になる可能性があります。株式と債券が同じ方向に動くもう一つの要因は実質利回りの上昇です。実質利回りの上昇に伴い、実質割引率が上昇します。これは株式と債券の両方の価格に対してマイナスに作用します。

以下は過去40年間の米国の実質金利を示したものです。

まとめ

まとめると、現在の利回りを考慮すると債券は魅力的な投資対象です。インフレが抑制されなければ、世界の中央銀行がさらなる利上げを行うリスクがありますが、当グループはそれを基本シナリオとみなしていません。私たちは、政策金利のピークは近く、2024年に低下すると考えています。したがって、現在の利回りはより一層魅力的に映るのです。

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