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FX取引市場は通貨と通貨デリバティブを取引するための世界市場です。FX取引とは通貨の交換であり、簡単に言うと、ある通貨と交換に他通貨を売買します。FXは世界で最大かつ最も流動的な金融市場であり、1日の平均取引高は7.5兆米ドル(2022年時点)に達します。
毎日、多数の外国為替取引が個人的または商業的なニーズで実施されます。例えば、海外旅行資金のために外貨に両替えしたり、企業が海外からの物品の輸入代金を支払うために通貨を両替えしたりします。 /p>
FXは他通貨建ての未決済投資額がある場合、リスクを相殺または完全に解消するFX取引を1つまたは複数開始することで、潜在的損失を軽減するヘッジ目的でも使用できます。FX取引を行うと、他通貨に対するある通貨の価格変動を予測した投機も可能です。
FXペアは、基軸通貨と決済通貨で構成されます(例:EUR/USD)。FXを取引する場合、1単位の基軸通貨(スラッシュの左側に表示)を購入するのにどれだけの決済通貨(スラッシュの右側に表示)が必要かに注目します。
つまり、FX取引では、ある通貨の買いと他通貨の売りが同時に行われます。
外国為替市場は、月曜日の午前5時(シドニー・オーストラリア東部標準時間)から金曜日の午後5時(同)まで1日24時間稼働しています。
世界市場の慣習では、すべての通貨ペアのスポット建玉の決済日は翌営業日の午後5時(東部標準時)まで繰り延べられます。例外となるのがニュージーランドドルで、決済日は月曜日から金曜日まで、オークランド時間の午後7時まで繰延べられます
そのため、決済日繰延べの現地時間は、通貨ペア、カウンターパーティの場所、夏時間制度に応じて年間を通じて変動します。
サクソバンク証券のFXの取引時間は以下の通りです。
FXは主に以下の形態の取引があります。
自分に適したFX商品がわからない場合は、目標に最適なものを選ぶのに役立つようにそれぞれ詳しくみていきましょう。
FXスポット市場は通貨の即時取引のために利用されます。「スポット」とは外国為替取引の決済日を指し、ほとんどの通貨ペアでは、取引日の2営業日後です(通称「T + 2」)。サクソバンク証券では、FXスポット取引は決済されず、代わりに、取引日終了時に保有されている建玉は次の営業日まで繰り越されます。
FXスポット市場が即時の通貨取引を対象とするのに対し、FX先渡市場では取引通貨は将来のある時点に引き渡されます。トレーダーは2通貨が将来の所定日にその時点で決定したレート(FXフォワードレート)で交換することに同意します。
(サクソバンク証券ではFXフォワード取引を提供していません)
FXオプションでは、将来の特定日付に特定レートで通貨を取引する権利(義務でなく)を買い手に与えます。通貨ペアの上昇または下落というレートの方向であったり、将来の市場のボラティリティを予測した投機であったり、原資産市場に対する投資家の思惑を表す手段として利用できます。
FX取引は、他の資産を購入する取引と同様に機能します。通貨ペアの現行レートは1単位の通貨を購入するために別の通貨がどれだけ必要かを示します。通貨ペアX/Yの現行レートは、1単位の通貨Xを購入するために通貨Yがどれだけ必要かを示します。
FXでは、通貨はISO(国際標準化機構)コードを使用して省略されます。この3文字のコードは、通貨ペアを表示する際に使用され、トレーダーは通貨ペアの一部としてその文字をすぐ特定できます。
通貨ペアを買う場合、トレーダーはレートが上昇、つまり基軸通貨が決済通貨と比べて強くなると予想します。通貨ペアを売る場合、トレーダーはレートが下落、つまり基軸通貨が決済通貨と比べて弱くなると予想します。
FX取引で成功するには、通貨ペアに関してできるだけ理解することが重要です。そこで、最もよく取引され、知っておくべき通貨ペアについてさらに詳しく説明します。次に、取引目標を達成するためにこれら通貨ペアを使用する方法をさらに掘り下げていきます。
FX通貨ペアは、通貨を取引する最も直接的な方法です。名前の通り、通貨ペアは2つの通貨で構成されます。FXペアを選ぶ際、最初に表示される通貨が「基軸通貨」であり、次に表示される通貨が「決済通貨」です。(例:EUR/USD)。通貨ペアのレートは、1単位の基軸通貨を購入するのに必要な決済通貨の額を示します。
