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シニア債券ストラテジスト
サマリー: 米国債利回りと金利ボラティリティの上昇は、当分続く見通しです。米議会が債務上限引上げ法案を可決した後、米財務省は6月末までに多額の国債を発行する必要があります。加えて、量的引締め(QT)と翌日物リバースレポ金利(RRP)が5.05%を付けていることを鑑みると、米国債の利回り上昇が持続し、イールドカーブのベア・フラットニングは一段と進行する可能性が高まっています。
債務上限引上げ法案が今週中に米議会で可決され、米国がデフォルトに陥るテールリスクが排除されたとしても、米短期国債の見通しは依然厳しいものとなっています。実際、FRBが利上げを行うか否かを決定する間、米財務省は大量の新発国債を発行し、政府預金口座(TGA)の立て直しを図る必要があります。
市場の流動性は以下3つの要因で決定されます;(1)FRBのバランスシート the Fed's balance sheet、(2)Reverse Repurchase Facility、(3)財務省一般口座(TGA)
FRBが経済活動を抑制するために月額950億ドルに上るバランスシート縮小を行う一方で、米財務省は継続的な運用を支えるために今年2月以降、5000億ドルもの資金を費やしてきました。その結果、リバース・レポ・ファシリティが安定している間、流動性を下支えることになりました。
しかし、状況は変わりつつあります。米政府は年末までに1兆ドル規模の国債を発行する必要があり、その半分近くを6月末までに発行せねばなりません。またそれによって量的引締めの運用に一段の圧力が生じ、流動性は急速に枯渇することになると予想されます。
問題は、市場が供給をすべて吸収できるか、という点です。ゴールドマン・サックスの報告によると、準備預金はその一部を吸収するバッファーを備えているものの、すべてを吸収するには十分ではないようです。したがって、FRBのリバース・レポ・ファシリティ(RRP)に5.05%の金利で20億ドル強を預けているマネー・マーケット・ファンド(MMF)が、新たな供給を吸収する必要があります。ここで注意すべき点は、米短期国債(T-Bill)はRRPに金利を上乗せできる価格まで低下する必要があるということです。
したがって、利回りは当面にわたって上昇し、その後も高止まりするものと予想されます。ただし、流動性の逼迫は景気の大きな足かせとなることから、米財務省が長期国債の発行に踏み切らない限り、長期金利の低下余地は限定的となる見通しです。
米2年国債(2YYK3): 米2年国債の利回りは4.63%を上抜けする可能性が高く、節目となる4.80%の抵抗線を試す展開が予想されます。ただし4.80%を上回るのはそれほど容易ではなく、利回りが今後5%に向けてもう一段切り上がるには、市場が織り込むFRBの6月利上げ確率が上昇する必要があります。
米10年国債(10YK3): 米10年国債の利回りは3.91%に向けて上昇する可能性が高いとみられますが、短期国債の利回りに比べると、上昇のペースはより緩やかなものとなるでしょう。流動性の枯渇が景気の足かせとなっていることが明らかとなれば、利回りは反転に向かうものと予想されます。