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Chief Investment Strategist
サマリー: 2024年の株式市場にとって重要な問題は景気後退が起きるかどうかです。投資家は、コモディティ、サイバーセキュリティ、防衛関連の株式や英国株、欧州株をオーバーウェイトにし、 米国の超大型株(メガキャップ)をアンダーウェイトにするべきではないかと考えられます。
2023年の株式のキーワードは経済の底堅さでした。過去数十年で最も急激な利上げが実施される中で、景気後退が起きる条件は整っていました。しかし、過去にない規模の米国の財政政策と、チャットGPTが持つ魅惑的な能力に触発されたアニマル・スピリットによって、米国経済は景気後退入りを回避し、テクノロジー株は史上最高値を付けました。米国経済において先行指標がピークを付けてから景気後退を免れている期間が1978年以降2番目に長くなっているため、2024年の主な懸念は景気後退が起きるのではないかという点です。
エコノミストらの予想では米国が景気後退に陥る可能性は50%です。これは、2024年が先行き不透明で、投資家にとって難しい一年になることを示しています。中国の政策の本気度も依然として未知数です。歴史を参考にするならば、FRBが利下げを実施した最初の数か月間は株式市場はおおむね上昇しています。したがって、当面は、市場が現在利下げを織り込んでいる点をそれほど心配する必要はありません。
サプライチェーンの中国回避が進み、とりわけ分断化ゲームに勝利しつつある国々と比較すると、中国株は昨年も期待外れな結果となりました。これらの国々はインド、メキシコ、ブラジル、ベトナムであり、株式市場は引き続き中国よりもこれら新興国の株式を選好すると当社は見ています。驚くべきことに、中国株は他の主要な新興国の株式に対し、2018年初頭以来米ドル・ベースで44%近くアンダーパフォームしています。
当グループは、株式テーマ全体にわたってコモディティ・セクターをオーバーウェイトとしています。スーパーサイクルがまだ継続中で、世界的に急速に進む都市化やグリーン・トランスフォーメーションへの投資、供給制約がこのサイクルを推進しているためです。サイバーセキュリティ、防衛関連銘柄も世界で続く地政学的緊張の恩恵を引き続き受けるとみられます。
2024年にはより多くの利下げがあるとの見方に市場が傾くならば、大きく売り込まれた風力、太陽光、エネルギー貯蔵、EV、水素にまたがるグリーン・トランスフォーメーション関連銘柄が短期的に上昇する可能性があります。
昨年は間違いなく、市場が極限的状況に至った年として歴史に残ります。生成AIブームが猛烈な勢いで高まり、いわゆる「マグニフィセント・セブン(偉大なる7銘柄)」(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、エヌビディア、メタ、テスラ)は2023年12月15日時点で104%上昇しました。一方、ナスダック100、S&P500、S&P500均等加重はそれぞれ53%、25%、12%の上昇でした。市場が2024年の中央銀行の大幅な利下げを織り込む前の2023年10月下旬時点で、ラッセル2000指数は実は年初来で下落していました。
その結果、米株式市場は過去100年間で最も集中度が高い、またはそれに近い状態にあります。この事実の背後には恐るべき事実があります。米テクノロジー企業のこの小さなグループが2024年も経済全体に取って代わり急成長予想をさらに上回らない限り、アウトパフォーマンスを継続することはできません。また、指数の集中度が高いことにより、テクノロジー株の地合いなど狭い範囲のリスク要因がリターンへの影響力を増しており、米株式市場のリスクは高まっています。2024年の当社の重要な投資アイデアは、米国の超大型株をアンダーウェイトにすることです。
英国と欧州の株式市場は、「マグニフィセント・セブン」が時価総額で56%を占めるのとは正反対の状況にあり、また米株式市場よりも28%割安です。当社は、米国が長期的に利益面で欧州をはるかに上回るという見方はしておらず、英国株や欧州株から見込まれるリターンは高くなると考えています。市場心理が変化したり経済活動が減速したりする場合、これら2つの株式市場でディフェンシブ・セクターへのエクスポージャーを増やすこともできます。