また、決済通貨は変動通貨とも呼ばれます。
先に提示される基軸通貨は、常に取引が実行される通貨です。つまり、トレーダーは基軸通貨を購入または売却します。利益や損失、または為替レートの変動は常に変動通貨で表示されます。
上記為替ペアの価値が上昇または下落した場合、ユーロに対する米ドルの価値が強くなったり弱くなったりします。
FX市場と株式市場の大きな違いの1つには、取引可能な商品の数です。株式市場には数千の企業の株式がありますが、FX市場で取引される通貨ペアの数は限られています。
FXトレーダーが選択できる通貨ペアは約180種類ありますが、市場参加者が特に取引するのは、「メジャー」と呼ばれるわずか8種類の通貨ペアに留まります。
FX取引の初心者には、「メジャー」なFXペアから開始することが推奨されます。主な理由は、これらペアが市場で最も流動性が高いからです。流動性が高いと、多くの投資家がそのペアを取引しているため、売買が簡単になります。また、流動性が高いと、売買可能なレート間のギャップ(スプレッド)は小さくなります。
一方で、「マイナー」なFX通貨ペアでは、スプレッドが大きくなる場合があります。これは市場で活発に売買する投資家が少ないため、ボラティリティが高まる要因になります。マイナーFXペアでは、売り手は売りレートの引き下げに難色を示し、買い手も買いレートの引き上げに消極的なため、 売買レートの「スプレッド」が広くなります。
さらに、スプレッドが大きいほど、FX取引で利益を得るためには、レートが有利な方向に動く必要性が高まります。
メジャー通貨ペア(メジャー)の構成通貨:
EUR/USD、別称「ユーロドル」は、ユーロが基軸通貨、米ドルが決済通貨となります。決済通貨のレートは1単位の基軸通貨を購入するのに必要な額を示すことを常に念頭に置きましょう。
ユーロと米ドルの主な違いの1つは各通貨の金利です。欧州中央銀行(ECB)と連邦準備制度が設定する金利は影響力の大きい役割を果たす可能性があります。さらに、EU諸国に悪影響を及ぼす問題がEUR/USDの不安定・弱体化を誘う可能性もあります。例えば、ウクライナ戦争の勃発時にユーロの価値は米ドルに対して下落しました。
USD/JPY、別称「ドル円」はFX市場の別のメジャー通貨であり、1単位のドルを購入するのに必要な円の額を示します。
豆知識:この通貨ペアが人気の理由には、基軸通貨として最も取引されている通貨と決済通貨として流動性の点で主な準備通貨である通貨で構成されていることが挙げられます。
ドル円はFX界における西欧諸国と東洋諸国との架け橋と考えることができます。米国経済も日本経済も世界で最もリスク回避型と考えられるため、ドル円は他のメジャー通貨ペアよりレート変動への反応が鈍くなります。このペアが初心者レベルのFX投資家にとってはよいスタート地点です。
GBP/USD通貨ペア 旧称ケーブルは、英ポンドと米ドルで構成されます。第一次世界大戦前は、英ポンドが世界で最も貴重な通貨であり、世界債務の5分の3以上が英ポンド建てでした。ところが、第二次世界大戦後に米ドルは急速に英ポンドの地位を奪い、ブレトンウッズ体制(金価格を米ドルの価値に固定)の確立により米ドルは一気に主役に踊り出ました。1971年に米国はこの「金本位制」を廃止しましたが、現在でも最も影響力の大きい通貨であり続けています。
英国がブレグジット投票の結果、欧州連合から離脱したのは、ここ数年におけるGBP/USDにとって重要な出来事の1つです。国民投票後の英国とEUの貿易関係をめぐる強い不透明感から、GBP/USDレートは1日で8%急落し、1971年にブレトンウッズ体制が終了して以来、24時間で最大の変動に見舞われました。
USD/CHFは、米ドルとスイスフランで構成されるため、「Swissie」というニックネームで呼ばれています。米ドル同様スイスフランは、18世紀に起源を遡る豊かな歴史と伝統を持つ通貨です。
スイスは財務的にも政治的にも安定しているため、スイスフランは長年、他の変動的通貨と比べて投資するのに比較的安全な通貨であると考えられてきました。この通貨の別の魅力として、金準備での担保率が40%以上である点が挙げられます。スイスフランはゼロに近いインフレ率の恩恵も受けます。
「Swissie」に投資する大きなメリットの1つが相場変動であり、通常、重大な地政学的ニュースと連動します。2008年に起こった金融危機などの難局時には、米経済の不安定さから資金を守ろうと、スイスフランに投資家が殺到しました。
スイスは欧州連合と文化的にも経済的にも強いつながりがあります。そのため、EU圏の見通しに関するマイナス材料は「Swissie」にとっても痛手となります。例えば、2015年にスイス国立銀行が突然、2011年に設定したユーロに対する上限目標を廃止した際、虚を突かれた投資家により、発表後数分内にスイスフランはユーロに対して30%、米ドルに対して25%急騰しました。通貨市場を大混乱に巻き込み、トレーダーに巨額の損失をもたらしました。
AUD/USDは世界で最もよく取引される通貨ペアの1つです。このペアは「Aussie」とも呼ばれ、オーストラリア商品(石炭、鉄鉱石、銅など)の生産に大きく影響される可能性があります。商品価格と密接なつながりがあるため、AUD/USDはきわめて変動的で、世界経済の好調時には通常、商品価格は世界的に上昇することから循環的な性質があります。そのため「リスク選好」通貨ペアと呼ぶ人もいます。商品への依存度が高いことから、主要商品消費国である中国経済の健全性との連動性も高いという特徴があります。
AUD/USDはオーストラリア連銀と米連銀の金利差の影響も受ける場合があります。オーストラリアは米国と共に、円建ての借り手を中心とするキャリートレードの対象となることがよくあります。そのため、 AUD/JPYも人気の通貨ペアであり、豪ドルと円は世界リスクセンチメントに対して逆方向に反応することから、金融市場のリスクセンチメントの有効な指標とみられています。
AUD/JPYレートは楽観的局面に上昇します。商品需要が上向くという楽観的見方に基づき豪ドルが上昇するのに対し、安全な資金の逃避先とされる円は弱くなるためです。同様に、リスク回避傾向が強まると、AUD/JPYレートは下落します。オーストラリア経済とニュージーランド経済のつながりの強さから、AUD/NZDもよく注視されている通貨ペアです。
USD/CADは米ドル/カナダドル通貨ペアの略であり、この2通貨の為替レートは、Xカナダドル(決済通貨)あたり1米ドル(基軸通貨)と提示されます。つまり、銀行や両替デスクでUSD/CADレートが1.26と提示されている場合、1米ドルを買うために1.26カナダドルを支払います。この2通貨はある時点でパリティ(同率)に達したこともありますが、伝統的に米ドルの方が強い傾向にあります。
USD/CADレートは、米ドルとカナダドルの価値に両通貨の関連性に沿って影響するさまざまな要因によって変動します。例えば米月次雇用統計などの経済指標や米連邦準備制度とカナダ中銀(BoC)による金利発表はUSD/CADの上昇または下落要因になり得ます。
カナダの商品輸出(特に原油)もカナダドルの価値設定に大きな役割を果たします。原油価格が上昇するとカナダドルも上昇し、下落する場合も同様に下落します。例えば、2016年にカナダドルが1.46の市場最安値を記録したのは、原油価格が1バレル30米ドルを割り込み、数十年来の安値を付けたためでした。
クロス通貨ペア「ユーロ円」は市場取引高で7位につけています。ボラティリティが高い傾向にあるのが人気の理由で、頻繁なレート変動がデイトレーダーや投資家を引きつけています。
円は19世紀に明治政府が制定した通貨で、日本が巨大産業国として拡大するのに合わせて、円は世界で最も影響力の大きい通貨の1つに成長しました。
日本経済は現在長い間低成長に苦しんでいますが、ユーロ圏や英国のユーロ離脱を巡る不透明感により、ユーロも不安視されるようになっています。そのため、このペアはレート変動が激しくなっており、市場原理は需給調整を計ろうとしています。
EUR/GBP通貨ペア(別称「Chunnel」)は、英国の国民投票とそれに続くEU離脱を踏まえ、ここ数年、新聞の見出しを飾っています。ユーロと英ポンドは、EU経済と英国経済が西欧諸国の中でも屈指の強さであることから、欧州で最も影響力の大きい通貨に数えられます。このペアでは英ポンドが決済通貨であるため、EUR/GBPレートは1ユーロを購入するために必要な英ポンドの額を示します。
英国のEU離脱以外には、金利とGDPデータがこのペアの主な変動要因です。ECBがユーロ圏の金利を引き下げると、EUR/GBPレートは通常弱くなります。イングランド銀行が利下げすると、ほとんどの場合、このペアは強くなります。金利が低下すると、FX市場では通貨に対する需要が減少するのが通例であるためです。
XAU/USD(金米ドル)は、1オンスの金を購入するのに必要な米ドルの額を示すためにFX取引で使用される記号です。金は古代から使用される貴金属であり有形商品です。
1900年代まで、世界各国は金融制度として金本位制を採用し、固定量の金を通貨のベースにしていました。この制度が廃止されてから長くなりますが、金はなお、優れた投資商品とみなされ、トレーダーの間で高い人気があります。金は多くの場合、有形資産として銀行やディーラーから購入されますが、通貨ペアのXAU/USDでは、金の現物を保有せずに相場感を反映した取引ができます。
金は供給量に限りがあり、天候や腐食に対して高い抵抗力があります。こうした性質から、宝石としての魅力だけでなく、富の保存方法として長期的保有に最適とされます。長期間金の購買力は維持され、インフレや株式・通貨の不安定さを回避するヘッジ手段として機能します。以上の理由で金は安全な資金逃避先とみなされ、景気後退や政治/地政学的混乱といった懸念が取り巻く時期には、金需要は通常増大します。金は多額の金準備を所有する政府によって、自国通貨価値の防衛策としてもよく使用されます。
スプレッド
買い値と売り値の差をスプレッドと呼びます。スプレッドの広さは、通貨ペアの流動性、ボラティリティ、取引する時間帯、想定取引サイズ(売買する通貨の実際の額)など、様々な要因によって決まります。
Pips(ピップス)
Pipとは「パーセンテージ・イン・ポイント」の略であり、主にFX取引で使用されます。FXペアのか価格変動は通常、pipの複数形であるpips(ピップス)で提示されます。例えば、FXストレーダーは、「EUR/USDレートが0.0010変動した」と言う代わりに、「10 pips変動した」と表現します。ほとんどの通貨ペアのpipsは小数点以下4桁ですが、円を含む通貨ペアや金(XAU)では小数点以下2桁で提示されることがあります。また、多くのクロス通貨ペアは「deci-pips」、つまり小数点以下の桁数が増え、1 pipの10分の1を表します。これはレート変動の最小単位です。
FX市場で取引する場合、レバレッジを利用することができます。これは「証拠金」取引とも呼ばれ、取引額全体の一部の割合のみを預託して鳥息を開始できます。例えば、ある通貨ペアで5:1のレバレッジを使用可能な場合、取引全額の20%のみ預託するだけで買い建てや売り建て取引を実行できます。
レバレッジを使用する取引には、FXだけでなく、あらゆる形態の金融取引で相当のリスクが伴うことに注意してください。詰まるところレバレッジという概念は、ブローカーから資本を「借り入れ」て、より多額の市場エクスポージャーを得ることに他なりません。FX市場の初心者は、可能な限りレバレッジの使用を抑えることが推奨されます。
多くのブローカーはメジャーなFX通貨ペアで4%の証拠金を提示しています。例えば、市場で10万米ドルのエクスポージャーを得るために、4,000米ドルのみを預託する必要があります。4,000米ドルは少額に思えるかもしれませんが、損失は建玉の全額(10万米ドル)を基準にして発生します。FXでレバレッジを使用する際は、最小限の倍数から始めると良いでしょう。
ほとんどのブローカーは、トレーダーが持続可能な形でレバレッジを使用するためのリスク管理ツールを提供しています。例えば、ストップロス注文では、建玉に不利な方向にレートが動き、個別取引で許容可能な最大損失に達したら、建玉を手仕舞いできます。
サクソバンク証券では通貨ペアごとに必要証拠金の額は異なり、ペアの構成通貨の流動性やボラティリティに応じて変動する可能性があります。流動的な通貨ペア(メジャー)の多くで必要証拠金額が低くなる傾向があるのはこうした理由からです。建玉を維持するために必要な証拠金額が利用可能な口座残高を超える場合、強制ロスカットのリスクがあります。強制ロスカットとは、証拠金高が一定水準を割り込み、建玉を維持できなくなったため、ブローカーがクライアントの建玉を即時に手仕舞いする場合に発生します。
クライアントはマージンコールが発生した場合(口座の有効証拠金が必要額を割り込んだ場合)に通知を受け、建玉のサイズを縮小するか、口座に追加で資金(証拠金担保)を預託する必要があります。一切措置が講じられない場合、ブローカーは建玉の一部/全部を手仕舞いし、エクスポージャーを許容可能なレベルまで減少させます。
店頭取引(OTC)を通じて行われるFXの主な利点として、まず取引時間が挙げられます。FX市場は週5日1日24時間稼働しているため、相場変動に反応したり、思惑に応じてマクロイベントに乗じた取引をしたりすることが迅速に可能です。
OTC取引の参加者数が膨大であることから、世界で最も流動的な市場であることもFXの利点です。そのため、スプレッドは通常タイトになり、取引執行コストが減少します。変動が激しい局面でも市場にアクセスしやすいことにもなります。
FX取引は、変動が激しい局面で相場にアクセスできるため、多くのトレーダーにとって魅力的です。しかし、レバレッジの仕組みを理解せず、リスク管理を怠ると、これが不利に働くことがあります。
使用するレバレッジレベルが高いほど、相場の乱高下にもより敏感に反応するようになるため、建玉が手仕舞いされたり強制的にロスカットされたりするリスクが生高まります。FX取引を開始する前に、自分のリスク許容度、取引の時間軸、最終目標について検討することが重要になります。
ボラティリティとレバレッジに対処するためには、FX派生商品でヘッジしたり、レスティングオーダー(市場レートより高く売る/安く買うための指値注文一式)を活用する方法があります。リスク許容度が低い場合、FX取引には適していない可能性があります。
FXでの詳しいヘッジ方法を知りたい場合は、以下で詳しく説明しますので、続きをお読みください。
FX取引には、他の金融商品と同様にリスクがあります。特に市場リスクと流動性リスクは、あらかじめ検討する必要のある2つのリスク要因です。サクソバンク証券では段階式証拠金体系を採用し、市場変動や急展開を招きやすい政治的・経済的イベントに対処しています。また、レスティングオーダー(指値、ストップ、逆指値)や先渡、スワップ、オプションなどの形態でポートフォリオのリスクに対処する幅広い機会も提供しています
FX市場の1日あたり平均取引高は7兆米ドルを超え、これは世界最大の金融市場です。(株式市場の平均取引高は3,000億米ドル未満)。これにはいくつかの理由があります。まず、通貨ペアの選択肢が豊富で、思惑に基づき買い建て、売り建てできる柔軟性があることが挙げられます。
また、週5日1日24時間稼働しているため、いつでも取引を実行できる点も魅力です。さらに、ボラティリティが高いため、自分の思惑どおりに相場が動けば大きな利益を手にできる可能性があるためです。ただし、リスクも高まることを忘れてはなりません。
FX取引の初心者は、市場で取引を始める際にどこから始めたらよいかわからない可能性があります。FX取引は、投資より投機性が高く、リスクも大きくなります。FXトレーダーは、長期的なポートフォリオを構築するのでなく、日々、短期的な利益を練り出すことを目的として市場に参入します。そのため、市場で一定のトレンドが生まれたときに再現可能な、実証済みの取引戦略に頼ることが重要です。
以下は、熟練FXトレーダーの多くが利用している4つの取引戦略です。
レンジ取引では、通貨ペアは2つの所定レート水準の間で取引されます。通貨ペアが一定「レンジ」内で取引されていると気付いたら、このレンジ内の安値で買い、高値で売ることができます。サクソバンク証券の自動取引シグナルプラットフォームでは、潜在的パターンとその発生確率を認識する技術を採用しています。リスクを軽減のために、ストップロス注文も利用できます。
市場変動を利用して利益を得る戦略です。変動によりレートの動きが活発になり、利益を得る機会が増えるためです。ブレイクアウト取引は、通貨ペアが従前の取引レンジを突破したときに役に立つ戦略です。ペアのレートが従前のサポートレベルを割り込んだ場合、トレーダーはショートポジションを立て、ストップロスを設定します。
トレンドのモメンタム(勢い)にフォーカスする戦略です。通貨レートでモメンタムがいずれかの方向で形成されているかどうかを判断するには、取引高と値動きが参考になります。ニュース報道や主要経済データの発表といったファンダメンタル要因も通貨市場のセンチメントに影響します。
経済情報を迅速に読み解く能力がある場合に有効な戦略です。ニュースの内容や発表に対して市場が反応する方向を予測し、その予測に基づいて通貨ペアの買い建てまたは売り建て注文を執行する能力は、市場で強みとなります。
FX取引とは、例えば外国旅行中のように、ある通貨を買い別の通貨を売る(またはその逆)行為です。FX商品(別称「クロス」)は2つの通貨で構成され、先に提示される通貨(基軸通貨)が取引の実行通貨となります。つまり、トレーダーは基軸通貨を売買します。変動通貨は、基軸通貨の売買に使用され、損益が表示される通貨でもあります。
米ドルを所有している場合に、1万ユーロを購入するとしましょう。EUR/USDは1.0500(ユーロに対する米ドルの交換レート)で取引されています。つまり1ユーロは1.0500米ドルに等しくなります。1万ユーロを購入するには、1万500米ドルが必要です。
この取引を取引口座で実行する場合、1.0500のEUR/USDレートで1万ユーロを購入します。取引方向によって常に基軸通貨建ての取引内容が決まります。
投機的なFX取引(FXリスクをヘッジするとは限らない取引)では、ある通貨の価値がもう一方の通貨に対してどのように変化するかを予測します。為替レートの安定性は通貨により異なること、および為替レートの変動には金利や地政学的イベントなど多数の要因が寄与することを常に念頭に置いてください。基軸通貨(ユーロ)が決済通貨(米ドル)に対して強まる場合、この通貨ペアは上昇(ユーロ高)します。決済通貨(米ドル)が基軸通貨(ユーロ)に対して強まる場合、この通貨ペアは下落(ユーロ安)します。
FXレートは2方向で提示されます。一方のレートは投資家が売却可能なレート(ビッド)、もう一方のレートは投資家が購入可能なレート(アスク)です。ビッドレートとアスクレートの差はスプレッドと呼ばれ、通貨ペアの流動性に応じて決まります。 ペアの流動性が大きいほど、スプレッドはタイトになる傾向があります。ボラティリティもスプレッドに影響し、ボラティリティが大きいほど、スプレッドは広くなる傾向があります。マーケットメイカー(値付け業者)はポジションを取るリスクをレートに織り込む必要があり、通貨ペアのボラティリティが大きい場合は、市場が不利な方向に動き、損失を被るリスクも大きくなります。そのリスクの軽減策として、スプレッドを広げることがあります。
FX市場では、通貨は世界中で24時間取引されています。ある地域における夜間帯に、別の地域で日中取引が行われることが多いため、FX市場におけるロールオーバー(特にポジションが翌営業日に持ち越され、ロールオーバー手数料が発生する場合)の仕組みを理解しておくと役に立ちます。
ロールオーバーは、取引が夜間に未決済のまま維持される場合に発生します。FXでは通貨はペアで取引が行われ、それぞれの通貨に金利が発生します。通常ニューヨーク時間の午後5時を過ぎて取引を保持する場合、2通貨の金利差に基づき、金利を受け取るか支払うことになります。
例えば、低金利通貨に対して高金利通貨を購入する場合、少額の金利を受け取ることがあります。逆の場合は、金利を支払うことになります。こうした金利の日次調整を「ロールオーバー」と呼びます。
FX保有高から直接追加リターンを生むのは刺激的ですが、ポートフォリオに含まれる海外資産のリスクをFXでヘッジすることも、多くの投資家にメリットをもたらす可能性があります。
FXのヘッジ取引は、複数地域にポートフォリオの分散をさせることで、その重要性が高まっています。
例えば、外国株のエクスポージャーがある場合を考えてみましょう。外国株が外貨建てで値上がりする一方で、通貨自体は下落した場合、投資家の総利益は縮小する可能性があります。FXのヘッジ取引には、為替レートの変動リスクを軽減しつつ、外貨建て資産で値上がり益を得る可能性を維持することを目的としています。
実務上は、株式エクスポージャーのある通貨を売却し、自国通貨を購入します。このヘッジは、ポジションの時間軸に応じて、スポット取引か先渡取引で行われます。
FXのスワップ取引では、ある通貨と別の通貨の売買を2つの異なる決済日で行います。これは、2人の当事者がある日付で通貨を交換し、将来の特定日付でこの取引を解消するか逆の取引を行うことに合意するものです。より具体的には、FXスワップには2つのレグが含まれ、スポットと先渡ポジション、または2つの先渡ポジションのいずれかの組み合わせとなります。
FXスワップを行うことで、実勢スポットレートの変動リスクはほとんど解消されます。最初の取引で発生するスポット市場リスクは、2番目の取引ですぐ相殺されるためです。この取引は、通貨の変動リスクを回避する目的、またはFX建玉の決済日を変更(「繰延べ」)する目的で通常利用されます。
2つの取引例で詳しくみていきましょう。
例1:通貨変動リスクをヘッジ
あるスウェーデン企業では、欧州売上でユーロを獲得していますが、主な事業運営はスウェーデンにおいてSEKを使用して行っています。ドイツを拠点とする仕入先には1か月以内にユーロ建てで支払う必要があります。通貨リスクを軽減するため、同社は1か月のスワップを組みます。スポットレートでユーロを売りSEKを買うと同時に、1か月先の日付でユーロを買いSEKを売ります。
例2:建玉の有効日を変更
トレーダーはEUR/USDスポットの売建玉を保有しており、少なくとも1か月維持したいと考えています。ただ、毎日ポジションの繰り越し手続きをする気はありません。決済日を変更するため、トレーダーは1か月のスワップを組みます。スポットレートでユーロを買いUSDを売ると同時に、1か月先の日付でユーロを売りUSDを買います。
FXトレーダーがFX市場を監視し、取引チャンスを特定するために最も一般的に使用す方法がテクニカル分析です。
テクニカル分析は、過去の値動きと取引高を調べて、将来起こり得る値動きを予測するためにチャートを使用する視覚的な方法です。最終目標は、利用可能なレートチャートを活用して、値動きを確認しながら、市場のサポートとレジスタンストレンドを正確に特定することです。ただし、テクニカル分析は確率であるため、確実性は保証されません。金融市場に関する情報はチャートに反映されます。
テクニカル分析は次の目的で使用できます。
ローソク足チャート
ローソク足チャートはFX取引プラットフォームでもっともよく採用される取引チャートです。ローソク足は、その日のレートの開始・終了形態に基づき、所定の時間枠内における通貨ペアの高値と安値レンジを示します。ローソクの「ウィック(ヒゲ)」は、相場が上昇する場合は緑または青で、相場が下落する場合は赤で表示されます。幅広のバー(ローソク足本体)は同じ時間枠内における通貨ペアの始値と終値を表示します。
ラインチャート
ラインチャートは初心者向けの最も単純なFX取引チャートの1つであり、ある時間枠から次の時間枠にかけての通貨ペアの終値を示します。通貨ペアの全体的な値動きパターンをすばやく把握したい場合、ラインチャートならサポート期間とレジスタンス期間が一目でわかります。
バーチャート
バーチャートも所定の時間枠における通貨ペアの始値と終値を視覚表示するのに役立つチャートです。バー自体は各期間中の取引の最高値と最安値を示し、各バーの左側と右側のマークは始値と終値を示します。そのためバーチャートは、FXトレーダーが特定通貨ペアの価格レンジの拡大または縮小を正確に特定するために通常使用されます。
FX取引でボラティリティは、ある期間における値動きの激しさを統計的に測定する手段であり、金利、インフレ率、地政学的または政治的安定性、市場センチメントなど、幅広い要因に影響されます。ボラティリティが高いと投資チャンスが拡大しますが、リスクも大きくなります。FXペアを取引する前に、その流動性についての検討が不可欠です。
EUR/USDやUSD/JPYなどのメジャーペアは通常買い手と売り手の数が多いため、流動性が高いため、買値と売値の差は小幅に維持されます。流動性が低いと、トレーダーは公正レートで取引にすぐ参入または徹底しにくくなります。トレーダーは多ボラティリティと流動性リスクに対処するために、様々な戦略を使用しています。これには、ストップや指値の使用、ニュースやイベントの注視、高流動性通貨ペアの選択、ポートフォリオ分散はその数例です。
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